「前期の授業料はなんとか納付したけど、後期分を納付する自信がない」
「奨学金を利用したいけど、返済に苦労しないか心配」
お金がないのに将来的にどのくらいの学費がかかるのか不安でしかたがない」

学費というのは本当に大変なもので、どうやって支払っていけば良いか悩んでしまうことってありますよね。
学校へ通い続けるためには、なんとかして学費を工面しなければなりません。
収入の中から支払えるのが理想ですが、お金を借りることも検討する必要があるかもしれませんね。

このように奨学金を利用したり、お金を借りたりすることを考えているあなたなら、次のような疑問があるのではないでしょうか。

  • 学校種別ごとに、どのくらいの学費がかかるのか知りたい
  • 学費が払えない場合のリスクを知っておきたい
  • お金がなくて学費が払えない場合の対処法を教えてほしい
  • 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の利用方法や注意点が知りたい
  • 金融機関でお金を借りる場合のおすすめがあったら教えてほしい

こちらの記事では、FP目線で責任を持っておすすめできる、学費の借入方法を解説していきます。
最後までお読みいただくことで、あなたにとって最適な借入方法を判断できるようになるでしょう。

お金がないから学費が払えない時にお金を借りる手段

学費を払うためにお金を借りる時には、次のいずれかの方法があります。

  • 奨学金を利用する
  • 国の教育ローン(日本政策金融公庫)を利用する
  • 銀行系の教育ローンを利用する
  • 銀行・消費者金融のカードローンやフリーローンを利用する

それぞれの方法のメリット&気をつけたいポイントを順番にチェックしていきましょう。

奨学金制度を利用する

学費を工面する方法として、真っ先に思い浮かぶのが「奨学金」ではないでしょうか。
奨学金の制度としては「日本学生支援機構」のものが最もよく知られているでしょう。
その他にも「私学財団」「公益財団法人」「市区町村」「大学」などの奨学金制度もあります。

これらの奨学金制度は「給付型」と「貸与型(有利子・無利子)」の大きく2つに別れます。
それぞれの場合のメリットや気をつけたいポイントを簡単にまとめましたので参考にしてみてください

メリット 気をつけたいポイント
給付型奨学金 ・基本的に返済の必要がないので経済的負担の心配はいらない ・募集枠に限りがあり、成績も加味されることも多く、希望しても利用できない場合も多い
貸与型奨学金 ・給付型よりも格段に利用しやすい
・金融機関の教育ローンよりも低金利の場合も多い
・返済の据置期間があることが多い
・大卒資格で生涯賃金がアップする可能性も

※返済負担よりもメリットが上回る場合も多い

・卒業後に返済しなければならない
・無利子の場合は成績などの基準がやや厳しめ
・有利子の場合は利息負担を考慮する必要あり
・親と子のどちらが返済するのかはっきりしておかないと後で親子トラブルになりやすい

給付型の奨学金なら受取るだけで良いので「これこそが奨学金」だと実感できることでしょう。

しかし給付型の奨学金は当然ながら非常に高い人気があります。
給付奨学金の財源にも限りがありますから、希望したから利用できるというわけにはいきません。

奨学金を給付する側としては評判や実績向上に貢献してくれる優秀な学生に入ってもらいたいわけです。
そのため給付型の奨学金を利用するのは、原則として高いハードルをクリアした選ばれた学生だけとなります。

貸与型の奨学金は、給付型よりは格段に利用のハードルが下がります。
ただし給付型と違って、卒業後には返済しなければなりません。

これを奨学金と呼んでも良いものなのか少々疑問で、「進学貸付金」とでも名前を変えたほうが良いのではと感じます。
返済猶予期間が設定できる場合もありますが、基本的に卒業後には毎月の返済が始まるのです。
とくに有利子の奨学金は、教育ローンとかなり似ていると言って良いでしょう。

「奨学金」といっても貸与型の場合は「借金」と同じです。
実際に返済に遅れてしまうと信用情報に登録されるなど、ローンの延滞と同じようなペナルティを受けることになります。

奨学金は、将来子どもに経済的な負担を背負わせてしまう?

