ABL(動産・売掛金担保融資)とは?

動産(在庫等)や売掛債権を担保として活用する資金調達方法のこと。従来型の融資と比べ、担保対象が広いのが大きな特徴。

ABL(動産・売掛金担保融資)は、資金調達力が弱い中小企業の経営改善や事業再生を図るために金融庁からも積極的な活用が推進されている資金調達方法のひとつです。

「ABLってどんな仕組みなの?」

「ABLのメリット・デメリットって何?」

この記事では、以上のような疑問をお持ちの方のためにABLについて紹介します。

この記事を読むことで、ABLに関する疑問や不安を解消できることでしょう。

ABL(動産・売掛金担保融資)とは

ABLは「Asset-Based-Lendinng(アセット・ベースト・レンディング)」の頭文字からうまれた略語です。

一言で簡単に表現すると、「動産(在庫など)や売掛債権を担保として活用する資金調達方法」です。

こちらではABLの担保対象や、どのような企業にABLが向いているのか等を解説します。

ABL(動産・売掛金担保融資)の対象になるもの

動産 ・製品や商品の在庫
・仕掛品
・原材料
・車両、機械など
売掛債権 ・受取手形
・売掛金

上記のようなものがすべて担保の対象として検討可能です。

そのため、ABLでは従来型の不動産担保融資とは比較にならないほど担保対象が幅広いです。

たとえば、「動産」には食品やお菓子の原材料、製品なども担保対象として含まれます。

実際に、牛や豚などの家畜を担保にABLを実施した事例もあるほどです。

このようにABLでは従来では考えられなかったようなものまで、担保にすることができます。

ABL(動産・売掛金担保融資)の活用が向いている企業

  • 売掛金の入金サイトが長めで、手持ちキャッシュが不足しがち
  • 売上の急増にともない売掛金も増大し、仕入れ資金が枯渇している
  • 競合企業に販売先を奪われ、在庫が膨れ上がってしまった
  • 決算が思わしくなく、通常の融資の審査通過が難しい

ABLは優れた資金調達方法のひとつですが、向き不向きがあるので、利用にあたっては適切な判断が必要です。

ABL(動産・売掛金担保融資)のメリット3つ

メリット
  • 在庫や売掛金を活用して資金調達できる
  • 赤字や債務超過の企業も融資対象になる
  • 財務(資金繰り)の改善に繋がる

ABLを活用することで一般的な融資では実現できないような資金調達が可能になるなど、多大なメリットは見逃せません。

ここでは、ABLの3つのメリットを順番に解説します。

在庫や売掛金を活用して資金調達できる

ABLで在庫や売掛金を担保に資金調達することで、早期現金化が可能です。

売掛金は「入金」まで、在庫なら「販売→代金入金」までは現金化されませんが、ABLなら入金を待たずに資金を確保できます。

【例】原材料の在庫の場合
製造→販売→代金回収までサイクルを回すのに相応の時間がかかる

ABLを活用すれば、原材料の状態で資金調達が可能になる!

