田尻 宏子

この記事の監修者

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

田尻 宏子さん

急にお金が必要になったときに、ふと頭によぎる「キャッシング」。

ただし、キャッシングと一言でいっても、こんなことを思ったことはありませんか?

  • キャッシングって具体的にどんなサービスのこと?
  • カードローンとキャッシングの違いは?
  • キャッシングでお金を借りる方法は?
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今回は、知っているようで意外と知らない、キャッシングの基礎知識や、初めて借りる人が抱く疑問・悩みにまるっとお答えしていきます。

キャッシングとは何?

キャッシングとは、クレジットカードやキャッシングカードを利用して、インターネットやATM、キャッシュディスペンサー(CD)などでお金を借りることができるサービスです。

一般的には、クレジットカード付帯のキャッシング枠のことを「キャッシング」と呼びます。

本記事では、クレジットカード付帯のキャッシング枠のことを「キャッシング」として、解説を進めます。

キャッシングの返済方法は主に2種類ある

クレジットカードのキャッシングの返済方法は、主に次の2種類で、借入時にどちらの方法で返済するかを選びます。

  • リボルビング払い(リボ払い):
    借入額に応じて毎月の返済額が変動し、利息が再計算されながら返済する
  • 一括返済:
    借入額を、翌月に1回で全額まとめて支払って返済する

例えば、金利が年18.0%のキャッシングで10万円を借りた場合、「一括返済」と「リボ払い」で返済額にいくらの違いが出るかを比較してみましょう。

金利が年18.0%のキャッシングで10万円を借り入れた場合
一括返済 リボ払い
1回あたりの返済額 10万円 3,000円
利息 1,479円 39,639円
支払回数 1回(1カ月) 47回(3年11カ月)
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利息だけで23,907円も差があり、返済期間も2年半以上の差があります。

どちらの支払い方法もメリット・デメリットはありますが、返済総額を少しでも減らしたいなら「一括返済」を選択することをおすすめします。

一括返済とリボ払いはそれぞれメリット・デメリットがあり、いずれにしても計画的に利用する必要があります。

クレジットカードのキャッシングとカードローンの違い

キャッシングと似た言葉に「カードローン」もありますが、それぞれ何が違うかを確認しましょう。

キャッシングとカードローンの違いは、次のとおりです。

  • クレジットカードのキャッシング機能:
    クレジットカードのキャッシング枠でお金を借りる。
    カードローンよりも金利は高い傾向。
    利用限度額はショッピング枠の50%~90%程度の枠内になる。
  • カードローン:
    消費者金融・銀行・信販会社などの金融機関が行う個人向けの融資サービスで、カードローン専用カードを使ってお金を借りる。
    キャッシングよりも金利は低い傾向で、利用限度額は高く設定できる。

それぞれ特徴があり、状況によって向き不向きがあるので、自分に合ったサービスを選んで利用しましょう。

まとめると、キャッシングとカードローンは、それぞれ次のような人が向いているといえます。

クレジットカードのキャッシング機能

  • 緊急で一時的に現金が必要な方
  • 借入額が少額な方
  • 一括返済できる方

カードローン

  • 借り入れを複数回繰り返す可能性のある方
  • 急ぎで現金を用意しなくてはいけない方
  • 現金が必要になったときのため、備えておきたい方
  • 利息を抑えたい方

クレジットカードのキャッシングの4つの注意点

便利なクレジットカードのキャッシング機能ですが、以下のような注意すべき点があります。

クレジットカードのキャッシングの4つの注意点

  • 金利が18.0%前後と高めの設定
  • 法人向けカード(コーポレートカード)はキャッシング利用できない場合がある
  • 住宅ローンの審査・借入額にマイナスの影響がある
  • キャッシング枠を他人に不正利用されても補償されない