貸与型奨学金の返済に苦しむ子どもの記事を目にしたことがあるかたもいらっしゃるかもしれません。
奨学金(貸与型)は原則として学生本人が借り手となり、卒業後に返済していくものです。
しかし「学生本人が借りる」という自覚がないまま、なんとなく利用してしまうことも見受けられます。

結局は親が返済してくれるものと、期待している学生は案外と多いのかもしれません。
親と子のどちらが返済するのかをはっきりしておかないと、後で親子間でのトラブルが心配されます。

また、将来子どもに返済を背負わせるのは酷に感じられる方もいらっしゃるでしょう。
実際に返済が始まると少ない初任給から返済金額を出すのはキツイと感じる場合が多いようです。

子どもに完全に返済をさせる前提で、貸与型の奨学金を利用するのはよくよく考えたほうが良いのかもしれません。
人生勉強の一環として有効な面も確かにあるのでしょう。
しかし、子どもが返済に苦しんでいるなら、可能な限り親のアシストを検討しても良いのではないでしょうか。

★忙しい方のための瞬速まとめ

  • 奨学金(貸与型)は原則として学生本人が借りるもので、卒業後に自分で返済するのが建前となっている
  • 親と子で返済についてきちんと決めておかないと、後で親子間トラブルになりやすい
  • 実際の返済が始まると、想像以上の負担感の大きさに悩む子どもは意外と多い
  • 子どもが返済に苦しんでいる場合は、親もできる限りはアシストを検討するようにしたい。

国の教育ローン(日本政策金融公庫)を利用する

国の制度である、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を利用することも考えられます。
年1.76%の固定金利と比較的低金利で、最高350万円まで借入可能となっています。

教育ローンを利用するつもりなら、日本政策金融公庫の教育ローンを最優先で検討するのが良いでしょう。

なお、日本学生支援機構の奨学金との併用も可能です。
「奨学金の不足分だけを日本政策金融公庫で借りる」といったこともできるわけですね。

対象条件

申込人となるのは、原則として融資対象の学校に入学・在学する方の保護者です。
ただし場合によっては親族などでも利用できる場合があります。
また学生本人が成人で、安定収入があり独立生計を営んでいる場合は学生本人が利用できる場合もあります。

申込対象条件など ワンポイント解説
収入条件 昨年の世帯年収(所得)下の表の金額以内の方が対象となります

※申込者の世帯で扶養している子の人数によって世帯年収(所得)の上限が異なります
※収入の下限の設定はありませんが、審査により利用できない場合もあります

扶養している
子の人数
世帯年収(所得)の上限額
1人 790万円(590万円)※緩和要件あり
2人 890万円(680万円)※緩和要件あり
3人 990万円(770万円)
4人 1,090万円(870万円)
5人 1190万円(970万円)

※扶養している子が2人以内の場合、勤続年数や居住年数など、いくつかの要件に該当する場合は990万円(770万円)まで上限額が緩和されます。
※昨年年収が上限オーバーしている場合でも、今年の年収が上限を下回る見込みがある場合は利用できる場合があります。

融資対象の学校
  • 大学、大学院(法科大学院など専門職大学院を含みます)、短期大学
  • 専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校
  • 高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
  • 外国の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校
  • その他職業能力開発校などの教育施設
資金使途
  • 学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など)
  • 受験費用(受験料、受験時の交通費・宿泊費など)
  • 在学のため必要となる住居費用(アパート・マンションの敷金・家賃など)
  • 教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、修学旅行費用、学生の国民年金保険料など

日本政策金融公庫公式サイトより抜粋

国の教育ローンの利用条件で最も重要になってくるのが「世帯年収」です。
民間のローンでは収入が多ければ多いほど審査に有利ですが、国の教育ローンでは収入が多すぎる場合は利用できません。
なお収入の下限設定はありませんが、審査により利用できない場合もあります。

申し込み方法

「国の教育ローン」は24時間365日インターネットからいつでも申込可能です。
日本学生支援機構の奨学金のように、高校などを経由して申込む必要はありません。

日本政策金融公庫の「国の教育ローン」ページの申込ボタンから申込手続に進んでください。

日本政策金融公庫 教育ローン申し込みの流れ

  1. インターネットで申し込み
    ・メールアドレスを登録→アドレス登録完了後にメールが届きます
    ・メール内のURLからアクセスして申込入力フォームへ進みます
    ・入力完了後に申込受付確認メールが届きます
  2. 必要書類の準備・提出(郵送・来店)
  3. 審査結果の連絡(必要書類の提出から10日前後)
    ご融資のお知らせなどの書類が送付される
  4. 契約手続

    ※契約に必要な書類を郵送または来店で提出

  5. 融資実行(審査結果連絡から10日前後)

