国からお金を借りる公的融資制度の対象者と申請方法!即日借りられる公的制度はある?

お金がなくて困っているときは、国の支援制度が利用できるかもしれません。無金利もしくは低金利でお金を借りられる制度も多数あります。

この記事では、国からお金を借りる方法について具体的に紹介します。制度を利用できる条件や手続きの方法、その制度が利用できない場合の代替案などもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

国・地方自治体から個人がお金を借りることができる「公的融資制度」一覧表

公的融資制度とは、国や自治体など公的機関からお金を借りられる制度の総称です。たとえば以下のような種類があります。

制度名 特徴・対象者
生活福祉資金貸付制度 低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯などが必要な資金を借りられる制度
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 ひとり親世帯(母子家庭や父子家庭など)が必要な資金を借りられる制度
求職者支援資金融資制度 職業訓練を受講中で、生活費が足りない人が借りられる制度
看護師等修学資金貸与 看護師や助産師として働く予定の人が、学費などを借りられる制度
教育一般貸付(国の教育ローン) 所得が一定額以下の人が、子どもの学費などを借りられる制度

※参照元:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」、内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」、厚生労働省「求職者支援制度のご案内」、東京都保健医療局「看護師等修学資金貸与事業」、日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)
※掲載情報は2024年4月25日時点

公的融資制度は通常、困っている人を助ける目的で、税金を使って非営利で運営されています。そのため、金利が低い、返済期間が長い、収入が低くても利用できるなど、借り手にやさしい条件になっているのが特徴です。

ただし、利用できる人の条件が細かく決まっていたり、手続きに手間や時間がかかったりすることもあります。どんな制度があるのか、自分は利用できるのか、どうやって利用するのか、それぞれ確認していきましょう。

国からお金を借りる方法①:生活が苦しいなら「生活福祉資金貸付制度」

制度名 生活福祉資金貸付制度
制度の特徴 低所得者、高齢者、障害者などが必要な資金を借りられる制度
返済期間 1~20年
限度額 10万円~580万円など
貸付までのスピード 最短1週間程度
金利 原則として無利子もしくは年1.5%

※参照元:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」「生活福祉資金貸付条件等一覧
※掲載情報は2024年4月25日時点

生活福祉資金貸付制度は、低所得者、高齢者、障害者などを経済的に支援するための制度です。生活福祉資金貸付制度には以下のような種類があります。

総合支援資金 生活再建に必要なお金を借りられる
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生活が苦しいときに、少しだけ借りられる
福祉費 福祉用具の購入や住宅の増改築、技能習得や生業を営むための費用などを借りられる
教育支援資金 高校や大学の入学費用や学費などを借りられる
不動産担保型生活資金 土地や建物を担保にして生活資金を借りられる

※参照元:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧
※掲載情報は2024年4月25日時点

同じ「生活福祉資金貸付」でも、借りられる金額や金利などは種類ごとに異なります。

「生活福祉資金貸付制度」でお金を借りるための条件

以下のいずれかにあてはまる人
  • 必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
  • 障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」
  • 65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」

※参照元:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」「生活福祉資金貸付条件等一覧
※掲載情報は2024年4月25日時点

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯を対象とした貸付制度で、おもに「収入が少なくて生活できない」「失業した」「災害で被災した」「他の公的制度では給付や貸付を受けられない」など、事情があって困窮している場合に利用できます。

「生活福祉資金貸付制度」でお金を借りるための手順

生活福祉資金貸付制度を利用する際の手順や必要書類は、以下のとおりです。

  • 地域の社会福祉協議会に相談する
  • 必要書類をそろえて、申込みの手続きをする
  • 審査結果の連絡を待つ
  • 借用書を提出し、貸付金を受け取る

必要書類の例

  • 借入申込書
  • 世帯全員記載の住民票(世帯主、続柄、本籍等全て記載されたもの)
  • 健康保険証被保険者証・所得証明書(学生を除く世帯全員分)
  • 課税証明書および納税証明書(連帯保証人のみ)
  • 個人情報保護に関する同意書・生活福祉資金貸付確認申請書
  • その他、社会福祉協議会が指定する書類