【注意点①】金利が18.0%前後と高めの設定

クレジットカードのキャッシングの金利を、消費者金融カードローン・銀行系カードローンの金利と比較してみましょう。

下の表は、100万円未満の借入時の各社の金利の比較表です。

100万円未満の借入時の金利比較
種類 企業名・商品名 金利
クレジットカード 楽天カード 年18.0%
三井住友カード 年18.0%
エポスカード 年18.0%
JCB一般カード 年15.0%~18.0%
銀行カードローン 三菱UFJ銀行バンクイック 年13.6%~年14.6%
三井住友銀行 カードローン 年12.0%~14.5%
みずほ銀行カードローン 年14.0%※
消費者金融カードローン アコム 年7.7%~18.0%
アイフル 年3.0%~18.0%
プロミス 年4.5%~17.8%
SMBCモビット 年3.0%~18.0%

※住宅ローンの利用で、本カードローンの金利を年0.5%引き下げます。引き下げ適用後の金利は年1.5%~13.5%です。

クレジットカードのキャッシングは、金額に関わらず年率が決められています。

上限金利を比較すると、消費者金融カードローンとほぼ同じです。しかし、消費者金融カードローンの場合は、限度額に応じて金利が下がることがあります。

また、消費者金融カードローンやクレジットカードに比べ、銀行カードローンの平均上限金利は、約4.0%も低くなっています。

クレジットカードでのキャッシングは臨時的な利用には適しているものの、日常的な利用には不向きといえるでしょう。

【注意点②】法人向けカード(コーポレートカード)はキャッシング利用できない場合がある

クレジットカードの契約者が法人になっている場合、キャッシングを利用できないケースがあります。

クレジットカード会社が法人向けカードのキャッシングを可能にすると、法人向けの融資=事業性資金としての利用という扱いになってしまいます。

事業性資金は、一般的な貸付よりもリスクの高い資金使途で、回収不能に陥るリスクが高くなってしまいます。

このような理由から、法人向けクレジットカードの場合、キャッシングを利用できない場合があります。

【注意点③】住宅ローンの審査・借入額にマイナスの影響がある

住宅ローンの審査では、利用者の返済能力を精密に審査した上で借入可能額を計算します。

利用者のクレジットカードにキャッシング枠が設定されている場合、「キャッシング枠で借入されてしまう可能性がある」と判断され、住宅ローンの借入可能額にマイナスの影響が出る可能性があるのです。

住宅ローンの利用を検討している方は、利用しないキャッシング枠を削除する対応をおすすめします。

【注意点④】キャッシング枠を他人に不正利用されても補償されない

通常クレジットカードのショッピング機能で他人の不正利用があった場合は、補償の対象になり、利用者側の損害はありません。

しかし、キャッシングの不正利用は補償の対象外となり、利用者が損害の責任を負います。

使わないキャッシング枠を放置し、不正利用された場合も高いリスクを負うことになります。使わないキャッシング枠は利用を停止するなど、リスクを踏まえた対処をおすすめします。

クレジットカードのキャッシングではいくら借入できるか

キャッシング機能の利用限度額を意味する「キャッシング枠」では、ショッピング枠の50%~90%程度の枠内でお金を借りることができます。

キャッシング枠は、メイン機能であるショッピング機能の限度額の範囲内、ショッピング枠の一部として考えられています。

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例えば、ショッピング枠50万円、キャッシング枠20万円のクレジットカードで40万円分の買い物をしている場合、使えるキャッシング枠は10万円になってしまいます。

昨今、キャッシング枠を利用して現金化するという人もいますがキャッシング枠を利用して現金化するのは、クレジットカード会社の利用規約に違反するため、決して行わないように致しましょう。

