【売掛金に損害保険をかけたい人へ】取引信用保険と売掛保証について
申し込みを考えている人

売掛金が回収できなくなったときに役立つ保険を知りたい

申し込みを考えている人

売掛金の未回収リスクに備えられる保険のようなサービスってあるの?

このように取引先の「支払い遅延」や「倒産」によって売掛金が回収できなくなることを未然に防ぎたい企業は多いことでしょう。

売掛金の回収不能に備える代表的なサービスは次の2つがあります。

  • 取引信用保険
  • 売掛保証

この記事では、それぞれの概要とサービスの違いを紹介します。

最後までお読みいただくことで、どちらのサービスが自社に適しているのかを正しく判断できるようになるでしょう。

「そもそも売掛金って何だっけ?」という方は以下の記事をご覧ください。

売掛金の回収不能に役立つサービス①:取引信用保険

取引信用保険とは、取引先の貸倒れ発生時に保険金が支払われる保険サービスです。

取引信用保険の適否を簡単にまとめると以下のようになります。

すでに明らかなリスクへの
ピンポイントの対応
×
将来的に起こり得る
リスクへの幅広い対処

ここさえ間違えなければ、取引信用保険を利用するべきか適切な判断ができると思いますが、理解を深めるために、次の6つの項目をさらに解説します

  1. 取引信用保険に加入する5つのメリット
  2. 取引信用保険に加入する4つのデメリット
  3. 保険金が支払われる主なケース
  4. 保険金が支払われないケース
  5. 保険金額の算出方法
  6. 取引信用保険の加入方法

こちらをお読みいただくことで、貴社が取引信用保険を利用するべきか瞬時に判断できるようになります。

取引信用保険に加入する5つのメリット

取引信用保険への加入には、下記の5つのメリットに納得できるかどうかを良く検討する必要があります。

資金繰りの安定化
万が一の売掛金貸倒れの際に保険金が支払われるため、資金繰りが安定
自社の信用力UP
取引信用保険への加入により経営リスクが軽減されることで、自社の信用力アップにつながる
取引先への通知不要
加入が、取引先に知られることは基本的にない
※貸倒等の事故発生時はのぞく
与信管理が楽になる
保険会社より提供される取引先の信用情報を活用することで、与信管理の効率化が可能
コストの平準化
貸倒損失発生による一時的かつ多額のコストを、毎月の保険料に振り分けて負担を平準化できる

このように「将来的な貸し倒れリスク」を保険でカバーできるようになるのが取引信用保険加入の最大のメリットです。

取引信用保険に加入する4つのデメリット(注意点)

取引信用保険加入には大きな安心を得られるメリットがありますが、デメリットにも気をつける必要があります。

メリットとデメリットの両方をしっかりと確認した上で加入の可否を検討してください。

保険料の負担
損失が発生しなくても、毎月の保険料支払負担がある
※保険対象となる取引先の信用によっては、保険料が割高となることも
保険対象が限定される
保険をかけたくなるようなリスクの高い先ほど、保険対象とならない可能性が高まる
損害のフルカバーはできない
予め決められた90%程度の「縮小率」が正味損害額に掛けられるため、10%程度の損害はカバーされない(自己負担がある)
発生済の債権は保険の対象外
原則として保険期間中に発生した債権のみが保険の対象となる(債権発生ベース)ため、契約時点で発生済の債権は保険の対象外

身体の異変を感じてからの生命保険加入が難しいのと同じように、売掛先に信用不安が生じてから取引信用保険でリスクをカバーするのは厳しいわけです。

保険金が支払われる主なケース

基本的には「実質的な倒産状態」と見なされ、支払いの見込みが無くなった場合に保険金が支払われます。

保険支払は「約款」に従って行われますが、概要を簡単にまとめると以下のとおりです。

  • 取引先の破産、民事再生、会社更生、特別清算等の手続きが開始された時
  • 取引先が取引停止処分(取引金融機関もしくは手形交換所)を受けた時
  • 取引先の財産が差し押さえ(矯正感化、仮差押、保全差押)された時
  • 取引先の相続人全員による限定承認、相続放棄、財産分離の請求がされた時
  • 取引先が1年間所在不明となった時
  • 取引先が証券に記載された期限を経過しても支払わず、また支払う見込みがない時

※参考引用:三井住友海上火災保険株式会社「取引信用保険(簡易引受プラン)のご案内」より要約(一部平易な表現へ変更)

保険金が支払われないケース

取引先に問題があるのを知りながら隠して契約した場合や、激甚災害などの大混乱があった場合には保険金が支払われません。

また、納品した商品に問題があった場合や、すでに支払いが滞っている先への納品してしまった場合も保険支払対象外になります。

具体的には、以下の項目にひとつでも当てはまると保険金が支払われないので注意しましょう。

  • 保険契約者、被保険者などに故意、重大過失、法令違反があったことにより生じた損害
  • 戦争、内乱、核燃料事故、地震、噴火、津波、台風等による社会的、経済的混乱によって生じた損害
  • 未成年や無能力者との契約で、法定代理人等の追認を受けるまでに生じた損害
  • 商品に瑕疵があったことによって生じた損害
  • 取引先が(約款に定める)債務を履行していないこと、もしくは保険事故の発生を知りながら契約した場合
  • 1カ月以上支払い遅延している先に商品を引き渡したことによって生じた損害