※参照元:全国社会福祉協議会「福祉の資金(貸付制度)」、徳島県社会福祉協議会「お申し込みの手順について

※掲載情報は2024年4月25日時点

必要書類は、相談先の社会福祉協議会や利用する貸付の種類によって異なる場合があります。よく確認して、漏れがないように手配しましょう。住民票や課税証明書などは、お住まいの市区町村の役場で発行してもらえます。

お金を借りられるまで、早くても1週間程度はかかることが多いです。失業して住居も失ったなど、貸付開始までの生活が苦しい場合は別途「臨時特例つなぎ資金貸付」も利用できます。

「生活福祉資金貸付制度」が利用できない場合

生活福祉資金貸付制度を利用できない人もいます。たとえば、以下のような人です。

「生活福祉資金貸付制度」を利用できない人の特徴
  • 無職で今後も働く気がない/働けない
  • 他の公的制度を利用できる
  • 収入が多い

生活福祉資金はあくまで貸付なので、いつか返済する必要があります。無職の状態が今後も続きそうな人は、「返済できる見込みがない」とみなされ、審査に落ちる可能性が高くなります。

また、生活保護や失業手当など他の公的制度を利用できる場合や、生活可能なレベルの収入がある場合も、「生活福祉資金貸付制度を頼る必要がない」とみなされて対象外になります。

「生活福祉資金貸付制度」が利用できない場合の代替案

  • 他の公的制度を利用できないか確認する
  • 働けない人は、生活保護を申請する
  • 収入がある人は、民間の金融機関からの借入を検討する

国からお金を借りる方法②:ひとり親世帯なら「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」

制度名 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
制度の特徴 ひとり親世帯(母子家庭や父子家庭など)が必要な資金を借りられる制度
返済期間 5年~20年程度
限度額 10万円~326万円など
貸付までのスピード 1ヶ月~3ヶ月程度
金利 無利子もしくは年1.0%

※参照元:内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」、大阪府「ひとり親家庭等を支援する貸付制度(母子・父子・寡婦福祉資金)」、宮城県「母子父子寡婦福祉資金貸付金
※掲載情報は2024年4月25日時点

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、母子家庭や父子家庭の人が利用できる貸付制度です。

前述の生活福祉資金貸付制度と同じように、さまざまな種類があり、それぞれ借りられる金額や金利などの条件が異なります。たとえば以下のとおりです。

修学資金 高校や大学の授業料、書籍代、交通費などを借りられる
修業・技能習得資金 就職や事業開始のためのスキルを身に付けるための資金を借りられる
医療介護資金 医療または介護を受けるための資金を借りられる
住宅資金 住宅の購入や補修などにかかる費用を借りられる
結婚資金 母子家庭や父子家庭の子が結婚する際に必要な資金を借りられる

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」でお金を借りるための条件

以下のいずれかにあてはまる人
  • 配偶者がおらず、20歳未満の児童を扶養している人(母子家庭の母、父子家庭の父)
  • 寡婦(かつて母子家庭の母だった人)
  • 父母のいない児童・配偶者がいない者が扶養する児童、子
  • 40歳以上の配偶者のいない女子であって児童を扶養していない人
  • 母子・父子福祉団体

※参照元:宮城県「母子父子寡婦福祉資金貸付金
※掲載情報は2024年4月25日時点

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度には、ひとり親家庭の「親」が借りられるものと「子」が借りられるものの両方があり、貸付の種類によって異なります。

また、自治体によっても多少異なる可能性があるため、自分が対象になるか確認したい場合は、地域の福祉事務所などに問い合わせるのが確実です。

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」でお金を借りるための手順

  • 地域の福祉担当窓口(福祉事務所など)に相談する
  • 必要書類をそろえて、申込みの手続きをする
  • 審査結果の連絡を待つ
  • 借用証書を提出し、貸付金を受け取る