※規約は、下記から確認できます。

dカード
楽天カード
エポスカード

クレジットカードのキャッシングを利用する流れ

クレジットカード付帯のキャッシング機能では、審査に通過している必要があります。

まだの場合は、審査の申込みから始めてください。

審査に通過した人は、ATMやインターネット、専用電話で手続きをすることが可能です。

※海外でキャッシングを利用したい方は、一部サービスごとに海外キャッシュサービスの利用枠がありますので、そちらを事前に設定しておく必要があります。

ここでは、インターネットとATMでキャッシングを利用する方法を紹介します。

インターネットからキャッシングを利用する方法

WEBサイトやアプリのマイページから、手続きをします。

手続きが完了すれば、最短翌日に指定の銀行口座に振込みがあります。

ATMでキャッシングを利用する方法

銀行や提携コンビニATMで自分の預金口座からお金をおろす方法とあまり変わりがありません。

基本的な操作手順は以下のとおりです。

  1. クレジットカードブランドロゴの記載を確認するクレジットカードブランド
  2. 「お引き出し」ボタンを押す。
    ※「クレジットカード」のボタンがある場合はそちらを選択します。
  3. 「お借入れ」ボタンを押す
  4. クレジットカードをATM端末に挿入する
  5. 暗証番号を入力する
    暗証番号を入力する
  6. 希望の取引を選択する。
    (※一回払い、リボ払いなど)
  7. 希望の借入金額を入力する
  8. 現金を受け取り、明細書を受け取る

※クレジットカードにより手順が異なる場合があります。

※希望の取引で「カードローン」「キャッシングサービス」の2つが表示された場合は、次の取扱いになります。

  • カードローン:リボ払い
  • キャッシングサービス:一回払い

初めてクレジットカードのキャッシングを利用するときの審査と必要書類

クレジットカード付帯のキャッシングを利用する場合、書類を提出する必要はありません。

クレジットカードを作るタイミングで同時に申込むか、クレジットカード発行後にマイページやWEBサイトからキャッシング枠の追加を申込みます。

なお、クレジットカードのキャッシングでも、審査の最重要ポイントはズバリ「借りたお金を返せるか」の一点です。

具体的に審査で重視されているポイントをチェックしましょう。

キャッシングの審査で重要視されるポイント!
審査項目 ポイント解説
安定継続した収入 毎月の安定した収入があるかどうか
他社の借入金額 他社の借入金額を合算して、年収の3分の1以内が条件です(※)
他社の借入件数 他社の借入がすでに3件~4件あると、新規借り入れは厳しいです
他社の返済状況 他社返済に2カ月以上の遅れがあると、ほぼ審査は通りません
住居状況 持ち家、住宅ローン無しだと、審査にかなり有利です
正直な申込情報 申込情報に嘘があると審査がかなり厳しくなります

特に審査に大きく影響するのは以下のような項目です。

安定継続した収入」は、一部の例外を除いて必須条件です。収入がなければ毎月の返済ができませんから当たり前ともいえるでしょう。

他社の借入状況」も重要視されます。
借入「金額」はもちろん借入「件数」が意外なほどに重要視されます。
あまり他社借入の件数が多くなると「計画的に利用できていない」とみなされてしまうのです。

また「他社返済に大きな遅れ(目安は2カ月以上の返済遅れ)」が出ている場合も審査に影響があります。
他社借入は嘘をついても、個人信用情報を照会ですべてバレてしまいます。

他社借入状況は、申込時に自己申告しなければなりません。
自己申告情報と個人信用情報にズレがあると、たとえうっかりの申告漏れだとしても「嘘をついている」とみなされ審査上不利になってしまいます。

もちろんクレジットカード会社によって多少、審査基準は異なります。
しかし、ここで紹介したポイントを重視しないことはないといっても過言ではないでしょう。

クレジットカードのキャッシングより利息を抑えるならカードローンも検討しよう

まとめると、クレジットカードのキャッシングと、カードローンでは、次のような違いがあります。

キャッシング 一括払いができるような金額や、一括払いにしたほうが利息を抑えられてお得だ、という場面には、キャッシングが便利です。
カードローン 一括払いが難しいような金額を借入れた場合には、リボ払いのカードローンがおすすめです。

キャッシングとカードローンはどちらも頼りになるサービスですが、借りたお金はいずれ返さなくてはなりません。また返済には利息がつき、借りた金額よりも多めに返す必要があります。

一括払いの方がお得なのであればクレジットカードのキャッシングを検討してみると良いでしょう。

また、借入金額と返済期間を考慮し、長期間の返済になるのであればカードローンの利用も検討してみましょう。

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初めて借入をする方におすすめのカードローンは金利0円の無利息期間サービスのある消費者金融か、金利が抑えられる銀行カードローンです。