    ※入学資金の場合は合格通知などが確認されたのちに入金となります

    国の教育ローンはインターネットから気軽に申込可能です。
    ただし郵送での書類のやり取りがあるため、Webだけで手続は完結できません。
    順調に手続が進めば、申込完了から20日ほどで融資を受けることができます。

    注意点

    日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を利用する場合、さまざまな注意点があります。
    とくに気をつけたい部分は以下のとおりですので、申し込み前に必ずチェックしてください。

    • 申込から入金まで20日程度かかります
    • 審査または契約時に申込本人の来店が必要になる場合があります
    • 申し込みには以下の書類の提出が必要になります
      • 「住民票の写し」または「住民票記載事項証明書」

        ※続柄を含む世帯全員が記載された原本

      • 運転免許証またはパスポート

        ※どちらもない場合は要電話相談

      • 源泉徴収票または確定申告書(控)
      • 預金通帳(最近6か月以上の記帳が確認できるもの)

        ※住宅ローン(または家賃)と公共料金の両方の支払状況を確認できるもの
        ※公共料金(電気、ガス、水道、電話など)は2種類以上確認できる必要あり
        ※コンビニ等で支払っている場合は最近6か月分以上の領収書
        ※クレジットカード支払いの場合は、カード利用明細書と、預金通帳を両方提出

    • 入学資金申込の場合は「合格通知書」「入学許可証」など合格を確認できる書類を提出します

      ※合格前の申込の場合は、契約時までに提出でOK

    • 在学資金の申込の場合は「学生証」「在学証明書」+「使いみちを確認できる書類」(学校案内・授業料納付通知書など)を提出します
    • 連帯保証人ありの場合は保証料不要ですが、連帯保証人なしの場合は保証料の支払いが必要になります(※下記保証料の目安を参考にしてください)
    保証料の目安(融資額100万円あたり)
    返済期間 利息のみ返済(元金据置)期間
    なし 2年 4年
    5年 18,182円 21,818円 25,454円
    10年 35,985円 43,182円 50,379円
    15年 53,991円 64,789円 75,587円

    ※平成29年10月2日以降の保証料
    ※交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭の方は、上の表の2/3の額になります
    ※元金の返済を24か月以上据え置きする場合は、保証料が増額されます

    国の教育ローンでは、6か月分の公共料金(2種類以上)の支払いを確認できる書類の提出が必要になります。
    預金通帳から口座引落としになっていない場合、領収書やクレジットカードの明細なども必要になってきます。
    領収書を紛失、もしくは処分してしまった場合、支払証明書等の発行を求められる可能性があります。
    公共料金の支払確認は意外とネックになりやすい部分ですから、事前に確認&準備しておきましょう。

    ★忙しい方のための瞬速まとめ

    • 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」と日本学生支援機構の「奨学金」は併用可能
    • 国の教育ローンの申込者は原則として学生の保護者
    • 申込条件のキーポイントとなるのが「扶養している子の人数」と「世帯年収」
    • 下限年収の設定はないものの、審査により利用できない場合もある
    • 国の教育ローンは24時間365日、いつでもインターネットから申込可能
    • 必要書類では、6か月分の公共料金の支払確認に注意

    銀行系の教育ローンを利用する

    「教育ローン」は数多くの金融機関で取扱があります。
    教育ローンは全体的に、個人ローンとしては比較的低金利と言える水準です。
    また教育ローンによっては貸与型の奨学金と同様に、5年程度の据置期間を設定できることがあります。

    銀行系の教育ローンが優れているのは、審査スピードが国の教育ローンや奨学金よりも速いというところでしょう。
    最短翌営業日~5営業日程度で回答が得られる場合が大半です。

    また金融機関によってはリピート利用ができる教育ローン商品が選べるのも大きな魅力です。
    教育資金は何かと出費がかさむもので、いざという時に手軽にリピート融資を受けられるのは便利です。

    さらに金利面でも、国の教育ローンにも勝るとも劣らない低金利の教育ローンもあります。
    入学シーズンが近づくと、キャンペーン金利が適用される場合もあるのでチェックすると良いかもしれません。

    ただしフリーローンタイプの教育ローンですと、高金利設定の場合があるので注意が必要です。
    メガバンクの教育ローンであっても、必ずしも低金利ではありません。
    むしろ信用金庫などの地域金融機関の教育ローンのほうが安いことは珍しくないのです。