必要書類の例

  • 貸付申請書
  • 世帯全体の住民票及び戸籍謄本(発行後3か月以内のもの)
  • ひとり親家庭の親又は寡婦等の方が子を扶養している事実を証明する書類
  • 償還計画書・年収を証明する書類(源泉徴収票、課税証明書、給与明細書(3か月分)など)
  • 個人情報の取扱いに係る同意書
  • 連帯保証人の本籍地入り住民票及び年収を証明する書類
  • 個人番号カード又は個人番号通知カード(住民票に記載のある場合は不要)
  • その他資金の種類に応じた必要な書類(生活収支状況表等)

※参照元:大阪府「ひとり親家庭等を支援する貸付制度(母子・父子・寡婦福祉資金)
※掲載情報は2024年4月25日時点

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の手続き方法は、前述の生活福祉資金貸付制度とほぼ同じです。まずは窓口で相談して、利用できる貸付の内容や必要書類などの詳細を教えてもらいましょう。

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」が利用できない場合

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」が利用できない人の特徴
  • 無職で今後も働く気がない/働けない
  • 多額の借金や自己破産などの経験がある
  • 収入が多い
  • 何にいくら使うか証明できない

無職で今後も働けない場合など「返済できる見込みがない」とみなされると、審査に落ちてしまう可能性があります。また、収入に対して抱えている借金が多すぎる場合、滞納や自己破産などの経験がある場合なども審査上不利になりやすいため要注意です。

また、基本的に生活が苦しい人を支えるための制度なので、収入が多すぎると利用できません。

審査に通過しやすくしたいなら、連帯保証人を立てる、必要なお金の内訳や金額が明確にわかる書類を用意するなどの方法を検討しましょう。

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」を利用できない場合の代替案

  • 働けない人は、生活保護を申請する
  • 収入がある人は、民間の金融機関からの借入を検討する

国からお金を借りる方法③:職業訓練を受けるなら「求職者支援資金融資制度」

制度名 求職者支援資金融資制度
制度の特徴 職業訓練を受講中で、生活費が足りない人が借りられる制度
返済期間 5年もしくは10年
限度額 月額5万円または月額10万円×受講予定訓練日数
貸付までのスピード 不明
金利 年2.0%

※参照元:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」「求職者支援資金融資のご案内
※掲載情報は2024年4月25日時点

求職者支援資金融資は、就職や転職、スキルアップのために職業訓練を受講する人を支援するための制度です。

国の求職者支援制度を利用すると、月額10万円の給付金が受け取れます(返済不要)。しかし、それを受け取ってもなお訓練期間中の生活費が足りない場合には、求職者支援資金融資も利用できます。

「求職者支援資金融資制度」でお金を借りるための条件

以下の条件を両方満たしている人
  • 職業訓練受講手当の支給決定を受けた
  • ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた

※参照元:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」「求職者支援資金融資のご案内
※掲載情報は2024年4月25日時点

求職者支援資金融資を利用できるのは、職業訓練を受講していて、給付金(職業訓練受講手当)を受け取る権利がある人です。

たとえば離職して失業手当を受給できない人や、一定額以下の収入で働きながら正社員への転職を目指す人などで、以下のような条件も満たしている必要があります。

  • 本人の収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月30万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  • 訓練実施日すべてに出席する(やむを得ない理由により欠席した場合などは8割以上出席で可)

など

また、詳しくは後述しますが、ハローワークやろうきん(労働金庫)での手続きが必要になります。

「求職者支援資金融資制度」でお金を借りるための手順

  • ハローワークで確認申請を行って「求職者支援資金融資要件確認書」を受け取る
  • 給付金(職業訓練受講手当)の支給決定を受ける
  • 必要書類をそろえて、ハローワークが指定する労働金庫に持っていく
  • 労働金庫で貸付の手続きをする
  • 労働金庫の審査に通過したら、貸付を受けられる

必要書類

  • 求職者支援資金融資要件確認書
  • 求職者支援資金融資確認申請書の写し
  • 職業訓練受講給付金支給状況(支給記録)の写しまたは職業訓練受講給付金支給決定通知書
  • 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
  • その他、労働金庫から提出を求められた書類

