
「消費者金融ではなく、なるべく信頼できるところからお金を借りたいな」という方は国からお金を借りる「公的融資制度」を活用してみるのもおすすめです。文字通り国が用意した公的な貸付制度ですので、安心してお金を借りることができます。
一方、手続きで市役所に出向く必要があったり、提出書類が多く手間がかかるなど、財源が税金などの公的制度ならではの注意点もあります。
本記事では国からお金を借りる制度の種類や条件に付いて詳しく解説します。
- 生活福祉資金貸付など公的融資制度なら低金利や無利子で国からお金を借りられる
- 中小企業や個人事業主の事業資金は日本政策金融公庫の融資制度を活用しよう
- 即日で借りられる公的融資制度はない!緊急小口資金なら最短1週間
国からお金を借りるなら「公的融資制度」を活用しよう
国からお金を借りるには、「公的融資制度」を利用する必要があります。
公的融資制度は「急に失業して収入がなくなってしまった」「低所得で子どもの学費を払えない」など生活が苦しく困っている場合に、国や地方自治体などからお金を借りられる制度です。
公的融資制度は生活困窮者の救済を目的としていることもあり、消費者金融などの民間カードローンより「金利が低め(無利子のものもある)」「返済期間が長い(最長10年のものもある)」など借り手にやさしい仕組みになっています。
ただし税金を財源とした貸付制度のため、「融資制度を用いるのに適切な利用者か」を見る審査がありますし、決められた用途以外で借りられない場合がほとんどです。
そのため、「どの公的融資制度を使ってお金を借りられるのか」といった制度の種類を事前に確認しておくとよいでしょう。
なお、個人向けだけでなく、個人事業主や中小企業が「事業資金・運転資金」のために国からお金を借りることもできます。
特にフリーランスや自営業で「資金繰りに苦しいけど安全にお金を借りられないものか」と考えている場合は、事業性公的融資を検討してみましょう。
【個人向けはこちら】(個人向け公的融資制度は大きく分けて6種類|申請条件や金利をチェック)
【個人事業主・企業向けはこちら】(中小企業や個人事業主が国からお金を借りるなら「日本政策金融公庫の融資制度」が利用可能)
個人向け公的融資制度は大きく分けて6種類|申請条件や金利をチェック!
個人向け公的融資制度は、以下の6種類があります。
- 緊急小口資金貸付
- 生活福祉資金貸付制度
- 求職者支援資金融資制度
- 母子父子寡婦福祉資金貸付
- 教育一般貸付
- 看護師等修学資金
主に「収入が少なく(または途絶えて)日常生活が困難」「子ども入学・留学などの教育資金が低収入で払えない」など生活困窮者を救済する用途でお金を借りられます。
融資の対象者 | 資金の使用用途 | 資金の使用用途 |
金利 | 最短融資期間 |
---|---|---|---|---|
緊急小口資金 | 緊急で生活維持が困難になった人 | 一時的な生計維持 |
無利子 | 1週間 |
生活福祉資金貸付制度 | 以下の世帯 ・低所得者 ・障害者 ・高齢者(65歳以上) |
・生活再建 |
連帯保証人あり:無利子 連帯保証人なし |
1カ月程度 |
求職者支援資金融資制度 | 職業訓練受講給付金の支給を受ける人 | 給付金だけでは訓練受講中の生活費が不足 |
年3.0% | 1カ月程度 |
母子父子寡婦福祉資金貸付 | ・母子家庭の母 |
・事業開始資金 |
連帯保証人あり:無利子 連帯保証人なし |
1カ月以上 |
教育一般貸付 | 融資対象の学校に入学する子の保護者 | ・受験料 ・入学金や授業料 ・教材費など |
固定金利:年1.80% | 2カ月~3カ月 |
看護師等修学資金 | 看護業務に従事する意思がある方 |
修学費用 | 無利子 | 各養成施設等で異なる |
即日借りられる公的融資制度はない
