「もう相手の顔も見たくない」
「価値観が合わない」
「浮気や不倫をされていた」
「家に生活費を入れてくれない」
「DVやモラハラを受けている」
このようなことが原因で「離婚したい!」という場合に障害となるのが「お金の問題」ではないでしょうか。
そのため、「お金がなくて離婚できない・・・」という人は多いですね。
この記事では、離婚を考えている人たちのために、
- 離婚の手続方法
- 必要な費用と金額の目安
- 相手からもらえるお金の種類
- 利用したい制度
- 離婚費用を抑える方法
などなど、離婚に関してのお金の話をわかりやすく解説してみました。
この記事を読めば、お金がなくて離婚できないという問題の解決方法がきっと見つかります!
ふなね社労士事務所 社会保険労務士
監修者 舟根大の一言コメント!
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2020年の離婚件数は約193,000件で、2003年をピークに減少傾向が続いています。離婚原因は価値観の違いやDV・モラハラなどさまざまですが、お金がないから離婚できない人がいるのが実情です。今の段階ではお金がない人でも、財産分与などで当面の生活費を確保できる可能性はあります。公的機関などの相談援助体制も充実しているので、離婚を考えている方はこの記事を参考にして、将来設計について検討してみてください。
お金がなくて、離婚できない…
離婚ができない理由は人それぞれですが、その中でも「お金がないから・・・」という人は多くいるようです。
離婚するに、は以下のようなさまざまな費用が発生するからです。
- 弁護士費用
- 慰謝料や養育費
- 引越し代
- 離婚後の生活費用など
裁判になってしまうと弁護士費用が必要になり、数十万円単位のお金がかかる場合もあります。
慰謝料や養育費を払う側になったら、これらの支払いもしなくてはいけません。
離婚後の生活費用や新居への引越し費用、仕事探しにかかる費用など離婚後にかかる費用も考えておく必要があります。
このように離婚ではさまざまな費用が発生するため、お金がなくて離婚できないという人は非常に多いのです。
離婚までの手続きの流れ
実際に離婚する前に知っておくべきことがあります。
それは「離婚までの手続きの流れ」です。
離婚までの流れを知ることにより、「何を準備すれば良いのか?」、「どのような離婚方法があるのか?」といったことが把握できます。
そのため、円滑な離婚をするための近道となります。
まずは離婚手続をする前に済ませておくことから確認していきましょう。
離婚手続をする前に済ませておくこと
離婚手続をする前には、最低限以下の5項目を済ませておくようにしてください。
- なるべく貯金しておく
- 離婚後の仕事を考えておく
- 離婚後の住まいについて考えておく
- 離婚できる証拠をつかむ
- 親権・財産分与・慰謝料・養育費について話し合う
なるべく貯金しておく
離婚しようと考えた時点から、離婚後のことを考えてできる限り貯金しておきましょう。
離婚後は、精神的にはもちろん経済的にも自立しなければいけないケースが多いです。
そのため、生活費などのお金が必要になってくるためなるべく蓄えがほしいところです。
とはいえ、自立するだけのお金をすべて貯めるのは難しいかと思いますので、ご自身が貯められる範囲で構いません。
離婚後の仕事を考えておく
離婚後の仕事をどうするかも考えておかなくてはいけません。
とくに、今の住み家から出て行く場合は、新居に移った際の仕事をどうするかを決めておくことは必須です。
離婚後の住居について考えておく
離婚後の住居を考えておくことも重要です。
家を出る側になったときに備えて、離婚後の住居をどうするかをしっかり決めておかなくてはいけません。
たとえば、賃貸にするのであれば敷金や礼金などの初期費用が必要になり、一般的には家賃の5カ月~8カ月程度のお金が必要になります。
このため、家賃が7万円だとすれば35万円~56万円程度の費用が必要になるということですね。
ただし、これはあくまで不動産会社に支払う費用ですので、引越し代や家電の購入費用などは含まれません。
引越し代などを含めると、もっと費用がかかってしまいます。
この他にも部屋を借りるには、「保証人を確保できているか」や「必要な書類はなにか」といった部分を確認しておかなくはいけません。
離婚できる証拠をつかむ
離婚できる証拠をつかんでおくことも重要です。
証拠をつかんでおけば、裁判になったとき、離婚を切り出す側に有利となる可能性があります。
離婚できる証拠としては以下のようなものが代表的です。
- 不貞行為(浮気や不倫など)
- 悪意の遺棄(理由なく生活費を家に入れない、配偶者として果たすべき義務を怠ったなど)
- その他婚姻を継続し難い重大な事由(DVやモラハラ、性格の不一致、セックスレス、アルコールや薬物などへの依存、犯罪行為など)
親権・財産分与・慰謝料・養育費について話し合う
親権・財産分与・慰謝料・養育費について相手と話し合っておくことも重要です。
とくに「協議離婚」の場合は、離婚届けを提出する前にk露えらの内容について同意し、なおかつ「離婚協議書」や「公正証書」を作成して証拠を残しておく必要があります。
そのため、口約束だけではそうした費用の支払を相手がしてくれないことも考えられます。
よって、書面で証拠を残しておく必要があるのです。
なお、協議離婚に弁護士が関与した場合は、相手方との話し合いを仲介してくれるのはもちろん、合意書も作成してくれます。
別居状態など相手と直接話し合うのが難しい場合は、費用はかかりますが弁護士への相談をおすすめします。
日本の離婚方法は3つ!