※参照元:長野県労働金庫(長野ろうきん)「求職者支援資金融資制度
※掲載情報は2024年4月25日時点

ハローワークに行ったり、労働金庫の窓口に行ったり、移動や手続きに手間と時間がかかるため要注意です。

借りたお金は、労働金庫の口座に一括で振り込まれます。労働金庫の口座を持っていない場合は、口座開設手続きも必要になります。

必要書類は、ほとんどがハローワークで発行してもらえるものです。上述の手順の1や2で受け取った書類を提出するため、紛失しないようきちんと保管しておきましょう。

なお、労働金庫は地域ごとに運営されています。お住まいの地域によっては多少内容が異なる場合があります。

「求職者支援資金融資制度」が利用できない場合

「求職者支援資金融資制度」を利用できない人の特徴
  • 職業訓練給付金を受け取れない
  • 多額の借金や自己破産などの経験がある
  • 無職で今後も働く気がない/働けない

求職者支援資金融資を利用するには、労働金庫が行う審査に通過する必要があります。貸付対象になる条件を満たせない人や、返済が困難とみなされた人などは利用できません。

失業が原因で一時的にお金が足りない場合は、前述の生活福祉資金貸付制度の対象になるかもしれません。求職者支援資金融資が利用できない場合は、地域の社会福祉協議会などで相談してみましょう。

「求職者支援資金融資制度」が利用できない場合の代替案

  • 一時的に生活費が足りない人は「生活福祉資金貸付制度」の利用を検討する

国からお金を借りる方法④:看護師や助産師を目指しているなら「看護師等修学資金貸与」

制度名 看護師等修学資金貸与
制度の特徴 看護師や助産師として働く予定の人が、学費などを借りられる制度
返済期間 貸与期間(正規の修業年限)と同期間~2倍の期間
限度額 月額2.5万円~10万円
貸付までのスピード 早くても3ヶ月~4ヶ月程度
金利 無利子(※ただし延滞利子あり)

※参照元:東京都保健医療局「看護師等修学資金貸与事業
※掲載情報は2024年4月25日時点

看護師等修学資金は、看護師・准看護師・保健師・助産師などを目指す人が修学に必要な資金(学費など)を借りられる制度です。

医療従事者の不足などを背景に、「無利子」「条件を満たすと返還免除」など、特別に有利な条件で借りられるようになっています。

ただし、自治体によって内容が異なり、新規募集を受け付けていない場合もあります。本記事では、東京都の制度内容をもとに記載しています。

「看護師等修学資金貸与」でお金を借りるための条件

以下の条件をすべて満たす人(※東京都の場合)
  • 保健師、助産師、看護師、准看護師の養成施設または大学院修士課程に在学している。都外の養成施設等に在学している場合は都内に住所がある。
  • 成績優秀で心身健全
  • 経済的理由で修学が困難
  • 同種の修学資金を借りていない
  • 卒業または修了後、(都内)指定施設または都内施設において引き続き5年以上、看護業務に従事する意思を有する

※参照元:東京都保健医療局「看護師等修学資金貸与事業
※掲載情報は2024年4月25日時点

看護師等修学資金は、それを借りた自治体で将来的に看護師などとして働くつもりの人が対象です。高校生でも、予約申込みができる場合があります。

条件を満たす施設で5年程度働くと、返還の一部または全部が免除されるのが一般的です。しかし一方で、途中で退学したり都道府県をまたいで転居したりすると、対象から外れ、すぐに返還を求められる可能性もあるので注意しましょう。

「看護師等修学資金貸与」でお金を借りるための手順

  • 入学予定もしくは在学中の養成施設の窓口に問い合わせる
  • 必要書類をそろえて、決められた期限までに提出する
  • 審査結果の連絡を待つ
  • 審査に通過すると、指定した口座に借りたお金が振り込まれる

必要書類(申込者本人)

  • 修学資金貸与申込書
  • 申込者や扶養者の住民票
  • 扶養者等の収入等に関する証明書類
  • 特別控除についての証明書類(該当者のみ)
  • 東京都看護師等修学資金口座振込依頼書(通帳等コピー添付)

必要書類(連帯保証人)

  • 印鑑登録証明書
  • 収入等に関する証明書類
  • 住民票

※参照元:東京都保健医療局「申込から貸与決定まで(通常申込)
※掲載情報は2024年4月25日時点

東京都の場合、看護師等修学資金の申込みは、学校や養成施設を通して行います。令和6年(2024年)は4月~5月上旬ごろが提出期限で、8月上旬ごろに審査結果が通知される予定とされています。

