不動産担保ローンは評価額で融資金額も異なる?評価額の決まり方や審査基準を解説

不動産担保ローンは融資金額の大きな借入が可能です。それは、債務者個人の信用に加えて、不動産の担保価値も評価の対象となるからです。

実際にどれくらいの金額まで借入ができるのかは、不動産の評価額によって決まると言っても過言ではないでしょう。

では、不動産の評価額はどのように算出するのでしょうか。

本稿では、不動産の評価額についての概要と、評価額が不動産担保ローンの融資金額に与える影響、評価額が低くても融資は受けられるかどうか、という点についてご紹介します。

不動産の評価額とは

土地についての評価額を決める方法を紹介するFP

不動産は「土地」と「建物」に分けられます。更地を持っている場合は土地のみの評価、建物付きの場合は土地と建物の評価を合算して考えます。

借りた土地(借地)の上に建つ建物だけを持っている場合は建物と借地権の評価になりますが、本稿では借地権については割愛します。

まず土地についての評価ですが、土地は「一物四価」と言うように、一つの土地に対して複数の評価方法があります。

土地についての評価方法

  • 実勢価格(時価)
  • 公示地価・基準地価
  • 路線価(相続税路線価)
  • 固定資産税評価額

以下、それぞれの評価方法についてご紹介しましょう。

実勢価格(時価)とは

実勢価格とは

いわゆる「時価」のことを指します。つまり、今その土地を売却するとしたらいくらで売れるか、ということです。

実勢価格は確たる評価額が算出できるものではありません。その地域に詳しい不動産業者などに査定してもらったとしても、査定額にはバラつきが出るでしょう。

一般的には、近隣の取引事例と比較して算出することになります。直近の取引事例を調べる方法として、国土交通省の「土地総合情報システム」を利用する方法があります。

比較する際に注意すべきは、土地の大きさ、形状、前面道路の種類や幅員、間口、その他個別の要因によって同じエリアでも金額が大きく変わる可能性があるということです。

「近くの土地が坪100万円だから、ここもそうだろう」とは限らないので気を付けて下さい。

公示地価・基準地価とは

公示地価(公示価格)とは

国土交通省の土地鑑定委員会が毎年3月(評価は1月1日時点)に公示する土地の評価額を指します。

同じく、都道府県が調査する価格を基準地価といい、こちらは7月1日時点の評価を9月に公表します。

調査主体に違いはあれど、どちらも公的な評価額という点では共通しています。公示地価・基準地価ともに、国土交通省の「標準値・基準値検索システム」で閲覧することが可能です。

ただ、評価対象となる地点が限られていますので、公示地価・基準地価だけで個別の不動産を評価することは難しく、後述する路線価などと組み合わせて考えることになります。

路線価(相続税路線価)とは

路線価には、相続税路線価と固定資産税路線価がありますが、通常「路線価」という場合には前者を指すことが多いでしょう。

ここでは、相続税路線価に限ってご説明します。

路線価とは

国税庁が各路線(道路)に対して決める評価額を指します。

例えば、「200千円」という路線価が付された道路に面している土地の場合、1平方メートルあたりの評価額が20万円(≒1坪あたり66.1万円)ということになります。

路線価は毎年1月1日時点の評価額が7月に公表されます。

なお、路線価の設定されていない地域もあり、この場合は固定資産税評価額に指定倍率を掛けて評価を算出します(倍率地域)。

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは

市区町村が各不動産に対して固定資産税を課税するために用いる評価額です。

固定資産税評価額は3年毎に見直しされます。市区町村役場で評価証明を取得すれば、評価額は容易に調べることができます。

また、自治体にもよりますが、固定資産税の納付書に同封されている課税明細書などに記載されていることもあります。

各評価額の関係

上記でご紹介した評価額には、一般的に次のような関係になっています。

公示地価・基準地価(100)>路線価(80)>固定資産税評価額(70)