    金融機関の教育ローンを検討する際は、金利をしっかりと比較するようにしてください。
    可能であれば年3.0%程度までの金利に収まるのが理想です。

    銀行・消費者金融のカードローンやフリーローンを利用する

    銀行カードローンや消費者金融のカードローンは、他の借入手段と比較すると、どうしても金利の高さが目立ちます。
    そのため、学費のメインの借入先としては適していません。

    ただし他の貸付方法では対応できない「緊急一時的」な費用を借りるのであれば、検討しても良いでしょう。
    数か月以内で完済できる見込みであれば、さほど金利の高さを気にする必要はありません。
    とくに下記で紹介するような消費者金融の「無利息期間」を上手に利用すれば、さらに利息負担を軽減できます。

    カードローン名称 ワンポイント解説
    銀行 イオン銀行カードローン
    • 上限金利年13.8%は銀行カードローンの中では比較的低金利
    • イオン銀行、イーネット、ローソンのATMが利用手数料0円
    • スマホかららくらく増枠申込。増枠否決時も従来の限度額はそのまま利用可能
    • 郵送不要・口座不要
    横浜銀行カードローン
    • 来店不要のWeb完結利用可能
    • 横浜銀行、セブン銀行ATM、ローソン銀行ATM、イーネット、イオン銀行のATMがいつでもATM利用手数料0円
    • 小田急線全70駅に横浜銀行ATMを設置済で借入&返済に便利
    消費者金融 プロミス
      • 初回利用日の翌日から30日間の無利息期間あり
      • 教育資金は上限金利16.5%の「目的ローン」を利用可能
      • 最短3分審査、即日融資可能
      • プロミスATM、三井住友銀行ATMが利用手数料0円

    アイフル
    • 初回契約日の翌日から30日間の無利息期間あり
    • 最短18分※審査、最短18分※で融資可能
    • 郵送物一切なしのWeb完結
    • 便利機能充実のスマホアプリが利用可能
    • スマホATM取引対応で、セブン銀行ATMをカードレスで利用可能

    ※横浜銀行カードローンは、東京都全域、神奈川県全域および群馬県の一部(前橋市、高崎市、桐生市)に在住または在勤されている方に限定されます
    ※アイフルの審査時間・融資時間:申込の状況によっては希望にそえない場合があります。

    学費が払えない時にお金を借りる以外の対処法はある?

    学費が払えないけれど、極力お金を借りたくない人は、「分納」や「延納」の相談をしてみましょう。

    大学の学費支払は「一括」もしくは「前期・後期の分割」での支払方法があります。
    「前期・後期の分割」を基本としている大学がより多い傾向です。

    年2回の支払でも厳しい場合には、4期分割~隔月(年6回)程度に分割できる場合もあります。
    さらに経済的に厳しい場合には、相談により一定期間の延納を認められる場合もあるようです。

    メリット 気をつけたいポイント
    学費の分納
    • 毎回の支払金額が少なく抑えられる
    • 分納の申請はそれほど難しくないことが多い
    • 分割回数が増えるほどに、支払回数も増える
    学費の延納
    • 延納期間中に学費を準備することができる
    • 支払が先に伸びるだけで、支払額は変わらない
    • 事情が認められないと延納は利用できない

    あらかじめ基本設定されている分納制度であれば、申請すれば誰でも分納できます。
    しかし例外的な分納の場合は、申請しても100%分納が利用できるわけではありません。
    分納制度の趣旨や条件に合っていると認められないと分納できないことが多いです。

    延納については分納よりもさらに細かくチェックされる可能性が高くなります。
    なるべく早い段階で、利用の可否を相談&確認しておくほうが良いでしょう。

    学費が払えないとどうなるの?

    万が一、授業料などが未納となった場合はどのような事態が想定されるのでしょうか。
    とある県立高校の授業料未納に関する手続を参考までに紹介しておきましょう

    未納者に対する手続
    1 口座振替不能者へ納付書を発送(翌月6日頃)
    2 督促状の発送(納付期限後20日以内、翌月の16日頃まで)
    3 催促状の発送(督促状指定期限日後)

    ※電話または家庭訪問により納付を促がされる

    4 催促状の再送(納付期限後2か月以上)
    5 催促状の再送及び面談(納付期限後3か月以上)
    出席停止処分・退学処分の実施
    1 出席停止処分の事前通告
    2 出席停止処分
    3 退学処分の事前通告
    4 退学処分