「今すぐに国からお金を借りる方法はないの?」と気になる方もいると思いますが、即日融資ができる公的融資制度はありません。
国や地方自治体(または社会福祉協議会など)が貸付する公的な制度のため、「適切な用途でお金を借りようとしているか?」「返済見込みはあるのか?」などをしっかり見られます。
提出書類も多く、審査や手続きに時間がかかるため、消費者金融のような即日融資には対応していません。
ただし、次に紹介する「緊急小口資金」なら最短1週間程度での融資に対応しているため、急ぎで公的融資制度を活用したい人におすすめです。
緊急小口資金貸付なら最短1週間程度でお金を借りられる
緊急小口資金は「最短1週間で借りられる公的融資制度」です。
急な事情で生活・生計維持が困難になってしまい、一時的にお金を借りて何とか当面のやりくりしたい方におすすめです。
緊急小口資金の特徴、対象者、限度額や借入までの期間について、さらに詳しく確認していきましょう。
なお、新型コロナウイルス感染症にともなう「特例貸付」の緊急小口資金は2022年9月30日で新規貸付の申請は終了しています。
緊急小口資金貸付の特徴
緊急小口資金貸付は「緊急かつ一時的に」生活が困難になった場合に最短1週間で国からお金を借りられるのが大きな特徴です。
たとえば、倒産などによる急な失業・急病などやむを得ない事情で突然生活苦になってしまった場合は、緊急小口資金貸付を利用すれば一時的な生活費の支援を受けられます。
「他の制度と併用できない」という公的融資制度が多いですが、緊急小口資金は後述する生活福祉資金貸付(総合支援費)と併用できるのもメリットです。
また、無利子で借りられる制度のため、返済時の負担が少ないというのもうれしい点です。
緊急小口資金貸付の対象者
緊急小口資金貸付は「急な事情で生計維持が一時的に困難になった人や世帯」が対象になります。
他の生活福祉資金貸付などと比べても間口が広く、早急に一時的な生活費を借りたいという方は対象者になる可能性がありますので、最寄りの社会福祉協議会などに相談してみましょう。
貸付限度額
緊急小口資金の貸付限度額は「最大10万円」となっており、500万円以上借りられる場合もある他の公的融資制度に比べるとかなり低めです。
ただ、融資スピードが早く、年齢や対象者の縛りも比較的少ないため、まずは緊急小口資金で直近の生活費をしのいで、別の制度活用や復職で本来の生計をたてなおすという方法が望ましいです。
借り入れまでの期間目安
緊急小口資金は最短1週間程度で借入できます。通常1カ月以上かかる公的融資制度の中で特筆すべき融資スピードといえます。
借入までの期間目安が早いといえども、審査や手続きは必要になりますので、事前の準備は抜け漏れなくしておきましょう。
生活福祉資金貸付制度はニーズに合った支援が受けられる!
生活福祉資金貸付制度は低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯をサポートする制度で、以下の4種類があります。
概要 | 限度額 | 限度額 | |
---|---|---|---|
総合支援資金 | 主に生活費や生活再建で必要な資金の貸付 | 失業などで生活再建までに費用が必要な方 | 15万円~60万円以内 |
福祉資金 | 病気療養や介護に必要な資金の貸付 | 病気療養中の方や高齢者世帯・障害者世帯 | 580万円以内 |
教育支援資金 | 低所得者世帯の子どもが高校・大学などに通うための経費貸付 | 低所得者世帯の子ども(高校・大学・高専へ入学または修学) | 50万円以内 |
不動産担保型生活資金 | 低所得の高齢者が居住不動産を担保に生活資金を借りられる | 低所得の高齢者 | 土地の評価額の70%程度 (月30万円以内 |
※参考:政府広報オンライン
それぞれ対象者や使用用途、貸付限度額が異なりますので詳しく確認していきましょう。
総合支援金はいくらまで?対象者と申込み方法は?