日本の離婚方法は以下の3種類があります。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
まずは協議離婚から始まり、当事者同士の話合いでまとまらない場合は調停離婚に進みます。
それでも決着がつかない場合は裁判離婚になるという流れで進んでいきます。
協議離婚
協議離婚とは夫婦間の話し合いで離婚する方法です。
2020年の時点では、日本国内で離婚した人の88.3%が協議離婚しているため、離婚方法としては主流といえます。
手続きも簡単で、市区町村役場に備えつけてある「離婚届」に必要事項を記入して提出するだけです。
ただし、協議離婚の場合は18歳以上(成年者)の証人2名の署名が必要となります。証人は親族だけでなく、友人・知人や弁護士など誰がなってもかまいません。
手続費用などもなく、離婚届を出した当日に離婚が成立します。
調停離婚
調停離婚は家庭裁判所の調停委員が間に入り、話し合いで進めていく離婚方法です。
協議離婚で話がまとまらない場合は、この調停離婚に進むことになります。
夫婦の関係性によっては、いきなる調停離婚になる場合もあるようです。
調停と聞くと裁判のようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、裁判とは違い、話し合いを前提に決着点を見いだしていくのが特徴です。
場合によっては、調停委員から妥協案が出されることもあります。
どうしても双方の話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の審判によって離婚を命じる(審判離婚)場合もあります。
調停がまとまると「調停調書」に合意内容をまとめますが、裁判の判決と同様の法的強制力が伴います。
例えば、調停で慰謝料の支払いに合意したにもかかわらず支払わないままでいると、差し押さえなどの強制執行を受けることになります。
調停離婚は相手の住所を管轄する家庭裁判所 に「家事調停申立書」を提出し、調停を申立てることによって手続が可能です。
家事調停申立書は裁判所のホームページからダウンロードできます。
裁判離婚
裁判離婚はその名のとおり、裁判をすることによって離婚する方法です。
調停離婚では決着がつかない場合、この裁判離婚をすることになります。
裁判離婚の場合は法的強制力があるため、判決で離婚が認められれば100%離婚可能です(判決離婚)。
逆に離婚が認められない場合は離婚が認められません。
ただし婚姻関係を維持させる法的強制力はないため、再び協議離婚を試みるか婚姻関係を維持したまま別居を続けるなどは、双方の判断に委ねられます。
また、裁判手続きの途中で和解に至る「和解離婚」や、相手の主張を全面的に受け入れる「認諾離婚」といった結末もみられます。
裁判離婚で離婚が認められるためには、「法律で定められた離婚理由」がある必要があります。
法律で定められた離婚理由とは以下の5つです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 配偶者が不治の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
裁判離婚の手続きは、相手の住所を管轄する家庭裁判所に訴訟の申立てをすることから始まります。
実際は弁護士や司法書士に手続きを依頼する人が多いです。
なお、いきなり審判離婚の申し立てを行った場合でも、まずは離婚調停からスタート することになります(調停前置主義)。
その他に必要な手続き
離婚にはその他にも必要となる手続きがありますので確認しておきましょう。
その手続とは以下のようなものになります。
- 戸籍や住民票の手続き
- 年金や健康保険の変更手続き
- 厚生年金の分割手続き
- 国民健康保険に加入
離婚をすると苗字や住所などが変更になるケースが多くなり、戸籍も変わってきますので上記のような変更手続きなどが必要になります。
離婚する前に、離婚後の手続きについて確認しておくとよいでしょう。
ふなね社労士事務所 社会保険労務士
監修者 舟根大の一言コメント!