    このように未納となったからといって、いきなり退学処分になることはありません。
    最終的に退学処分に至る場合でも、電話連絡や面談などにより、できる限り退学は避ける努力はなされるのが一般的です。

    ただし学費が支払われない場合の対応は、学校ごとに差があります。
    必ずしも何度も催告状の送付などで、退学を猶予してもらえるわけではないので気をつけてください。

    また保護者の対応が不誠実な場合は、退学までの期間も早くなる傾向にあると言えるでしょう。
    やむを得ない事情がある場合と不誠実な対応の場合では、やはり処遇に差がつくものです。

    滞納はできる限り避けたいものですが、どうしても難しい時は正直に相談することで道が開ける場合もあります。
    むやみに逃げ回るのではなく、できる限りまっすぐに向き合う姿勢も大切でしょう。

    ★忙しい方のための瞬速まとめ

    • 学費が払えないからといって、いきなり退学や除籍の処分となるわけではない
    • 督促状や家庭訪問、面談などが段階的に行われる
    • 学費未納の場合の対応は、学校ごとに差がある
    • 滞納から目を背けず、できる限り正直に相談する姿勢も大切

    奨学金・教育ローンでお金を借りる方法まとめ

    こちらでは代表的な3つの学費借入先の申し込みの流れや必要書類、そして審査ポイントについてまとめました。
    一瞬でそれぞれの特徴をつかめるようにまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。

    奨学金(貸与型)
    (日本学生支援機構)
    国の教育ローン
    (日本政策金融公庫)
    銀行の教育ローン
    (横浜銀行の場合)
    申込の流れ
    1. (1)原則として在学中もしくは出身学校を通じて必要書類を提出
    2. (2)採用候補者決定
    3. (3)進学先に必要書類提出&インターネットで「進学届」手続
    4. (4)奨学金振込
    5. (5)返還誓約書提出
    1. (1)インターネット申込
    2. (2)必要書類提出(郵送)
    3. (3)契約(郵送・来店)
    4. (4)借入
    1. (1)インターネット申込※仮審査
    2. (2)必要書類提出※本審査
    3. (3)契約(WEB・窓口・郵送)
    4. (4)借入
    申込対象 大学・短大・高等専門学校など 高校~大学 幼稚園~大学(大学院OK)
    申込者 学生本人 原則として保護者 保護者
    必要書類
    • 高校等から受取った必要書類を提出
    • 住民票写し、住民票記載事項証明書
    • 運転免許証またはパスポート
    • 源泉徴収票または確定申告書
    • 預金通帳
    • 場合により合格通知書、学生証など、
    • 本人確認書類(運転免許証等)
    • 健康保険証※1
    • 資金使途確認書類(学費納付書など)
    • 場合により合格通知書、学生証、年収確認書類など
    審査ポイント
    • 家計支持者の年収
    • 高校等の1年時からの成績

      ※第一種3.5以上、第二種平均以上、大学生の第一種は学部上位3分の1に入っていること
      (※一定条件に該当して学校長の推薦を得られる場合、学力基準を満たすものとして扱う)
      ※1.保険者番号、被保険者記号・番号、通院歴、臓器提供意思確認欄に記載がある場合はマスキングしてお送りください。

    世帯年収

    ※成績は不問

    安定継続した収入

    ※成績は不問

    必要日数 「進学届」の提出時期による

    20日前後

    最短即日

    ※日本学生支援機構に申し込みをした場合、候補者の選定段階で「国の教育ローン」申込を通知される場合があります。

    学生本人、未成年の利用について

    それぞれの貸付制度によって、学生本人もしくは未成年の利用が制限される場合があります。
    せっかく利用を検討しても、そもそも利用できないとなると困ってしまいますよね。

    以下に、代表的な3つの学費借入先の学生&未成年の方の利用条件も簡潔にまとめておきます。

    奨学金(貸与型)
    (日本学生支援機構)
    国の教育ローン
    (日本政策金融公庫)
    金融機関の教育ローン
    (一般的な場合)
    学生本人の
    利用条件
    学生本人の利用が原則 両親の申込が原則だが、安定した収入があり独立生計を営んでいる場合は申込できる場合あり 成人して安定収入がある場合は申込可能な場合もあり

    ※金融機関によって取扱は異なります

    未成年の
    利用条件
    学生であれば未成年でもOK 利用不可 原則利用不可

    学校種別ごとの学習費用はいくら用意しておけばいいのか?