総合支援資金は「生活の立て直し」「就職や転職のための費用」といった日常生活に関しての支援を受けられます。
総合支援資金はさらに3種類に分けられます。
- 生活支援費:生活再建までの生活費
- 住宅入居費:敷金・礼金など賃貸契約のための初期費用
- 一時生活再建費:就職・転職のための技能取得や債務整理など生活再建に必要だが日常生活費では賄えない費用
いずれも、連帯保証人を立てられれば無利子、立てられなくても年1.5%とかなり低金利で融資を受けられます。
生活支援費は文字通り低所得で日常生活が困難になってしまった世帯が対象です。
限度額 | 貸付期間 | 据置期間 | 返済期限 |
---|---|---|---|
二人以上世帯:20万円以内/月 単身世帯:15万円以内/月 |
原則3カ月 ※最長12カ月以内 (延長3回まで) |
最終貸付日から6カ月以内 | 10年以内 (据置期間後) |
月単位で原則3カ月15万円~20万円借りられるのが特徴です。
住宅入居費は住居確保のための賃貸契約に必要な敷金・礼金費用を借りることができます。
限度額 | 据置期間 | 返済期限 |
---|---|---|
40万円以内 | 貸付日から6カ月以内※ | 10年以内 (据置期間後) |
※生活支援費と併用の場合は生活支援費の最終貸付日から6カ月以内
一時生活再建費は「日常生活費用では賄えない生活再建のための費用」とされており、
- 就職・転職前提の技能実習経費
- 滞納した公共料金の一括支払い(立て替え)
- その他債務整理費用など
といった一時的にまとまった費用が必要な用途で使えます。
限度額 | 据置期間 | 返済期限 |
---|---|---|
60万円以内 | 貸付日から6カ月以内※ | 10年以内 (据置期間後) |
総合支援費は急な失業などの理由で、日常生活が困難になってしまった方が対象ですが、下記の要件すべてを満たしている必要があります。
- 低所得者世帯(市町村民税非課税程度)で、失業などによって生活に困窮している
- 公的な書類などで本人確認が可能である
- 現在住居のある人、または、住居確保給付金の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれる
- 法に基づく自立相談支援事業などによる支援を受けるとともに、社会福祉協議会とハローワークなど関係機関から、継続的な支援を受けることに同意している
- 社会福祉協議会などが貸付け及び支援を行うことにより、自立した生活を営むことが可能となり、償還を見込める
- 他の公的給付または公的な貸付けを受けることができず、生活費をまかなうことができない
総合支援費を借りるためには、生活に困窮している方でも住居や就職の見込みや意欲があり、返済目途が立てられる方が対象になります。
生活保護など他の公的給付を受けている、社会福祉協議会などからの支援を拒否する、といった姿勢では融資を受けられないので、あくまでも就職・転職前提で生活再建を目指す際に活用しましょう。
貸し付け条件を満たしている方は、市役所などにある最寄りの社会福祉協議会に相談することで、総合支援金に申込みができます。
福祉資金はいくらまで?対象者や申込み方法は?
福祉資金は介護サービス、病気療養の通院費など高齢者や障害者がいる世帯が活用しやすい資金です。
対象 | 限度額 | 据置期間 | 返済期限 |
---|---|---|---|
・生業を営むために必要な経費 ・住宅の増改築、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費 ・福祉用具等の購入に必要な経費 ・障害者用の自動車の購入に必要な経費 ・介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費 |
最大580万円以内 ※用途によって異なる |
最終貸付日から6カ月以内 | 20年以内 (据置期間後) |
福祉資金も連帯保証人ありなら無利子、なしなら年1.5%で融資を受けられます。
福祉資金も総合支援費同様に、自治体の社会福祉協議会の窓口で相談・申込みができます。
教育支援資金はいくらまで?対象者や申込み方法は?
教育支援資金は低所得者世帯の子どもの入学や就学を支援する制度です。
教育支援資金は以下の2種類あります。
- 教育支援費:低所得者世帯の子どもが高校や大学などに修学するため必要な経費
- 就学支度費:低所得者世帯の子どもが高校や大学などへ入学する際に必要な経費
教育支援費は低所得世帯の子どもが高等教育を受け続けるために毎月決まった金額を借りられます。
限度額(※) | 据置期間 | 返済期限 | 利子 |
---|---|---|---|
高校:月3.5万円以内 高専:月6万円以内 短大:月6万円以内 大学:月6.5万円以内 |
卒業後6カ月以内 | 20年以内 (据置期間後) |
無利息 |
※特に必要と認める場合は、上記各限度額の1.5倍まで貸付可能
就学支度費は高校・高専・大学の入学に必要な資金を借りることができます。
限度額 | 据置期間 | 返済期限 | 利子 |
---|---|---|---|
50万円以内 | 卒業後6カ月以内 | 20年以内 (据置期間後) |
無利息 |
教育支援資金もお住まいの地方自治体の社会福祉協議会に相談することで、申請準備や手続きが可能です。
なお、入学準備にまとまったお金を借りたい、母子父子家庭や子どもが3人以上いるなどの条件では後述する「母子父子寡婦福祉資金」や「教育一般貸付(国の教育ローン)」の方が適している場合もあります。
不動産担保型生活資金はいくらまで?対象者や申込み方法は?