公示地価・基準地価を100とすると、路線価は80、固定資産税評価額は70となります。

例えば、路線価で計算すると1,600万円の土地は、公示地価に換算すると(80%で割り戻す)2000万円となります。

なお、実勢価格については地域によってさまざまです。

地価相場が大きく動いているときには、公示地価の1.5倍、2倍ということもありますし、反対に公示地価を下回る場合もあります。

直近の取引事例などを詳しく調べて比較する必要がありますので、やや捉えにくいと言えるでしょう。

建物の評価

建物は構造と建築年数で評価します。

建物の構造によって法定耐用年数が定められており、例えば次のようになっています。

建物の構造 法定耐用年数
木造(住宅用) 22年
鉄骨造(住宅用)鉄骨の厚み4mm以上 34年
鉄筋コンクリート造(住宅用) 47年

さらに、国税庁の参考資料として建築年によって建築単価が決められています。

仮に、平成20年築の木造であれば、建築単価は1平方メートルあたり15万6,000円。延べ床面積が120㎡とすると、

15万6,000円×120㎡=1,872万円

となり、これに経過年数を考慮すると、

1,872万円×10年/22年=850万9,000円

が現在の評価額となります。

「10年/22年」というのは、法定耐用年数22年のうち、すでに経過しているのが12年(平成20年~令和2年)、残存期間が10年ということです。

法定耐用年数を超過している場合は、建物評価はゼロとされることがほとんどです。

金融機関によって独自の建築単価を用いることもありますので一概には言えませんが、建物評価に関してはそれほど大きな差は出ないでしょう。

公的な指標に頼った場合、公示地価換算した土地の評価額と、上記の建物評価額を合わせると不動産の評価額を求めることができます。

しかし、この評価額をどのように考えるかは金融機関によって異なりますので、さらに詳しく説明していきます。

不動産担保の評価額で融資金額が決まる

不動産担保が評価額で決まることを示すFPと金額が知りたい中高年消費者

前項で不動産評価の概要についてご紹介しましたが、不動産担保ローンにおいては、多くの場合「路線価」を用いて評価されています。

というのも、公示地価は限られた地点しか評価されていないのに対し、路線価は幅広いエリアに用いられているからです。

路線価は公示地価の約8割の水準で設定されていますが、実勢価格と比べるとかなり低い評価になることもあります。

例えば、売却すると5,000万円程度の評価が付く物件でも、路線価で評価すると2,500万円にしかならないということも大いにあり得ます。

この乖離をどのように考えるかは金融機関によって異なりますが、一般的には次のような傾向があると言われています。

  • 全国展開する金融機関:地域特性を考慮せずに公的評価を重視する
  • 地域に特化した金融機関:地域特性を考慮して評価に反映させる

前者(全国展開する金融機関)では、路線価そのままの評価を担保評価とします。

後者(地域に特化した金融機関)の場合、実勢価格が公的評価(公示地価など)よりも高いエリアでは、路線価にプラスアルファして評価するケースもあります。一例としては、「路線価×1.4」程度を評価基準にしている金融機関もあります。

実際に評価額がどれくらいになったのかということは、金融機関から開示されることはありません。不動産担保ローンの利用者に開示されるのは、あくまでも融資の上限額です。

融資金額は評価額に一定の掛け率を掛けて算出されます。この掛け率についてもおおよそ評価額の7~8割と言われていますが、金融機関が独自に定めるもので、かつ非公開情報ですので、確たることは言えません。

物件の種別(土地、戸建、マンションなど)や債務者の個人信用力などによって左右されることもあるようです。

いずれにせよ、評価額100%の融資というのは期待できないでしょうから、評価額が3,000万円としても、3,000万円ギリギリまで融資されることはまずないでしょう。

仮に、路線価評価で3,000万円の土地を担保とする場合、

  1. 路線価そのままで評価、掛け率は8割
  2. 路線価×1.4で評価、掛け率は7割

という金融機関であれば、

  1. 3,000万円 × 80% =2,400万円
  2. 3,000万円 × 1.4 × 70% =2,940万円

というのが融資限度額になります。

金融機関によって評価額が変わる?