    幼稚園(保育園)、小学校、中学校、高等学校、そして大学まで含めると、通算で20年近くもの学習期間があることになります。
    その期間中、ずっと学習費用がかかるわけですから、子ども一人でも相当な費用が必要になってくるのです。

    なんとなく「国公立であれば費用を抑えることができそう」といったイメージを持っているかもしれません。
    しかし具体的に学校種別ごと、もしくは公立と私立でどのくらいの学習費用がそれぞれ必要になるのか即答できる方は少ないのではないでしょうか。

    そこで最初に学校種別ごと、公立私立ごとにどのくらいの学習費がかかるのか、文部科学省が公表している統計資料を要約して紹介しておきましょう。
    授業料に加えて「学校給食費」「学校外活動費」の統計もありますから、実際の負担がどのくらいになるのかイメージしやすくなるでしょう。

    学校種別ごとの学習費総額まとめ

    幼稚園 小学校
    公立 私立 公立 私立
    学習費総額 233,974 482,392 322,310 1,528,237
    (うち学校教育費) 120,546 318,763 60,043 870,408
    (うち学校給食費) 20,418 29,924 44,441 44,807
    (うち学校外活動費) 92,983 133,705 217,826 613,022
    中学校 高等学校(全日制)
    公立 私立 公立 私立
    学習費総額 478,554 1,326,933 450,862 1,040,168
    (うち学校教育費) 133,640 997,435 275,991 755,101
    (うち学校給食費) 43,730 8,566 - -
    (うち学校外活動費) 301,184 320,932 174,871 285,067

    ※文部科学省「子供の学習非調査」平成28年度調査結果より抜粋

    ざっと金額を見ていただくと、「こんなにもお金がかかるのか」と青ざめてしまう方も多いのではないでしょうか。
    とくに小学校以降の私立では年収のかなりの割合を持っていかれてしまいそうですよね。

    ただしこの金額は、給付金や奨学金などは考慮されていないので、この金額を丸々学校に支払うわけではありません。
    次の項目で、もう少しくわしく学習費の内訳を見ていきましょう。

    小学校・中学校・高校では「学校外活動費」の負担がメイン

    上の表の各項目に含まれる費用の範囲は以下の表のとおりです。
    ちょっと項目が多いのですが「子どもの高校卒業までに、このような費用がかかる」というのをイメージするには最適と言えます。

    また「費用の範囲」をつかんでおくと、実際に給付や奨学金を申込む際にもとても役立つことが多いです。
    1分もかかりませんのでぜひ、ひととおり目を通してみてくださいね。

    項目 含まれる費用の範囲
    学校教育費 授業料、修学旅行・遠足・見学費、PTA会費、その他学校納付金、寄付金、教科書費・教科書以外の図書費、学用品・実験実習材料費、教科外活動費、通学費、制服、通学用品費、その他(卒業アルバム代、上履き、校章など)
    学校給食費 給食費として徴収される経費
    学校外活動費 補助学習費(家庭内学習費、家庭教師費等、学習塾費)、その他の学校外活動費(体験活動・地域活動、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション活動、教養その他)

    上記の「学校外活動費」には、ピアノや体操クラブなどの習い事の「入会金や月謝」なども含まれています。
    また家庭内で準備する学習机、パソコン、百科事典等々まで入っているのです。

    「学校教育費」「学校給食費」は誰でも同じような金額になります。
    しかし「学校外活動費」については、家庭によってバラツキが出やすい部分と言えるでしょう。
    「両親が勉強をアシストする」「地域の月謝負担の少ないクラブに参加する」などの工夫で、費用を抑えることもできますね。

    現在では高校までが実質的な義務教育期間?

    義務教育は中学校までですが、今の時代では中学校が最終学歴となる方はかなり少なくなっています。
    全日制の進学率は93.7%、定時制・通信制等を含めると98.0%もの高い水準にあるのです。

    ※参考:文部科学省「教育指標の国際比較(平成21~25年版)

    高校までは最低でも卒業しておきたいと思われる方は多いのではないでしょうか。

    国や地方自治体の高校までの助成制度はかなり充実しています。
    2010年から実施の、いわゆる「高校無償化法」により、保護者の実質負担額はかなり軽減されているのです。
    とくに国公立高校では授業料全額が支給されることになっています。