不動産担保型生活資金は、年金や貯蓄だけでは不安がある高齢者(65歳以上)がご自身の「居住不動産を担保」にして生活資金を借りることができる制度です。
自宅を手放すことなく、毎月30万円以内のお金を借りることができるため、収入や所得が見込みにくい高齢者でも生活資金への不安を少なくできます。
世帯の構成員が原則65歳以上であること、配偶者とその親以外との同居がないことなど、条件が細かく決まっていますので確認が必要です。
対象者・条件
- 申込者が単独で所有、あるいは同居の配偶者との共有する不動産に居住
- 不動産に貸借権等の利用権や抵当権等の担保権が設定されていない
- 配偶者またはその親以外の同居人がいないかつ、世帯の構成員が原則として65歳以上である
- 借入世帯が市町村税の非課税世帯または均等割課税世帯程度の低所得世帯
限度額 | 貸付期間 | 返済期限 | |
---|---|---|---|
不動産担保型生活資金 | ・土地評価額の70%程度 ・30万円/月以内 |
借受人の死亡時までまたは貸付限度額に達するまで | 据置期間終了時 (契約終了後3カ月) |
要保護世帯向け、不動産担保型、生活資金(※) | ・土地および建物の評価額の70%程度 (集合住宅は50%) ・30万円/月以内 |
※要生活保護レベルの低所得世帯で困窮度が高い
再就職のための資金が欲しい場合は求職者支援資金融資制度がおすすめ
求職者支援資金融資制度は「求職者支援制度」で職業訓練を受けながら給付金をもらう予定の人が借りられる制度です。
再就職、また自営業やフリーランスを廃業してしまい就職を目指す方で、職業訓練期間中の生活資金が足りない方におすすめの制度です。
求職者支援資金融資制度について、下記4点を詳しく説明します。
- 融資制度の特徴
- 対象者
- 貸付限度額
- 借り入れまでの期間目安
求職者支援資金融資制度の特徴
求職者支援資金融資制度は「求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象とした貸付制度」とされています。
求職者支援制度とは、再就職や転職、就職を目指す人で「世帯年収が30万円以下」など条件を満たしていれば、無料の職業訓練を受けられたり、月10万円の支給がされたりするというものです。
あくまで職業訓練のための給付金のため、「これだけでは訓練期間中の生活が苦しい」という場合、生活費を貸してくれる求職者支援資金融資制度が使えます。
求職者支援資金融資制度の対象者
求職者支援資金融資制度は以下の条件を満たす人が対象です。
- 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
- ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方
職業訓練受講給付金は「雇用保険の適用がなかった離職者や廃業した人で世帯年収が30万円/月以下」「訓練実施日すべてを出席必須」という条件があります。
ハローワークでの確認書を交付されるには「貸付希望が適切と判断される」「返済する意思があると判定される」「暴力団員ではない」といった条件を満たす必要があります。
どちらの条件も満たせば、職業訓練受講給付金(10万円/月)とは別に生活資金を借りられます。
貸付限度額
求職者支援資金融資制度は月額単位で借りられますが、単身者か配偶者ありかで限度額が異なります。
求職者支援資金融資制度の限度額は以下のとおりです。
世帯 |
限度額 |
---|---|
単身者 | 月額5万円(上限)× 受講予定訓練月数(最大12カ月) |
配偶者 子または親あり(※) |
月額10万円(上限)× 受講予定訓練月数(最大12カ月) |
※生計を同一にしていることが条件
担保人・保証人は不要ですが、利子が年3.0%かかります。
借り入れまでの期間目安
ハローワークの窓口で相談・申し込みができますが、ろうきんの審査もあるため1カ月程度は見込んでおいた方が良いでしょう。
借入までの期間目安となる手順は以下のとおりです。
- ハローワークで確認申請
- 貸付け条件を満たすと判断されば確認書交付
- 職業訓練受講給付金の支給が決定される
- 確認書など必要書類をハローワーク指定のろうきんに持参して手続き