初めての人におすすめのカードローン①:無利息期間があるカードローン

大手消費者金融で無利息期間があるカードローンは下記の4つです。

※1.30日間無利息サービスを利用するには、メールアドレス登録とweb明細利用の登録が必要となります。
※2.Web以外の無人店舗や電話で申し込むと、借入額全額30日間無利息または借入額5万円まで180日間無利息のどちらかになります。60日間無利息(Webでの申込み限定)、180日間無利息それぞれ契約額1万円~200万円まで。30日間無利息、60日間無利息(Webでの申込み限定)、180日間無利息それぞれの併用はできません。無利息開始日は初回契約日の翌日からとなります。無利息期間経過後は通常金利適用。貸付利率は契約額および利用残高に応じて異なります。

この中でも特におすすめなのが「プロミス」です。

プロミスがほかの会社と異なるところは、無利息期間のスタート期間です。

ほかの会社が「契約したとき」から無利息期間がスタートするのに対して、プロミスは初めて契約した方が初回出金日の翌日から30日間は無利息がスタートとなります。利息ゼロでの借入はお得なのでぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

プロミス利用者の口コミ・評判
  • 電話の対応もよく、安心して借りることができました。
  • ATM設置店舗数が多く便利
  • インターネットで手続きできるので便利ですし、対応も迅速で良かったです。

口コミをもっと見る

プロミス

総合評価

  • 4.0点
実質年率 利用限度額 無利息期間
年4.5%~17.8% 最大500万円 30日間
審査時間 融資時間 お試し審査
最短3分※ 最短3分※

おすすめポイント

  • 金利が年17.8%でほかの消費者金融より低め!
  • 初回借入れの翌日から30日間は利息0円!
  • カードレスで借入も返済もできる!

※審査時間・融資時間:申込みの時間帯、利用する銀行、曜日、または本人確認書類の提出状況によって、当日中の融資ができない場合があります。
※無利息期間:30日間無利息サービスを利用するには、メールアドレス登録とWeb明細利用の登録が必要です。
※18歳・19歳の申込みについて:申込時の年齢が19歳以下の場合は、収入証明書類の提出が必須となります。高校生(定時制高校生および高等専門学校生も含む)は申し込めません。

初めての人におすすめのカードローン②:銀行カードローン

「三菱UFJ銀行カードローン バンクイック」比較的金利が低く、おすすめの銀行カードローンです。

三菱UFJ銀行カードローン バンクイック利用者の口コミ・評判
  • 借入時には三菱UFJ銀行・提携コンビニATMが利用できるので、特別な手続きもなく思ったより簡単だった。また、通常の銀行の入出金と見た目が変わらないため、抵抗感が無かった。
  • 銀行系のキャッシングは金利が低いので良い。
  • 手近で負担は感じなかった。

もっとほかのサービスを見たい方や目的に応じて探したい方はこちらのページも参考にどうぞ。

今すぐ借りたい方におすすめ!

まとめ

キャッシングの基礎知識や、カードローンとの違いなどをまとめて紹介しました。

キャッシングだけ、カードローンだけという使い方ではなく、その時々に応じて使い分けていく、という方法がおすすめです。

あらかじめ審査を受けておいて、利用枠を用意しておけば、必要なときにいつでも使うことができます。準備さえしておけば、もう急な出費に困る、というようなこともなくなるでしょう。

田尻宏子

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

監修者 田尻宏子の一言コメント!

コメント

キャッシングとカードローンはATMから出金できる点が似ています。ただ、金利はキャッシングの方が高い傾向にあるため、一時的に足りないお金を借りたいときはクレジットカードに付帯するキャッシングを利用し、何度も貸し借りを繰り返すことが予想される人はカードローンを契約するといいでしょう。
また、カードローンには即日融資や無利息期間があるカードもあります。自分のニーズに合わせてどの会社と契約するか検討しましょう。
どちらの借入も利息は日割り計算です。借入をするときは返済シミュレーションなどを使い、完済までの計画をしっかり立ててください。キャッシング、カードローンともになるべく早く返済することをおすすめします。