自治体によっては、学校を通さず、県庁などに自分で直接書類を郵送して手続きする場合もあります。自治体の公式サイトなどをよく確認して、正しい手順で手続きしましょう。

「看護師等修学資金貸与」が利用できない場合

「看護師等修学資金貸与」が利用できない人の特徴
  • 就職希望の自治体が、貸与の募集を行っていない
  • 卒業後、借りた自治体で継続して働く意思が薄い
  • 世帯収入が多すぎる
  • 連帯保証人が見つからない

看護師等修学資金貸与にも審査があります。審査基準は公表されていませんが、家族や連帯保証人の収入は重要な要件になります。申込書類には、氏名や住所などの基本情報だけでなく貸与を希望する理由も記入するため、経済状況や予定する進路などを詳しく書いて意欲があることをアピールしておくとよいでしょう。

看護師などの専門知識を勉強したい場合、利用できる制度は他にもあります。ハローワークに行って、どんな制度があるのか、どれを利用できるのか教えてもらうのも1つの方法です。返済不要の給付金や奨学金が利用できる可能性もあります。

「看護師等修学資金貸与」を利用できない場合の代替案

  • 国の「教育訓練給付」や「高等職業訓練給付金」を受給できないか調べる
  • 学校や病院独自の奨学金制度を利用できないか調べる
  • 「生活福祉資金貸付制度」や「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」の利用を検討する

国からお金を借りる方法⑤:教育費が必要なら「教育一般貸付(国の教育ローン)」

制度名 教育一般貸付(国の教育ローン)
制度の特徴 所得が一定額以下の人が、子どもの学費などを借りられる制度
返済期間 18年以内
限度額 原則として子ども1人につき350万円
貸付までのスピード 3週間~3ヶ月程度
金利 原則として年2.25%(固定金利・保証料別)

※参照元:日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」「ご利用条件や金利・ご返済方法」「よくあるご質問
※掲載情報は2024年4月25日時点

教育一般貸付(国の教育ローン)は、政府系金融機関である日本政策金融公庫を通して利用できる制度です。高校、大学、専修学校などに通う人の保護者が、入学金や授業料、通学費などの費用を借りられます。金利はもともと低めですが、家庭の状況によっては年1.85%まで引き下げられる優遇措置も利用できます。

日本学生支援機構の奨学金との併用も可能です。ちなみに、教育ローンは保護者が利用するもの、奨学金は学生自身が利用するものという違いがあります。

日本政策金融公庫では教育一般貸付のほか、個人事業主や中企業向けの融資なども取り扱っています。

「教育一般貸付(国の教育ローン)」でお金を借りるための条件

世帯年収(所得)が一定以下であること
  • 子ども1人:世帯年収(所得)が原則790万円(600万円)まで
  • 子ども2人:世帯年収(所得)が原則890万円(690万円)まで
  • 子ども3人:世帯年収(所得)が990万円(790万円)まで
  • 子ども4人:世帯年収(所得)が1,090万円(890万円)まで
  • 子ども5人:世帯年収(所得)が1,190万円(990万円)まで

※参照元:日本政策金融公庫「ご利用条件や金利・ご返済方法
※掲載情報は2024年4月25日時点

教育一般貸付は、収入が多いと利用できません。上記のとおり、扶養している子どもの数に応じて世帯年収(所得)の上限が決められています。

子どもが1人もしくは2人の場合、「勤続(営業)年数が3年未満」「家族の誰かが自宅外通学(予定)」「大規模な災害で被災した」などのうち、いずれかの条件を満たすと上限が「990万円(790万円)」までアップする緩和措置があります。

なお、融資の対象になるのは、中学校卒業以上の人を対象とする教育施設に通う場合です。高校、高専、短大、大学のほか、職業能力開発校や海外の語学学校なども含まれます。

「教育一般貸付(国の教育ローン)」でお金を借りるための手順

  • 必要書類をそろえる
  • インターネットや郵送、来店などで申込手続きをする
  • 審査結果の連絡を待つ
  • 郵送または来店して契約手続きをする
  • 借りたお金が指定した口座に入金される