- 審査後、融資開始
ひとり親家庭でお金に困っているなら母子父子寡婦福祉資金を検討してみよう
母子家庭や父子家庭で教育費用や生活費などに困っているなら、「母子父子寡婦福祉資金制度」から融資を受けることもおすすめです。
母子父子寡婦福祉資金について、下記4点を詳しく紹介します。
- 融資制度の特徴
- 対象者
- 貸付限度額
- 借り入れまでの期間目安
母子父子寡婦福祉資金の特徴
母子父子寡婦福祉資金制度は、ひとり親家庭が子どものために教育費(通学教育費など)や生活費、さらには子どもの婚姻準備費など多岐にわたる用途でお金を借りられる制度です。
母子父子寡婦福祉資金は下記12種類あるため、母子家庭や父子家庭で配偶者のいないひとり親がさまざまな目的で融資を受けられるのが特徴となっています。
- 事業開始資金:軽飲食、洋裁など政令で定める事業を始めるのに必要な設備などの経費
- 事業継続資金:現在営んでいる事業を継続するために必要な商品・材料などの購入費
- 修学資金:子を高校・大学などに通わせるために必要な授業料など
- 技能習得資金:事業の開始や就職に必要な知識技能の習得のための経費
- 就業資金:子が事業開始または就職に必要な知識技能習得のための資金
- 就業支度資金:子が就職に必要な被服や履物を購入するための資金
- 医療介護資金:子または寡婦が医療介護を受けるための資金
- 生活資金:知識技能習得機関や医療介護期間などに必要な生活補給資金
- 住宅資金:住宅建設、購入、改築などに必要な資金
- 転宅資金:住宅移転のため住宅貸借に必要な資金
- 就学支度資金:子が就学、修業するために必要な被服等の購入に必要な資金
- 結婚資金:扶養する20歳以上の子が婚姻する際に必要な資金
母子父子寡婦福祉資金の対象者
母子父子寡婦福祉資金制度の対象者は「20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等」となっていますが、「親」が対象のものと「子」が対象のものがあります。
対象者 |
種類 |
---|---|
父・母・寡婦が対象 | ・事業開始資金 |
20歳未満の児童が対象 | ・修学資金 |
※寡婦も対象
貸付限度額
母子父子寡婦福祉資金制度の貸付限度額は12種類それぞれ異なります。
用途や目的によって異なりますので、上限額をきちんと確認しておきましょう。
種類 |
限度額 |
---|---|
事業開始資金 | 3,140,000円 |
事業継続資金 | 1,570,000円 |
修学資金 | ・高校:月額52,500円 |
技能習得資金 | 月額 68,000円 |
修業資金 | 月額 68,000円 |
就職支度資金 | 一般 100,000円 |
医療介護資金 | 【医療】 340,000円 |
生活資金 | 【一般】月額 105,000円 |
住宅資金 | 1,500,000円 |
転宅資金 | 260,000円 |
就学支度資金 | 小学校 64,300円 |
結婚資金 | 300,000円 |
なお、基本的に連帯保証人ありなら無利子、立てなくても年1.0%の低金利で借りられます。
修学資金、修業資金、就学支度資金は無利子です。
借り入れまでの期間目安
母子父子寡婦福祉資金は申込から融資まで1カ月~3カ月かかるとされています。
お住まいの自治体の福祉窓口や家庭児童相談室などで相談・申込できます。
教育一般貸付は、子どもの教育に必要な資金が借りられる
教育一般貸付(国の教育ローン)は世帯年収の制限はありますが、大学などの入学・在学時に必要な融資を最大350万円受けられる制度です。
子どもの人数や家庭環境によって優遇を受けられる場合もありますので、子どもの進学や学費の捻出に困っている保護者におすすめです。
教育一般貸付(国の教育ローン)について、下記の4点を順に説明します。
- 融資制度の特徴
- 対象者
- 貸付限度額
- 借り入れまでの期間目安
教育一般貸付の特徴
教育一般貸付(国の教育ローン)は教育費の公的融資として歴史が長い制度です。
進学・在学する子ども1人当たり350万円以内(条件を満たす場合は450万円)とまとまった金額の教育費を借りることができ、日本学生支援機構の奨学金と併用可能な点が特徴です。