特に在庫や売掛金が膨らみがちな企業では、社内に滞留している資産を活用できる意義は大きくなります。

赤字や債務超過の企業も融資対象になる

一般的な融資では、企業の業績や財務体質が重視されますが、ABLなら赤字決算や、多少の債務超過であっても前向きに融資検討してもらえる可能性があります。

ABLでは動産や売掛金が担保に設定されるため、金融機関は未回収のリスクが軽減されるためです。

仮に返済不能に陥った場合でも、金融機関は担保としての在庫や売掛金を処分して融資を回収できます。

このようにABLは担保提供によって信用を補完できるため、一般的な融資よりも柔軟な審査が可能となるわけです。

財務(資金繰り)の改善に繋がる

在庫や売掛金が膨れ上がると、財務バランスが悪くなり、また資金繰り面が厳しくなってしまいます。

長期運転資金の導入で資金繰りの安定化を図るのが一般的ですが、創業期など信用が低い状態ではなかなか十分な資金調達が難しいことが多いものです。

そんなとき、ABLなら在庫や売掛金の担保力で資金調達可能となり、資金繰りの大幅改善につなげられます。

ABL(動産・売掛金担保融資)のデメリット2つ

デメリット
  • 融資までに時間がかかる
  • 売掛金や在庫状況などの動きがすべて銀行に把握される

ABLは動産や売掛金をたくさん抱える企業には大きな資金調達方法ですが、気をつけるべきポイントがいくつかあります。

ここでは、ABLの利用で想定されるデメリットを解説します。

融資までに時間がかかる

ABLは基本的に申込から融資実行までの期間が半月~1カ月以上と、それなりの期間を要します。

特に動産を担保にする場合、担保調査や査定に時間がかかりがちです。

支払期限が迫っているなら、ABL以外のビジネスローンファクタリングも視野に入れる必要があります。

売掛金や在庫状況などの動きがすべて銀行に把握される

ABLの審査を受けるには、企業の相当深いところまで念入りにチェックを受けることになりがちです。

金融機関に対して「どうぞすべてお見せします」というオープンな開示ができるなら良いですが、あまり見られたくない事情があるケースも少なくありません。

やはり動産を担保にする場合は開示範囲が広範囲になりがちですから、許容できるかがABL利用判断の大きなポイントとなります。

ABL(動産・売掛金担保融資)の申込み~融資の流れ

  1. 申し込みをする
  2. 動産や売掛金の評価
  3. 金融機関の審査・担保にする資産を登記
  4. 融資を受ける

ABLを利用するために必要な手順を事前に把握しておくことで、適切な形でABLに申込みできるでしょう。

ここではABLの申込みから融資までの一般的な流れを簡単に解説します。

申し込みをする

金融機関によってABL案件対応の差が大きく、事前にある程度ABL案件への対応状況をチェックしておく必要があります。

たとえば東京都では東京都動産・債権担保融資(ABL)制度の取扱金融機関を指定しています。

メインバンクへの申込みが基本ではありますが、ABLへの対応によっては柔軟に申込先を検討する必要があるでしょう。

動産や売掛金の評価

担保評価は以下のパターンのいずれかで実施されることになります

  1. 金融機関による独自の担保調査
  2. 専門機関による担保調査

たとえば東京都のABL制度では下記の専門機関が指定されています。

担保の種類 専門機関
売掛債権
トゥルーバグループホールディングス(株)
(株)帝国データバンク
(株)電子債権応用技術研究所
在庫
(特非)日本動産鑑定
(株)ゴードン・ブラザーズ・ジャパン
車両
オリックス自動車(株)
車両建設機械工作機械等
昭和リース(株)
みずほリース(株)

専門機関では評価ノウハウが豊富に蓄積されており、適正かつスピーディーな査定を期待できます。

金融機関の審査

ABLの審査では財務状況等の一般的な審査も行われますが、担保となる動産や売掛金の査定が重要なポイントです。

査定結果が良好であれば、多少財務に問題を抱えていても前向きな審査結果が得られる可能性があります。

なお売掛金債権担保融資の審査は、基本的に売掛先の企業評価メインですから金融機関にとって難しいことではありません。

ただし動産担保融資の審査については、現状ではまだまだ経験豊富な金融機関に乏しいのが現状です。

担保にする資産を登記

売掛債権担保融資を利用するためには債権譲渡登記が必須です。

そのため譲渡禁止特約が付帯されている場合には、ABLの対象になりません。

動産を担保にする際は、担保設定の及ぶ範囲について明確にしておく必要があります。

銀行口座まで担保となり、口座をモニタリング&管理されることもあるので注意しましょう。

融資を受ける

金融機関による一連の審査や登記が完了したのち契約を締結し、基本的にはその場で融資が実行されます。

なおABLは融資を受けた後も、金融機関による継続的なモニタリングが実施されることに留意してください。

特に動産担保については随時報告が求められることも多いですが、素直に協力することが大切です。

ABL(動産・売掛金担保融資)とファクタリングの違い

結論を先にまとめてしまうと以下の通りです。

ABL 動産や売掛金を担保にして融資を受けること
ファクタリング 売掛債権を売却して入金を前倒しすること(融資ではない)

ABLでは動産や売掛金は担保設定されるだけなのでバランスシートに残りますが、ファクタリングでは売却する売掛金がバランスシートから消えることになります。

こちらでは細かな説明は省きますが、財務諸表に異なる影響を与えることは頭に入れておくべきです。

まとめ

今回はABLについて解説しました。

最後にもう一度大切なポイントを振り返ります

大切なポイント

  • ABLとは、動産(在庫など)や売掛債権を担保として活用する資金調達方法のこと
  • ABLは、在庫や売掛金の担保力を活用して、財務体質が弱い企業でも資金調達できるのが大きなメリット
  • 審査時間の長さや、金融機関に財務が丸裸にされる点が考慮するべきポイント

これらを理解することでABLで資金調達するべきかを適切に判断出来るようになります。

メリット・デメリットの両面をしっかりと把握し、最適な形でのABL利用を検討してみてください。