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離婚届では、離婚後に名乗る姓を選んだり新しい本籍を決めたりすることも可能です。結婚後に新たな本籍地を決めていた場合は、元の戸籍に戻る選択もできます。戸籍関係の手続きは難しいと思われがちですが、できるだけ1回の手続きで済むよう配慮されているといえます。離婚の話し合いで決着がつかなかった場合は裁判を起こすことになりますが、手続きがある程度進んだ段階で和解勧告が出される場合もあります。判決が出ると自分に不利な内容でも従わなければならないため、和解勧告をきっかけに双方が折り合いをつけるケースもあるようです。
離婚で必要な費用はどれぐらい?
「離婚にはいくらくらいのお金がかかるのか?」というのはもっとも気になる部分ですよね。
結論からいえば、離婚費用は円満離婚なのか、調停・裁判で離婚するのかなどによって異なってきます。
そこでこの章では、それぞれの離婚ケースに必要な費用について解説をしていきます。
円満離婚の場合
円満離婚の場合、当事者同士で話し合う協議離婚が基本です。
離婚手続き自体の費用はかかりませんが、慰謝料や養育費等が発生する場合は協議内容に応じて支払う必要があります。
公正証書として離婚協議書を作成する場合は、相手方に支払う額や証書の枚数に応じた手数料が必要です。
また、弁護士や行政書士に離婚協議書の作成を依頼した場合は、別途報酬がかかります。
離婚調停や訴訟に発展した場合
離婚調停や訴訟(裁判離婚)に発展した場合は以下のような費用が発生します。
離婚方法 | 費用 |
---|---|
離婚調停 | 収入印紙代:1,200円 戸籍謄本取得費用(全部事項証明書):450円 切手代:800円前後 住民票取得費用:1通350円前後(自治体によって異なる) 弁護士を雇う際は弁護士費用 |
裁判離婚 |
収入印紙代:13,000円 養育費や財産分与の申し立てをする場合は、1件あたり1,200円加算 |
切手代は調停や裁判を申し立てる裁判所ごとに異なりますが、現金で納付できる裁判所もあるので詳しくは手続き前にご確認ください。
弁護士を頼む場合は以下のような費用が発生します。
- 相談料
- 着手金
- 基本費用
- 成功報酬
弁護士費用は各事務所によって異なりますが、およそ「30万円~60万円」というのが相場になるようです。
相談料や着手金が無料の法律事務所もみられます。
離婚後に必要な生活費
離婚後に必要な生活費も離婚前に知っておかなくてはいけない項目のひとつです。
とくに子どもがいる場合は、親権を獲得した側の生活費の負担も大きくなりがちです。
そのため、離婚後に必要な生活費は必ず把握しておく必要があります。
人事院が毎年公表している「標準生計費」をもとに、どれくらいの生活費が必要なのかを確認してみました。
子供がいない場合
まずは子供がいないケースに費用から確認していきましょう。
子どもがいない単身世帯の場合、1カ月に必要な生活費は約11万5,000円が目安です。
家賃が高い地域だったり夏の電気代・冬の燃料代がかかる地域だったりすると、さらに多くの生活費が必要となります。
財産分与で持ち家を手に入れた場合だと、維持費を除いて7~8万円前後に抑えられるでしょう。
また、実家ならに引っ越す場合は家に入れるお金だけで良くなるケースもあるため、毎月の固定費が3万円前後というのも現実味を帯びてきます。
子供がいる場合
子供がいる場合、1か月の生活費は2人暮らし(親・子1人ずつ)だと約17万9,000円、3人暮らし(親1人・子2人)だと約19万6,000円が相場です。
別途、学校への納付金や塾・習い事の月謝といった子供の教育費がかかる点についても考慮しておく必要があります。
子供が1人増えるごとに、毎月の生活費が1.5万円~2万円ほど増えると考えるとわかりやすいでしょう。
また、子供の年齢が高くなるほど生活費の負担が大きくなる傾向です。
特に、大学・短大や専門学校の費用が必要になる18歳~22歳あたりが一番生活費の負担が大きくなります。
相手からもらえるお金の種類