固定金利のため返済スケジュールやシミュレーションが立てやすいのもメリットといえます。
教育一般貸付(国の教育ローン)は下記の用途や使い道で借りられます。
- 学校納付金(入学金、授業料など)
- 受験費用(受験料、交通費、宿泊費など)
- 教科書代、パソコン購入費
- 通学費用
- 在学のための住居費用(敷金、家賃など)
- 留学費用
- 学生の国民年金保険料、その他
教育一般貸付の対象者
教育一般貸付(国の教育ローン)の対象者は「融資対象となる学校に入学・在学するこどもの保護者で、こどもの人数に応じた世帯年収の制限額を超えない方」と定められています。
「融資対象になる学校」とは具体的には下記2点を満たす学校です。
- 修業年限が原則6カ月以上
- 中学校卒業以上の方を対象とする教育機関
多くの高校・高専・大学や専門学校が対象になります。
教育一般貸付(国の教育ローン)の対象となる世帯年収は以下のとおりです。
子の人数 |
世帯年収(所得)の上限額 |
---|---|
1人 | 790万円(600万円) |
2人 | 890万円(690万円) |
3人 | 990万円(790万円) |
4人 | 1,090万円(890万円) |
5人 | 1,190万円(990万円) |
なお、子どもが2入以内の場合は「勤続(営業)年数が3年未満」「海外留学のために借りたい」など、一定の条件を満たせば、世帯年収の上限を990万円まで引き上げることもできます。
子ども2人以内で世帯年収の上限額を上げられる条件(いずれか一つのみ達成で可)
勤続(営業)年数が3年未満
居住年数が1年未満
世帯のいずれかの人が自宅外通学(または予定)者
借入申込人またはその配偶者が単身赴任
融資目的が海外留学資金のため
借入申込人の年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%を超える
親族などに「要介護(要支援)認定」を受けている人がいて、その介護に関する費用を負担
大規模な災害により被災した人
貸しつけ限度額
教育一般貸付(国の教育ローン)は子ども1人につき350万円まで借りることができます。
ひとりあたりの限度額のため、2人なら限度額の合計は350万円×2で700万円となりますが、あくまでひとりあたりの上限額を超えることはできません。
なお、下記条件のいずれかを満たせば、ひとりあたりの貸付限度額を450万円にすることも可能です。
- 自宅外の修学
- 修業年限5年以上の大学(昼間部)
- 大学院
- 海外留学(3カ月以上外国教育施設に留学する場合)
「地元を離れて進学したい」「医学部など4年制より長い大学に行かせたい」など、限度額引き上げの対象となる場合は検討してもよいでしょう。
借り入れまでの期間目安
原則2カ月~3カ月前には申し込みをする方がベターです。
最短で申込~審査完了まで10日、審査後の融資までも最短10日ですが、ほとんどの方が受験~入学シーズンに申し込むため、事実上2カ月~3カ月を目安としておきましょう。
なお、申し込みはインターネットや郵送で行えるため、市役所などに出向く必要はありません。
ただ、審査結果が送られてきた後の契約時は、日本政策金融公庫へ郵送または来店にて必要書類を提出する必要があります。
教育一般貸付(国の教育ローン)の契約に必要な書類は下記のとおりです。
- ご融資のお知らせ(兼借用証書)
- 印鑑証明書
- 合格を確認できる書類(合格通知書、入学許可書等)
- 預金口座振替利用届(金融機関からの自動振替による返済を希望する場合)
- 送金先口座の預金通帳(郵送時はコピー)
将来看護師を目指す人を支援する看護師等修学資金
看護師等修学資金は「将来看護師になること目指し養成施設などに在学中の人が借りられる」制度です。
看護師になりたいのに、経済的困窮などで大学などに通い続けるのが難しいという方におすすめの公的融資制度です。
看護師等修学資金について下記4点を詳しく紹介します。
- 融資制度の特徴
- 対象者
- 貸付限度額
- 借り入れまでの期間目安
看護師等修学資金の特徴
看護師等修学資金は看護師だけでなく保健師、助産師、准看護師を目指している方が借りられる公的融資制度です。