金融機関によって評価額が変わることをレクチャーする女性行員とA判定B判定と変わる金額で悩む中高年消費者

前項でご説明した通り、金融機関によって同じ不動産でも評価額は変わります。

ある地域に特化した金融機関の方が、全国画一の基準で評価する金融機関より高い評価を出しやすいと言えるでしょう。

標準的な地形(比率が極端でない長方形など)で標準的な間口、前面道路幅員が6m程度のいわゆる住宅地にあるような物件で、ここ数年の相場も安定している場合、それほど評価に差が出ないこともあります。

反対に相場が大きく動いているときや、特殊性の強い不動産ならば、評価に差が出るでしょう。

特殊性の強い物件とは次のような物件です
  • 再建築不可
  • 建ぺい率・容積率超過(違反建築)
  • 不整形地(地形がいびつ)
  • 間口が極端に狭い(うなぎの寝床など)
  • 旗竿地(専用通路、路地状)
  • 高低差が顕著

再建築不可物件や違反建築物件にはそもそも融資しないという金融機関もあれば、債務者の信用力などと総合的に判断してくれる金融機関もあります。

それぞれの物件をどのように考えるかは金融機関と評価担当者によりますので、複数の金融機関に審査を申し込んでみると良いでしょう。

また、不動産担保ローンのネット記事では、不動産鑑定士が不動産を鑑定し、その鑑定結果により融資額を決められるなどと記載しているモノもあります。

しかし、金融機関の担保評価の場合には、不動産鑑定士の行う鑑定評価ほど厳密な評価をすることはほとんどありません。

評価をするのは評価担当者であって不動産鑑定士でないケースが一般的と言えます。

不動産担保の評価額が低くても融資は受けられる

評価額が低くても融資可能を知らせるFPと融資ができると喜ぶ中高年消費者

不動産の担保評価が低かったとしても、その範囲内で融資を受けることは可能です。

不動産担保ローンの審査は、物的な審査(不動産評価)と人的な審査(ローン申込者の信用力)の両面から行われます。

仮に、その金融機関が通常掛け率7割で融資上限額を算出していたとしても、個人の信用力が高ければ8割まで融資可能と判断されることもあるでしょう。

不動産担保ローンの貸出条件に最低金額が記載されている場合(100万円以上、300万円以上など)、その額に満たない評価の不動産であれば担保としての要件を欠くかもしれません。

そういった場合は複数の不動産を担保にして審査してもらう(共同担保)か、不動産担保ローンではなく、無担保のカードローンなどを検討するという方法もあります。

「信用力」の審査基準をチェック

融資金額が決定する人的な要素として個人の信用力が大事であると述べましたが、「信用力」とは具体的に何を指すのでしょうか。

信用力とは

債権者から見て「この債務者はちゃんと借りたお金を返してくれるだろう」と思えるかどうかということです。

具体的には、次のような観点で評価されます。

  • 収入
  • 年齢
  • 勤務先の種類(公務員>上場企業等>中小企業>自営業)
  • 勤続年数
  • 過去の借り入れ状況
  • 現在の借り入れ状況

「安定した収入があるかどうか」というのが最も重視されますので、自営業者よりも会社員の方が評価は高くなります。

また、勤務先の規模が大きいほど信用力も大きくなります。

勤続年数も長い方が評価が高くなりますが、これも同じ理由からくるものです。

いくら公務員や上場企業のサラリーマンだったとしても、職歴が短いとマイナス要因として見られるでしょう。

借入や返済の履歴(クレジットヒストリー、クレヒス)も審査には大きく影響します。

クレジットカードの利用やその他の借入、返済に事故がないかどうかも注意してください。

年齢にもよりますが、過去に借入を全くしたことがない、クレジットカードの申込もしたことがないというのも要注意です。

クレヒスが真っ白という状態は返って不自然だと判断される場合もあるからです。

まとめ

以上、不動産の評価額についての概要と、評価額が不動産担保ローンの融資金額に与える影響、評価額が低くても融資は受けられるかどうか、という点についてご説明しました。

  • 一つの土地に対して、実勢価格、公示地価・基準地価、路線価、固定資産税評価額の4種類の評価方法があるが、不動産担保ローンの評価では主に路線価が用いられる
  • 建物は建築単価と法定耐用年数の残存期間で評価する
  • 融資限度額は不動産評価額の範囲内で決められる
  • 金融機関によって不動産の評価額は変わる
  • 特殊性が強い物件ほど評価額に差が出る可能性が高い
  • 不動産の評価額が低くても融資は受けられる
  • 債務者の信用力もローン審査や融資上限額に影響する

不動産の評価方法や融資上限額の決定に関しては金融機関独自の規定で行われますので、なかなか実体を把握しづらいものです。

本稿でご紹介した原則論を参考知識として、個別の不動産担保ローン審査にチャレンジしてください。