離婚後には相手からもらえるお金があるケースが多いです。
そこでこの章ではそれはどのようなものなのかを詳しく解説していきます。
離婚後に相手からもらえるおもな費用は以下の3つです。
- 慰謝料
- 養育費
- 財産分与
慰謝料
離婚後に相手からもらえるお金でもっとも一般的なものが「慰謝料」です。
慰謝料は離婚原因を作った側が別れる相手に支払うもので、相手に与えた精神的苦痛に対する損害賠償金の意味合いを持っています。
そのため、慰謝料が発生するのは相手側が離婚原因を作った時のみです。
たとえば、浮気や不倫、DV、モラハラ、生活費の不払いなどの離婚に結びつく問題行動を起こした場合に限られます。
よって、単なる性格の不一致や愛情が冷めたといった理由では慰謝料をもらえない可能性が高いです。
そんな慰謝料の相場は一般的に「50万円~300万円くらい」だとされています。
もっとも多くなるケースは浮気や不倫といった不貞行為で、婚姻関係が長いほどもらえる金額も多くなる傾向にあります。
養育費
親権を得た場合には「養育費」がもらえます。
基本的に子供が20歳になる月までもらえ、毎月決まった額の支払いを受ける形になります。
ただし、離婚の時点で子供が大学に進学していた場合やあらかじめ協議がまとまっている場合 には、大学を卒業する年齢まで養育費を支払ってもらえる場合もあります。
もらえる金額は「養育費算定表」によって機械的に決められるのが一般的です
養育費算定表とは、東京や大阪の家庭裁判所の離婚調停などで養育費を算出する時の目安として利用されるものです。
具体的には以下の4項目を用いて算出されます。
- 養育費を支払う側の年収
- 養育費を受け取る側の年収
- 給与所得者か自営業者か
- 子供の人数と年齢
たとえば、以下のような条件であったとしましょう。
- 子供1人(0~14歳)
- 養育費を支払う側の年収500万円(給与所得)
- 養育費を受け取る側の年収100万円(給与所得)
この場合、養育費を支払う側の年収が500万円(給与所得)であり、養育費を受け取る側の年収100万円(給与所得)なため、「4~6万円」の部分に当てはまります。
よって、養育費は月々4万円~6万円が目安です。
養育費はこのように決まるため、基本的に養育費を支払う側の年収が高ければ養育費は高くなり、養育費の支払いを受ける側の年収が高ければ養育費は下がると考えておきましょう。
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離婚後の生活費を確保するためには、財産分与について十分話し合って合意形成しておくのが重要です。話し合いで合意に達しなかった場合は調停・裁判手続きもできますが、弁護士に間に立ってもらって折り合いを付ける事例も多いです。子供がいる家庭の場合は、養育費の取り決めも必須です。取り決めた内容を公正証書にしておけば、仮に支払いが滞った場合でも毅然とした対応ができます。なお、公正証書は各地の公証人役場で作成してもらえます。
財産分与
婚姻中に夫婦で築いた財産があれば「財産分与」を受けられます。
財産分与とは、婚姻中に夫婦で作った財産を夫婦間で分け合うことです。
結婚すると、貯金や生命保険など夫婦間でさまざまな財産が生まれますよね。
こうした財産は夫婦共通のものですが、離婚してしまうとそうでなくなるため分配しなくてはいけません。
どの程度の割合で分配するかは裁判で決まる場合は「2分の1ずつ」です。
ただし、当事者同士で決める場合はこの限りでなく、決まった割合というのは存在しません。
相手が承諾すれば、あなたが7割貰っても良いですし、あるいは全額貰うことも可能です。
逆に「一切必要ない」というのであれば相手に全部上げても問題ありません。
そんな財産分与の対象になるのは「夫婦共有財産」のみです。
夫婦共有財産というのは夫婦で婚姻中に作った財産となり、たとえば以下のようなものになります。
- 預貯金
- 外貨預金
- 社内積立・退職金
- 生命保険
- 学資保険
- 投資信託
- 有価証券(株式など)
婚姻費用分担請求とは?