    また私立高校や高等専門学校であっても、保護者の所得水準に応じて国公立高校の授業料基準で2倍まで支給されます。
    ですから助成制度をしっかりと利用すれば、学費の納付はそこまで難しいものではないのです。

    なお支給方法は、保護者に対して直接支給されるのではなく、学校の属する自治体へ支給し、実質的に授業料の負担が無償(軽減)となります。

    大学から自己負担が急激に増加

    かつては「最高学府」などと呼ばれた大学ですが、現在では大学進学はごく普通と言っても良いくらいの状況となっています。
    実際の大学・短期大学への進学率は2022年現在で60.4%と過去最高水準に達しているのです。

    ※文部科学省「学校基本調査

    しかし困ったことに大学の授業料は毎年のように値上がりしています。
    かつては学費の安さから親孝行とまで言われた国立大学進学でも例外ではありません。

    平成の始め頃は30万円ほどだった国立大学の授業料は、現在では50万円を大きく上回っている状況です。
    さらに私立大学ですと、入学金も合わせると初年度負担は100万円を余裕で超えてしまいます。

    大学の費用については、高校の無償化のような制度は残念ながらありません。
    国立大学では授業料の減免措置などもありますが、利用率は1割程度にとどまります。
    授業料などの補助はないものとして考えると、大学から実質的な負担が急激に増えて苦労される方が多いのも納得できますね。

    「全て私立」だと大学卒業までに2,000万円超えも

    ここまでお読みいただいて「大学卒業までにいったいいくら必要なのか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
    参考までに「全て公立」「全て私立」の場合に、幼稚園から大学卒業までにかかる学習費の総額を紹介しておきます。

    学習費等総額
    全て公立
    幼稚園 669,925円
    小学校 1,845,467円
    中学校 1,443,927円
    高等学校 1,545,853円
    大学 3,920,000円
    合計 9,425,172円
    学習費等総額
    全て私立
    幼稚園 1,625,592円
    小学校 8,362,451円
    中学校 3,709,312円
    高等学校 2,929,077円
    大学 6,239,600円
    合計 22,866,032円

    ※平成21年度文部科学白書 第1章 家計負担の現状と教育投資の水準より抜粋

    「全て私立」の場合「全て公立」の場合の2倍以上となることがわかりますね。
    「全て公立」でも1000万円にせまる額ですから、決して「安い」とまでは言えないかもしれません。

    低所得層の方のみならず、年収1000万円以上の方でも教育費に苦労することも珍しくないようです。
    教育費を奨学金や借入でまかなうというのは、ごく当たり前なのかなと感じてしまう数字です。

    ★忙しい方のための瞬速まとめ

    • 小学校以降は私立のほうがより多くの学習費が必要なのは事実
    • 小学校~高校までは「学校外活動費」が自己負担のメイン
    • 高校までは公立私立を問わず、助成制度が充実している
    • 大学からは国公立であっても自己負担が急激に増加する
    • 全て私立だと幼稚園~大学卒業までの学習費等の総額は2,000万円を超えてくる

    まとめ

    こちらの記事では、お金がなくて学費が払えない場合の対処法について解説しました。
    最後にもう一度、大切なポイントを振り返っておきましょう。

    • 幼稚園から高校までは「学校外活動費」の自己負担がメイン
    • 高校までは授業料の助成制度がかなり充実している
    • 大学からは助成制度が少なくなり、一気に自己負担が増えたと感じる場合が多い
    • 学費を払えない場合は納付書の送付から始まって、段階的に処分が重くなり、最終的には退学や除籍処分となる
    • 学費を払えない時の手段として「奨学金の利用」「学費の分納・延納」「金融機関の融資を受ける」方法がある
    • 貸与型の奨学金を利用する場合は、子どもの負担の大きさにできる限り配慮したい
    • 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」と日本学生支援機構の「奨学金」は併用可能
    • 民間の教育ローンは審査が早く、リピート利用タイプが選べるのが魅力
    • カードローンは教育資金には基本的には向いていないが、緊急一時的に利用するのはOK

    こちらの記事を最後までお読みいただいたことで、学費をどうやって調達するべきか見えてきたのではないでしょうか。
    さまざまな種類の方法がありますが、それぞれかなり特徴がはっきりしています。
    特徴さえ最初につかんでしまえば、あなたにとって最適な学費の調達方法が判断できるようになるでしょう。
    ぜひ参考にしていただき、学費の悩みを解消するヒントをつかんでくださいね。