売掛金が支払われない場合の遅延利息について、回収方法や時効など

「売掛金が期日になっても支払われない場合、利息を請求してもいいの?」
「売掛金の遅延利息はいくらぐらい請求できるの?」

融資の返済が遅れた時と同じように、売掛金の入金が遅れた時にも利息をつけてもらいたいと感じる経営者も多いことでしょう。

結論から言えば、支払い期日になっても売掛金が入金されない場合は「遅延利息」を請求できます。

この記事では売掛金と遅延利息について、法的根拠を踏まえつつ解説します。

最後まで読むことで売掛金が入金遅延したときに、どのように対処すべきか的確に判断できるようになります。

売掛金の支払いが遅れた場合は遅延利息を請求できる

売掛金が期日に入金されないということは、融資の返済が遅れるのと似ている部分があります。

実際に融資の返済に遅れてしまえば容赦なく延滞利息が請求されますが、売掛金の場合はスルーされてしまうケースが多いかもしれません。

また売掛金は融資ではないので、延滞利息のようなものは馴染まないように感じる方も多いことでしょう。

しかし売掛金でも期日の入金が遅れれば「遅延損害金」を請求できます。

遅延損害金を請求できる法律の根拠としては、下記の民法404条と419条、そして商法の514条が関わってきます。

・民法 第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。(法定利率)
・民法 第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2.前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3.第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。(賠償額の予定)
・商法 第五百十四条 商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。(商事法定利率)

※民法の年5分(年5%)の法定利率は、民法大改正により令和2年4月より年3分(年3%)となります

法律の条文なので、ちょっと難しく感じてしまいますが、ざっくりと内容をまとめると以下のとおりです

・一般的な入金の遅れなどの利息は年5%が基本だが、あらかじめ別に決めておくこともできる。
・商売上の取引の場合の利息は年6%を原則とする

つまり、売掛金は商売上の取引ですから年6%がベースと考えておけば法的に問題ないことになります。

売掛金の遅延利息の考え方

先にも簡単にふれましたが、表でまとめると以下のとおりです。

事前に取決めがある場合 約定通りの利率が適用
事前に取決めがない場合 年6.0%が適用(商事法定利率)

簡単に言ってしまえば、契約書などに遅延利率が明記されていればその利率、特に記載がなければ年6%となるわけです。

遅延利息を決める際の注意ポイント

事前に遅延利息を決める場合、商法上は自由に決めて良いことになっています。

しかし、自由とは言っても適度な遅延利息を決めておくことが大切です。

きちんとした遅延利息を決めておくことで、後々のトラブルを回避しやすくなります。

遅延利息を決めるために抑えておきたいポイントは以下の2つです。

  • 社会通念上、過度と見なされるような高率の遅延金設定は問題となる可能性が高い
  • 反対に低すぎる遅延金利率設定だと、取引先へのインパクトが弱くなる

「社会通念上」というのはどのレベルを指すのかは専門家でも意見が分かれるところですが、一般的には

  • 利息制限法(年15.0%~20.0%)
  • 税金の延滞税率(年14.6%)

以上を上限に考えておくのが無難です。

時効が成立すると売掛金も遅延損害金も請求できない

せっかく売掛金に遅延損害金を規定していても、元となる売掛金の時効が成立してしまえば意味がありません。

時効は債権の種類によって適用される法律が異なり、時効期間も変わってきます。

【例】

・商品を販売した代金:2年(民法173条)
・飲食店や宿泊施設の代金:1年(民法174条)

なお、上記の他にも3年や5年の時効期間が設定されるケースもあるので注意が必要です。

時効の中断方法は裁判所の訴訟提起などの方法がありますが、時効が迫っている場合には内容証明郵便で「催告」をすることで半年間の猶予が生じることは覚えておくと良いでしょう。

売掛金と遅延利息の回収方法

売掛金と遅延利息の回収は、次の流れで行うのが一般的です

  1. まずは取引先に連絡して支払いを促す
  2. 可能な限り書面で債務の承認を求める(後の裁判発展時に有効)
  3. 催促しても支払いがなければ、内容証明を送付
  4. 調停手続きを申し立てる
  5. 最終手段は訴訟

何よりも大切なのは、取引先との連絡を密にしてコミュニケーションを閉ざされないようにすることです。

遅延する側としては連絡したくない心理になりがちなので、こちらから積極的に連絡する必要があります。

既に支払いが遅延しているなら状況が刻々と悪化する可能性が高いので、可能な限りリアルタイムで状況把握しなければなりません。

上記の流れにこだわらず、危機レベルに応じた柔軟な対処が必要です。

遅延利息にこだわりすぎるのはNG

売掛金の入金が遅延しているということは、取引先は余分な支払いができない状況にある可能性が高いわけです。

相手のミスによる遅延なら遅延利息を請求しても問題ないですが、お金のない先に遅延利息の話をしても余計に話をこじらせる可能性が高くなります。

無事に売掛金が回収できればOKくらいに考えて、利息の話にこだわりすぎないようにしましょう。

売掛金の未回収リスクを回避する方法

本来であれば、売掛金の与信と回収管理の徹底により、未回収リスクを予防的に抑えるのが理想です。

ただし予期せぬ未回収に100%対処するのは難しい面もあります。

そこで売掛金のみ回収リスクに効果的に対処する方法として、以下の3つの方法を解説します。

詳しく見ていきましょう。

保証ファクタリング

保証ファクタリングとは

ファクタリング会社が万が一の未回収の際に代金を保証してくれるサービスのことです。

保証ファクタリングのメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 売掛債権ごとに保証を設定できるので、リスクを抑えたい債権にピンポイントに対応可能
  • 比較的小規模な取引先でも審査可能なことも多い
デメリット
  • 保証料が比較的高額(取引先の信用が低いほど高額になりがち)
  • すべての取引先で保証を受けられるわけではない

無責任に買取ファクタリングを勧める悪質ネット情報に注意

「売掛金の回収が面倒ならファクタリングがおすすめ」などと騙るネット情報を見かけます。

しかし正規のファクタリングであれば、未回収リスクが高まっている売掛債権を買い取ってもらえる可能性は限りなく低いものです。

また万が一、リスクを知りながら買取ファクタリングを利用した場合、利用者側の責任を問われることになりかねません。

悪質なネット情報に惑わされず、きちんとした対応をするように心がけてください。

取引信用保険

取引信用保険とは

ファクタリングとは異なり、複数の取引先をまとめて保証してくれるサービスです。

取引信用保険のメリットとデメリットは以下の通りとなります。

メリット
  • 保証期間内であれば対象取引先のリスクをまとめてカバー可能
  • 比較的高額の債権にも対応可能
デメリット
  • 保証料がかかる
  • 少額の売掛金には対応できないことが多い

サービサーへの債権譲渡

サービサーとは

回収が困難となった債権を買い取って、代わりに回収を請け負ってもらえるサービスのことです。

サービサーへの債権譲渡による回収のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 回収が難しくなった先でも、プロフェッショナルが債権回収を代行してくれる
デメリット
  • 取引先との関係は完全に破綻する
  • サービサーに悪質業者が混じっている可能性がある

まとめ

こちらの記事では売掛金の遅延損害金(利率)を中心に解説しました。

遅延した売掛金への利息について正確に理解いただき、適切な方法で対処するようにしてください。