「現在別居している・・・」という人は「婚姻費用分担請求」についても知っておきましょう。
夫婦が別居している場合、場合によってはその生活費を「婚姻費用」として請求することができるケースがあるからです。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦とその子供が生活していくために必要な費用のことです。
具体的には以下のような費用となります。
- 居住費
- 生活費
- 光熱費
- 医療費
- 子どもの生活費や学費
このような費用は法律上、夫婦がその収入や財産、社会的地位に応じてそれぞれ分担する義務があります。
つまり、夫婦やその子供は同じ生活レベルで生活できるように協力する義務があるということですね。
この義務はたとえ別居していても無くなることがありません。
そのため、「別居中だけど夫から生活費を貰えずに苦しい・・・」というような場合は、この婚姻費用を請求できます。
婚姻費用の金額
婚姻費用の金額は「月額いくら」という形で決めます。
まずは夫婦間で話し合うことになり、それでも決まらない場合は裁判所に対して調停を申し立て、調停委員を交えた話し合いによって決められます。
調停でもまとまらない場合は家庭裁判所の裁判官が金額を決定します。
金額は養育費の章でも解説した「養育費・婚姻費用算定表」を目安にして算出されるのが一般的です。
よって、おもに夫婦の収入や子供の人数によって決まってきます。
子供1人(0~14歳)で婚姻費用を受け取る側の年収が150万円(給与所得)の婚姻費用の目安を記載しておきましたので参考にしてください。
婚姻費用を支払う側の年収 | 月々の婚姻費用 |
---|---|
150万円以下 | 0~1万円 |
175万円~ | 1万円~2万円 |
275万円~ | 2万円~4万円 |
475万円~ | 4万円~6万円 |
675万円~ | 6万円~8万円 |
900万円~ | 8万円~10万円 |
婚姻費用がもらえる期間
婚姻費用がもらえる期間は「請求した時から離婚するまで。あるいは再び同居するようになるまで」というのが一般的です。
このため、過去にもらえるはずだった婚姻費用を後から請求するのは難しいですし、離婚後に請求することもできません。
よって、現在別居中であるなら一刻も早く請求することをおすすめします。
婚姻費用分担請求の方法
婚姻費用の請求方法は裁判所に「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てるのが一般的です。
申立先は「相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所」となります。
申立てに必要な費用と書類は以下のとおりです。
費用 | 収入印紙1,200円分 連絡用の郵便切手 |
---|---|
必要種類 | 申立書およびその写し1通 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書) 申立人の収入関係の資料(源泉徴収票,給与明細,確定申告書などの写しなど) |
母子家庭・父子家庭に支給される助成金がある?
「離婚後は親権を引き取るので母子家庭・父子家庭(ひとり親)になる」という人は、利用できる助成金などの制度がいくつかあります。
助成金などの制度は自分から申請しないと利用できないため、知っておかなくては損してしまいます。
そこでこの章ではひとり親家庭が知っておくべき制度を紹介していきます。
その制度とはおもに以下の4つです。
- 児童扶養手当
- 児童育成手当(東京都独自の制度)
- 住宅手当(一部の自治体)
- ひとり親家族等医療費助成制度
児童扶養手当
母子家庭がまず利用したいのが「児童扶養手当」です。
児童扶養手当とは、離婚や死別などによってひとり親となった家庭へ支給される手当金です。
支給額は子供の人数や親・養育者の収入によって決まり、以下のようになっています。
ただし、親・養育者の収入が一定以上に達すると全額支給停止になります。
例えば親子2人暮らしの世帯の場合は、年間所得が192万円以上だとその年の児童扶養手当が全額支給停止です。
子供の人数 | 支給額(月額・2023年4月~2024年3月) |
---|---|
児童1人のとき | 44,140円~10,410円 |
児童2人のとき | 10,420円~5,210円を加算 |
児童3人以上のとき | 3人目以降1人につき6,250円~3,130円を加算 |
がひとりで年間所得が49万円未満なら満額の44,140円が毎月支給され、子供2人であれば10,420円が加算されますので毎月54,560円が支給されます。
3人目以降は54,560円に6,250円が加算されます。
たとえば、子供が4人なら「54,560円×(6,250円×2)=67,060円」が支給されるということですね。