申込時の必要書類

  • 借入申込書・住民票
  • 運転免許証またはパスポート
  • 源泉徴収票または確定申告書
  • 預金通帳や領収書など、住宅ローン(または家賃)と公共料金の支払状況がわかるもの
  • (入学資金を借りる場合)合格を確認できる書類
  • (在学資金を借りる場合)在学を確認できる書類、使い道を確認できる書類
  • (自宅外通学の場合)自宅外通学を確認できる書類
  • (世帯年収の上限額緩和を希望する場合)緩和条件に該当することを確認できる書類
  • その他、日本政策金融公庫が提出を求める書類

契約時の必要書類

  • 「ご融資のお知らせ(兼借用証書)」
  • 印鑑証明書
  • (入学資金を借りる場合)合格を確認できる書類
  • (自動引き落としでの返済を希望する場合)「預金口座振替利用届」
  • 借入に使う口座の預金通帳

※参照元:日本政策金融公庫「必要書類とお手続きの流れについて
※掲載情報は2024年4月25日時点

教育一般貸付は、1年中いつでもインターネットから申し込めます。ただ、手続きに時間がかかるため、お金が必要になる時期の2~3ヶ月前に申し込んでおくのがおすすめです。事前に教育ローンコールセンター(0570-008656)に電話して、問い合わせや資料請求を済ませておくとスムーズに進めやすいでしょう。

「教育一般貸付(国の教育ローン)」が利用できない場合

「教育一般貸付(国の教育ローン)」が利用できない人の特徴
  • 収入が少なすぎるor多すぎる
  • 多額の借入や返済遅延の経験がある

※参照元:日本政策金融公庫「よくあるご質問
※掲載情報は2024年4月26日時点

日本政策金融公庫の公式サイトには、審査基準について「ご提出いただいた資料などをもとに、お客さまのご勤務(営業)の状況、ご収入(所得)の状況、お借入の状況、住宅ローンや公共料金のご返済・お支払の状況などから、総合的に判断させていただきます。」と記載されています。

収入(所得)が多すぎると対象外になりますが、逆に、無職など返済困難な収入(所得)水準とみなされた場合も審査に落ちる可能性が高まります。また、借金が多い人や過去に返済や支払いを遅延したことがある人も、審査上不利になりやすいです。

「教育一般貸付(国の教育ローン)」を利用できない場合の代替案

  • 奨学金の利用を検討する
  • 「生活福祉資金貸付制度」や「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」の利用を検討する

国の公的融資制度なら信用情報の事故情報(ブラックリスト)は関係ない?

もし、生活や資金繰りに困窮していて「延滞などの金融事故を起こしたことがある」「自分はブラックリストに載っているかも」という人は、国からお金を借りる公的融資制度でも審査落ちしてしまうリスクを恐れているかもしれません。

結論から申し上げますと、「個人向けの公的融資制度なら個人信用情報に傷があってもチェックされない」「日本政策金融公庫の場合は確認される場合がある」といえます。

個人向け公的融資制度

・生活困窮者などを対象にしているためチェックしない
・再就職の意欲や世帯環境など状況を重視

日本政策金融公庫

・CICに加盟しているため、信用情報を閲覧できる
・審査の際に信用情報をチェックしたり、確認されたりする可能性はある

生活福祉資金貸付制度など、個人向けの公的融資制度はそもそも「生活に困窮している低所得層や急に働けなくなって一時的に収入がかなり低い状態の人」を救済するためにあります。

そのため、再就職の意欲が見受けられる、または返済の目途が立つと判断されれば、信用情報のチェックは原則されず、個人や世帯の状況や今後の展望が重視されます。

一方、中小企業や個人事業主で日本政策金融公庫からお金を借りたい場合は、信用情報をチェックされたり、融資の相談面談で確認が入ったりするかもしれません。なぜなら、日本政策金融公庫は「CIC(シー・アイ・シー)」という個人信用情報機関に加盟しており、申込者の信用履歴(クレジットカードの延滞履歴やキャッシングの利用歴)を閲覧できるためです。