大学など養成施設に通っている間に無利子で融資を受けられます。
退学や卒業(修了)後の翌月から返還が必要になるので(卒業または修了の場合は翌月~半年後)、いわゆる据置期間は他の公的融資制度に比べるとかなり短いです。
看護師等修学資金の対象者
看護師、保健師、助産師、准看護師を目指し大学などに在学していることが条件ですが、さらに下記の要件を満たす学生が看護師等修学資金の対象になります。
- 成績優秀で心身健全であること
- 経済的理由で修学が困難
- 同種の修学資金を借りていない
- 卒業または修了後、指定施設または自治体内の施設で5年以上、看護業務に従事する意思がある
なお、基本的に看護師等修学資金を借り受ける都道府県内の養成施設に通っていて、かつ卒業(修了)後もその都道府県の施設で看護業務をすることが前提となっています。
貸付限度額
看護師等修学資金の貸付限度額は自治体によって異なります。
例えば、東京都の場合は月額10万円が限度額ですが、沖縄県では8.3万円です。
東京都 | 沖縄県 |
---|---|
25,000円 50,000円 75,000円 100,000円 ※いずれか1口 |
・保健師、助産師、看護師は最大36,000円 ・准看護師は21,000円 ・大学院は83,000円 |
借り入れまでの期間目安
看護師等修学資金は「養成施設を通じて毎年4月~5月上旬に申込み」となります。審査通過後の初回振込日は都道府県によりますが、基本的に年に3回に分けて銀行口座に融資資金が振り込まれます。たとえば、東京都なら4月分~9月分は8月にまとめての振り込みです。
他の公的融資制度のように「いつでも申し込めて、申し込んでから何日後に融資がある」といったものではないので、対象者は忘れずにご自身が通う養成施設に申請をすることが大事です。
中小企業や個人事業主が国からお金を借りるなら「日本政策金融公庫の融資制度」が利用可能
中小企業の経営者や個人事業主が事業資金や開業資金を借りるなら、「日本政策金融公庫」からお金を借りる方法がおすすめです。
日本政策金融公庫とは、国の政策に基づき中小企業やスタートアップ企業、個人事業主の資金調達を支えることを目的としている公的機関で、民間の銀行より事業資金の融資が受けやすい特徴があります。
「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を掲げているので、もしメガバンクや地銀から事業資金や開業資金の借り入れを断られてしまった場合でも、日本政策金融公庫なら融資を受けられるかもしれません。
日本政策金融公庫の貸付制度は、主に「一般貸付」と「新創業融資制度」に分けられます。
一般貸付 | ・ほとんどの業種の中小企業が利用可 ・運転資金や設備投資などの用途 |
---|---|
新創業融資制度 | ・新たに事業を始めるまたは事業開始後税務申告を2期終えていない方 ・無担保、無保証で借りられる ・他の融資制度との併用 |
一般貸付は「事業を営むほとんどの業種の方が利用できる」とされているので、すでに会社や事業を経営している中小企業の方や個人事業主は、まずこちらを検討するとよいでしょう。
新創業融資制度は、文字通り新しく事業を立ち上げたい方におすすめで、開業直後の運転資金や設備投資において最大3,000万円融資を受けられます。
一般貸付
日本政策金融公庫の一般貸付は、ほとんどの中小企業や個人事業主が運転資金で最大4,800万円、特定設備投資で最大7,200万円借りられる融資制度です。
制度 | 貸付限度額 |
金利(※) |
返済期間 |
---|---|---|---|
運転資金 | 4,800万円 | 基準利率 (年1.94%~2.90%) |
5年以内(特に必要な場合7年以内) 据置期間は1年以内 |
設備資金 | 4,800万円 | 基準利率 (年1.94%~2.90%) |
10年以内 据置期間は2年以内 |
特定設備資金(※) |
7,200万円 | 基準利率 (年1.94%~2.90%) |
20年以内 据置期間は2年以内 |
※特定設備資金は取扱商品や業種の変更など大きな変化を伴う場合
※利率は返済期間または担保の有無によって異なる