そんな児童扶養手当はお住まいの役所で手続きをすることで支給を受けることができます。
離婚直後の段階で収入が高い場合でも、不測の事態に備えて受給権を得る手続き だけでも済ませておきましょう。
手続方法や書類などは役所や個人ごとに異なり、所得の状況で受給額が個別決定されるため、まずはお住まいの役所で相談するようにしてください。
児童育成手当
児童育成手当は母子家庭に手当金を支給する東京都独自の制度です。
もらえる手当金は以下のようになっています。
- 育成手当;児童1人につき 月額13,500円
- 障害手当;児童1人につき 月額15,500円
東京都の制度となるため他県に同じ名称の制度はありませんが、自治体によっては似たような制度を設けている場合があります。
まずはお住まいの自治体にこのような制度がないかを確認してみましょう。
住宅手当
住宅手当とはその名のとおり家賃の補助を受けられる制度です。
自治体によって名称はさまざまであり制度自体がない自治体もあります。
給される金額も自治体によって異なり、相場は月額5,000円~1万円前後です。
たとえば、東京都武蔵野市であれば月額で最大1万円が支給されます。
支給条件や申込手続の方法などは各自治体によって違いますので、まずはお住まいの地域の自治体に問い合わせてみましょう。
ひとり親家族等医療費助成制度
ひとり親家庭等医療費助成制度は、ひとり親家庭にかかる医療費の自己負担額が減る東京都の制度です。
ほかの自治体でも違った名称で似たような制度があるケースが多いです。
この制度を利用すれば東京都の場合ですと、医療費の自己負担額は1割で済むようになります。
受給条件や受給額等詳細などは自治体によって違うこともありますので、お住まいの自治体のホームページなどで調べるようにしてください。
離婚にかかる費用を安く抑えるためには?
ここまでお伝えしてきたように離婚にはさまざまな費用が発生します。
そのため、「どうすればその費用を抑えられるのか知りたい!」という人は多いでしょう。
そのような場合、以下の3つの方法を参考にしてもらえば離婚にかかる費用を安く抑える可能性が上がります。
- 夫婦間で話し合いをまとめる
- 弁護士に相談する時は無料相談を利用
- 法テラスを活用する
夫婦間で話し合いをまとめる
もっとも費用を抑えられる方法が「夫婦間で話し合いをまとめる」ことです。
つまり、協議離婚で離婚するということですね。
協議離婚であれば当事者同士だけで離婚でき弁護士や裁判の費用なども発生しませんので、離婚手続き自体の費用は一切かかりません。
弁護士に相談する時は無料相談を利用する
弁護士に相談する時は無料相談を利用するのがおすすめです。
通常、弁護士に相談をすると相談料がかかりますが、事務所によっては相談だけなら無料というサービスを展開している所もあります。
そうしたサービスを利用すれば弁護士費用を抑えることが可能です。
ただし、無料相談は時間が限定されているケースが多いため、どのような事を相談したいのかを事前にメモ帳などにまとめてから利用するようにしましょう。
なお、自治体で定期的に法律相談を実施している場合があるほか、地域によっては弁護士会として無料相談に取り組んでいる場合かあります。
法テラスを活用する
「法テラス(日本司法支援センター)」を活用するという手もあります。
法テラスとは国によって設立された機関であり、法的トラブルの解決をするためのアドバイスやサポートをしてくれます。
たとえば・・・
- 離婚したいけど相手が承諾してくれない
- 弁護士を雇いたいけどお金がない
- 夫婦間で問題を抱えているけどどこに相談すれば良いのか?
といったような場合にその最適な解決方法を無料で案内してくれるのが法テラスなのです。
この法テラスなら「なるべく費用を抑えながら離婚したい」という相談にも乗ってくれるため、離婚費用を抑えるためのアドバイスを受けることが可能です。
法テラスには「代理援助」もある!
法テラスには「代理援助」という制度もあります。
代理援助とは、収入や資産が少なく弁護士費用を工面するのが困難な人のためにその費用を立替えてもらえる制度です。
つまり、弁護士費用のローン(分割払い)ですね。
そんな代理援助の利用条件などは以下のようになります。
立替可能な弁護士費用 | 着手金・実費・報奨金など |
---|---|
用の条件 | 収入や資産が一定額以下であること 勝訴の見込みがないとは言えないこと 民事法律扶助の趣旨に適すること |
月々の返済額 | 原則5,000円~10,000円 |
代理援助を利用するためには収入や資産が一定額以下である必要がありますが、条件を満たしていれば弁護士費用を分割払いで支払うことが可能です。
詳しくは法テラスの公式サイトに記載がありますので、利用したい場合はそちらを確認してください。
ふなね社労士事務所 社会保険労務士
監修者 舟根大の一言コメント!