CICは割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けている機関で、主にクレジットカード会社などが加盟しています。

CICではクレジットカード利用や申込歴、支払い状況やカードローンなどの利用状況を加盟業者が閲覧できるため、日本政策金融公庫もCICのデータを閲覧して、申込者が延滞を繰り返すなどの金融事故を起こしていないかなどを確認はできます。

CICなどの信用情報機関のデータに「延滞あり」など記録されている状態を、俗に「ブラックリストに載っている」と呼んだりします。

そのため、中小企業の代表者や個人事業主がCICの信用情報でまずい点があると、審査が不利になる可能性はあります。

もし、生活や資金繰りに困窮していて「延滞などの金融事故を起こしたことがある」「自分はブラックリストに載っているかも」という人は、国からお金を借りる公的融資制度でも審査落ちしてしまうリスクを恐れているかもしれません。

結論からいうと、「個人向けの公的融資制度なら個人信用情報に傷があってもチェックされない」「日本政策金融公庫や労働金庫に申し込む制度の場合は確認される場合がある」といえます。

個人向け公的融資制度

  • 生活困窮者などを対象にしているためチェックしない
  • 再就職の意欲や世帯環境など状況を重視

日本政策金融公庫や労働金庫

  • CICなどの信用情報機関に加盟しているため、信用情報を閲覧できる
  • 審査の際に信用情報をチェックしたり、確認されたりする可能性はある

生活福祉資金貸付制度など、個人向けの公的融資制度はそもそも「生活に困窮している低所得層や急に働けなくなって一時的に収入がかなり低い状態の人」を救済するためにあります。

そのため、再就職の意欲が見受けられる、または返済の目途が立つと判断されれば、信用情報のチェックは原則されず、個人や世帯の状況や今後の展望が重視されます。

一方、日本政策金融公庫や労働金庫などからお金を借りたい場合は、信用情報をチェックされたり、融資の相談面談で確認が入ったりするかもしれません。なぜなら、日本政策金融公庫などは「CIC(シー・アイ・シー)」などの信用情報機関に加盟しており、申込者の信用情報履歴(クレジットカードの延滞履歴やキャッシングの利用歴)を閲覧できるためです。

日本政策金融公庫などの金融機関はそれらのデータを閲覧して、申込者が延滞を繰り返すなどの金融事故を起こしていないかなどを確認できます。

CICなどの信用情報機関のデータに「延滞あり」など記録されている状態を、俗に「ブラックリストに載っている」と呼んだりします。

そのため、信用情報でまずい点があると、審査が不利になる可能性はあります。

即日融資でお金を借りるなら、国の公的融資制度ではなく消費者金融を検討する

国の公的融資制度は、金利が低いというメリットがある反面、実際にお金を手にするまで時間がかかるというデメリットがあります。もし「どうしても今すぐお金が必要」「金利が高くてもいいから早く借りたい」という場合は、民間の消費者金融を利用するのも1つの方法です。

たとえば大手消費者金融は金利が「年3.0~18.0%」程度と高めですが、申し込んだその日のうちにお金を借りられる「即日融資」に対応しています。早ければ、申込後わずか数十分程度で借入ができるようになります。怖いイメージがあるかもしれませんが、ヤミ金などと違い、法律に基づいて運営されている正規業者です。

緊急性や返済の負担なども考慮しながら、自分に合った方法を選択しましょう。

まとめ

国からお金を借りる方法には、以下のようなものがあります。

  • 生活福祉資金貸付制度
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付
  • 求職者支援資金融資制度
  • 看護師等修学資金貸与
  • 教育一般貸付(国の教育ローン)

基本的に生活に困っている人を救済するための制度なので、民間の金融機関のローンよりも無金利または低金利で借りられるのが特徴です。

ただ、自分や家族の収入や置かれている状況によって利用できる制度が異なるため、よく確認したうえで申し込む必要があります。よくわからない場合は、自治体の窓口や社会福祉協議会などに問い合わせて教えてもらうこともできます。お金がなくて悩んだときは、早めに相談してみましょう。