基本的な運転資金、設備資金で最大4,800万円借りられますし、業種などを抜本的に変更するなら「特定設備資金」で最大7,200万円もの融資額になります。
設備資金・特定設備資金は返済期間も10年~20年以内と長いため、中小企業や個人事業主で設備投資などの資金調達をしたい方は検討してみてもよいでしょう。
新創業融資制度
新創業融資制度はスタートアップ・創業支援を目的としているため、新たに事業を始める(創業)する人が一般貸付などと併用で活用できる制度です。
新創業融資制度の対象者になるには、下記2点を満たしている必要があります。
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
創業時に自己資本(事業に使用する資本のみ対象)が創業資金総額の10分の1以上あること
貸付限度額は3,000万円(うち運転資金が1,500万円)で、事業を立ち上げるための資金や開業直後の運転資金に充てることが可能です。
金利(利率)は併用する制度や返済期間によって年1.84%~3.20%になります。
返済期間は併用する融資制度によって異なり、例えば一般貸付と併用なら最大20年以内です。
国の公的融資制度なら信用情報の事故情報(ブラックリスト)は関係ない?
もし、生活や資金繰りに困窮していて「延滞などの金融事故を起こしたことがある」「自分はブラックリストに載っているかも」という人は、国からお金を借りる公的融資制度でも審査落ちしてしまうリスクを恐れているかもしれません。
結論から申し上げますと、「個人向けの公的融資制度なら個人信用情報に傷があってもチェックされない」「日本政策金融公庫の場合は確認される場合がある」といえます。
個人向け公的融資制度 | ・生活困窮者などを対象にしているためチェックしない |
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日本政策金融公庫 | ・CICに加盟しているため、信用情報を閲覧できる |
生活福祉資金貸付制度など、個人向けの公的融資制度はそもそも「生活に困窮している低所得層や急に働けなくなって一時的に収入がかなり低い状態の人」を救済するためにあります。
そのため、再就職の意欲が見受けられる、または返済の目途が立つと判断されれば、信用情報のチェックは原則されず、個人や世帯の状況や今後の展望が重視されます。
一方、中小企業や個人事業主で日本政策金融公庫からお金を借りたい場合は、信用情報をチェックされたり、融資の相談面談で確認が入ったりするかもしれません。なぜなら、日本政策金融公庫は「CIC(シー・アイ・シー)」という個人信用情報機関に加盟しており、申込者の信用履歴(クレジットカードの延滞履歴やキャッシングの利用歴)を閲覧できるためです。
CICは割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けている機関で、主にクレジットカード会社などが加盟しています。
CICではクレジットカード利用や申込歴、支払い状況やカードローンなどの利用状況を加盟業者が閲覧できるため、日本政策金融公庫もCICのデータを閲覧して、申込者が延滞を繰り返すなどの金融事故を起こしていないかなどを確認はできます。
CICなどの信用情報機関のデータに「延滞あり」など記録されている状態を、俗に「ブラックリストに載っている」と呼んだりします。
そのため、中小企業の代表者や個人事業主がCICの信用情報でまずい点があると、審査が不利になる可能性はあります。
まとめ
公的融資制度や日本政策金融公庫は、いずれも審査や融資に時間がかかります。どうしても「緊急で即日お金を用意したい」という場合は、消費者金融を検討しましょう。
消費者金融と聞くと「怪しい」「怖い」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、消費者金融や闇金ではなく「貸金業法に基づく貸金業者」と金融庁にも認められています。金融庁から登録を受けた「貸金業者」の消費者金融なら、合法的に安全に借りられます。
消費者金融の大きなメリットは、「即日融資が可能」という点です。最短20分~30分程度で申込みから融資までWEB完結できる消費者金融も複数あるため、今すぐお金を借りたい場合はこれら業者の利用を検討しましょう。