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弁護士の無料相談は、法テラスと契約している弁護士事務所(法律事務所)でも実施しています。法テラスの利用を案内してくれる弁護士が多いですが、相談を申し込む段階で「法テラスの無料相談を利用したい」と伝えても問題ありません。相談時間は30~60分前後なので、相談したい内容をまとめたメモや証拠写真などを持参するとスムーズです。自治体や弁護士会で実施している無料相談を活用する方法もあります。
金融機関からお金を借りる方法もあり
「どうしても離婚費用や離婚後のお金が用意できない・・・」というなら、金融機関での借入を検討するという手もあります。
金融機関での借入方法はさまざまなものがありますがおすすめは「カードローン」で、銀行や消費者金融が提供する融資商品です。
カードローンとは現金の借入ができる「多目的ローン」です。
多目的ローンなので使いみちが基本的に自由であり、もちろん離婚費用としても利用可能です。
カードローンがおすすめな理由
カードローンをおすすめする理由は「申し込みから借入までの手続きが簡単だから」です。
大手の銀行や消費者金融ならインターネットで申し込みができ、審査や契約、借入手続きもネット上で完結できます。
そのため、申し込み~借入までWEB上で完結することが可能なんですね。
よって、自宅から一歩も出ることなくすべての手続きを完了させることもでき、便利です。
カードローンのメリット
カードローンのメリットは申し込みが簡単なだけではありません。
以下のようなメリットもあります。
- 月々少額の返済でOK
- 申し込みから借入までが早い
- 審査の難易度がそれほど高くない
- 随時返済が自由
- カードローン会社によっては無利息サービスがある
月々少額の返済でOK
カードローンの返済方式は「リボ払い」が基本ため、月々少額の返済で良いという利点があります。
たとえば、三井住友銀行 カードローンの50万円までの返済額は以下のようになっています。
借入残高 | 月々の返済額 |
---|---|
1円~1,999円 | 約定返済時における 借入残高全額(2千円が上限) |
2,000円~100,000円 | 2,000円 |
100,001円~200,000円 | 4,000円 |
200,001円~300,000円 | 6,000円 |
300,001円~400,000円 | 8,000円 |
400,001円~500,000円 | 10,000円 |
このように月々少額の返済で良いため、毎月の返済負担を抑えながら支払をしていくことができます。
申し込みから借入までが早い
申し込みから借入までが早いというのも、カードローンの大きなメリットです。
大手消費者金融なら最短で即日融資が可能ですし、銀行カードローンの場合も最短で申込日の翌営業日に借入することが可能です。
審査の難易度がそれほど高くない
審査の難易度がそれほど高くないというメリットもあります。
申込条件は「20歳以上で安定収入がある方」となっている会社が多く、容易に申込条件を満たすことが可能です。
このため、「申込対象を広くしている=審査のハードルも高くない」と予想できます。
また、会社によっては「パートやアルバイトでも利用可能」とはっきり記載のある場合もあります。
口コミサイトなどを確認しても「パートやアルバイトでも審査に通った」、「年収が低くても借りられた」といった書き込みが多数あります。
よって、審査に通るのはそれほど難しくないんですね。
随時返済が自由
カードローンは「随時返済」が自由にできるというメリットもあります。
随時返済とはいわゆる「繰り上げ返済」のことで、毎月の返済額よりも多めに返済することです。
この随時返済をすれば借入残高(元金)の減りが早くなり、返済期間が短縮され利息を抑えられるという利点があります。
ほぼすべてのカードローン会社がATMや振込などにより、好きな時に随時返済をすることが可能となっていますので、お金に余裕のある月は多めに返済ができます。
カードローン会社によっては無利息サービスがある
カードローン会社によっては「無利息サービス」を展開している場合もあります。
無利息サービスとは、その名のとおりサービス期間中は金利0%となり利息が一切発生しないというものです。
このため、この無利息サービスを上手く利用すれば利息0円での借入も可能ですね。
そんな無利息サービスを展開しているカードローン会社はおもに以下のとおりです。
カードローン会社名 | 無利息サービス |
---|---|
アコム | 初回契約日の翌日から30日間 |
アイフル | 初回契約日の翌日から30日間 |
プロミス | 初回借入日の翌日から30日間 |
レイク |
初回契約日の翌日から30日間 初回契約日の翌日から60日間 |
※Web以外の無人店舗や電話で申込むと、借入額全額30日間無利息または借入額5万円まで180日間無利息のどちらかになります。60日間無利息(Webでの申込み限定)、180日間無利息それぞれ契約額1~200万円まで。30日間無利息、60日間無利息(Webでの申込み限定)、180日間無利息それぞれの併用はできません。無利息開始日は初回契約日の翌日からとなります。無利息期間経過後は通常金利適用。貸付利率は契約額および利用残高に応じて異なります。
カードローンの注意点
カードローンにはいくつかの注意点もあります。
カードローンを申し込む前に、以下の注意点を確認しておく必要があります。
- 使いすぎてしまうことがある
- 金利が高い
- 返済期間が長引くと利息が大きくなる
使いすぎてしまうことがある
カードローンには使いすぎてしまうことがあるという欠点があります。
限度額の範囲内で何度でも借入できるという利点があり、借入方法もATMや会員サイトから振込手続するだけの手軽さです。
このため、ちょっとしたことで利用してしまうケースがあり「気がついたら借りすぎていた・・・」という状況になる場合があります。
カードローンを利用する際は本当にお金が必要なシーンなのか、月々いくらまでなら返済できるかなどの計画をあらかじめ立てておくのがポイントです。
金利が高い
カードローンは金利が高いというデメリットもあります。
カードローンの「上限金利(そのカードローンで設定される一番高い金利)」の相場は以下のようにローンの中でも高めです。
- 消費者金融系カードローン:年18.0%
- 銀行カードローン:年14.5%
そして新規契約時は上限金利に設定される可能性が高く、利息も大きくなりがちです。
返済期間が長引くと利息が大きくなる
返済期間が長引くと利息が大きくなるという点も要注意です。
先にカードローンは月々少額の返済で良いとお伝えしましたが、これはメリットであると同時にデメリットでもあるのです。
理由は毎月の返済額が少額であると借入残高の減りが遅くなり、返済期間が長引いてしまうからです。
「返済期間が長引く=利息の支払回数が多くなる=利息も大きくなる」ということになります。
実際に返済期間の違いによって利息がどう変化するのかを、プロミスのシミュレーションを利用して確認してみましょう。
今回は30万円を金利18.0%で借入したとして算出しています。
返済期間 | 利息額 |
---|---|
12カ月 | 30,044円 |
24カ月 | 59,441円 |
36カ月 | 90,431円 |
48カ月 | 122,981円 |
60カ月 | 157,034円 |
ご覧のように返済期間が長引くほど利息は大きくなってしまいますね。
このため、お金に余裕のある時はなるべく多めに返済していくのがおすすめです。
ふなね社労士事務所 社会保険労務士
監修者 舟根大の一言コメント!
コメント
離婚の手続費用や当面の生活費を確保する手段として、カードローンを利用するのも一つの方法です。消費者金融のカードローンだと最短で当日中に融資を受けられるので、早急に手続きを進めたい人やまとまった現金を確保しておきたいという人には重宝します。カードローンの毎月の返済は借入残高の3~4%が目安なので、お金を借りる前に給料や生活費とのバランスを考えた上で、無理なく返済できる金額をシミュレーションしておくようにしましょう。
まとめ
離婚すると決意しても実行するのにはさまざまなお金の問題が発生します。
離婚をするためのお金だけでなく、離婚後に必要となる費用もありますので合計して数十万円単位のお金が必要になるケースも珍しくはありません。
しかし今はお金がない状況であってとしても、今回の記事で紹介している「離婚費用を抑える方法」や「離婚後に利用できる制度」、「相手からもらえるお金」などを知っておけばその負担を抑えたり、費用の足しにしたりすることが可能です。
とくに母子家庭・父子家庭となる人は活用できる制度が多いため、そうした制度はぜひフル活用するようにしましょう。
また、どうしてもお金が用意できない場合は「カードローン」で借入の検討をしてみるのもおすすめです。