保険金額の算出方法

万が一債務不履行が発生した時は、基本的に以下の2つのうち小さい金額が保険金額となります。

・正味損害額 ✕ 縮小率
  
・取引先ごとに設定された支払限度額

※保険会社や商品によって異なる場合があります

例えば支払限度額1,000万円の先で500万円の未回収発生なら

500万円 ✕ 90% 
= 450万円 < 500万円(支払限度額)

また支払限度額300万円の先で500万円の未回収行発生なら

500万円 ✕ 90% 
= 450万円 > 300万円(支払限度額)

以上のように保険金額が計算されます。

取引信用保険の加入方法

加入の流れを簡単にまとめると以下のとおりです。

※加入方法は保険会社によって多少違いがあります

  1. 「告知書」に必要事項を記入して保険代理店などへ提出
  2. 保険見積書に同意の上、保険契約を締結
  3. 保険期間開始

売掛金の回収不能に役立つサービス②:売掛保証(保証ファクタリング)

取引信用保険と一見似たようなサービスに「売掛保証」があります。

売掛保証とは、売掛金に保証をつけることで万が一回収不能となった際に保証金が受け取れるサービスのことです。

こちらでは売掛保証と取引信用保険の違いにフォーカスして次の6つの項目を解説します。

  1. 売掛保証の利用が適している企業
  2. 売掛保証が適さない企業
  3. 売掛保証を利用する5つのメリット
  4. 売掛保証を利用する4つのデメリット
  5. 売掛保証が利用できる企業
  6. 売掛保証の契約方法

売掛保証を利用するかの判断基準として大切なポイントばかりですから、サクサクと確認しましょう。

売掛保証の利用が適している企業

売掛保証の利用を積極的に検討したいのは「特定の取引先のリスクに備えたい」企業です。

特に取引シェアが大きく債務不履行があると連鎖倒産を避けられないような取引先を抱えている場合に、保証ファクタリングで対処するのは合理的と言えるでしょう。

また「新規取引先を開拓できるチャンスだが、信用状況がわからず不安」というケースにも売掛保証は最適です。

売掛保証の利用が適さない企業

すでに信用状況に大きな不安が生じている取引先は審査NGとなる可能性が大きく、保証ファクタリングの利用は適していません。

なお重大な信用不安を知りながら告知しなかった場合には、債務不履行が発生しても保証を謝絶される危険があります。

売掛保証を利用する5つのメリット

売掛保証では取引信用保険とは異なる以下の5つのメリットがあります。

未回収リスク回避
万が一の債務不履行時にファクタリング会社から支払いを受けられる
与信管理負担軽減
ファクタリング会社が随時売掛先の信用をチェックして情報提供&保証してくれるため、自社による与信管理を省力化可能
発生済債権保証OK
すでに発生している債権でも原則として保証可能
取引先への通知なし
保証を掛けている事実は取引先に通知されない
安心して新規取引先を開拓できる
難しさを伴う新規取引先の与信調査を経験豊富なファクタリング会社が行った上で保証してくれるため、安心して取引開始できる

万が一の際に備えられるという面では取引信用保険と似ていますが、売掛保証では発生済債権でも保証OKな点が最も大きな違いと言えるでしょう。

売掛保証を利用する4つのデメリット

売掛保証にもデメリットは存在しますので、チェックしておきましょう。

保証料の支払が必要
取引先のリスクに応じた保証料の支払いが必要
保証対象外となる可能性もある
取引先のリスクが大きすぎると、保証を断られるケースもある
満額保証でないことも
売掛債権の100%が保証されるケースもあるが、一定の割合で自己負担が求められるケースもある
保証減額・終了の可能性がある
取引先に信用状態の急激な悪化が認められた場合、保証が減額されたり終了されたりする場合がある

当然ながら無料で保証はしてくれませんし、リスクが高すぎる取引先は保証を断られることもあります。

さらに保証期間内であっても、取引先になにかしらの信用悪化が認められた場合に、保証額の減額や(一定期間経過後に)終了されてしまう場合があることに注意が必要です。

保証があるから安心しきって与信管理を怠っていると、いざという時に必要な保証が得られないことになりかねません。

売掛保証が利用できる企業

売掛保証は売掛金を保証するサービスなので売掛先の信用が重視される一方で、申込企業の信用はさほど重視されません。

つまり決算が不調で銀行融資を受けるのが難しい状態であっても、信用が一定水準以上ある売掛金があるなら保証を受けられる可能性は十分にあるわけです。

どのレベルまで保証が受けられるかは申込先の業者によって異なりますので、まずは(保証料の見積もり等も含めて)相談してみるのが良いでしょう。

売掛保証の契約方法

売掛保証の基本的な契約の流れは以下のとおりです。

※利用するファクタリング会社により多少手続きの流れが異なる場合があります。

  1. ファクタリング会社と「基本契約」を結ぶ
  2. 保証希望先のリストを提出し、審査を受ける
  3. 保証限度額や保証料金等を確認の上、保証契約を結ぶ
  4. 保証スタート

取引信用保険と売掛保証を比較

ここまで取引信用保険と売掛保証について詳しく解説してきましたが、両者の違いにフォーカスして一覧表でざっくり確認しておきましょう。

取引信用保険 売掛保証
共通点 万が一の取引先の債務不履行時に備えることができる
相違点 原則として契約期間中に発生する債権のみが保険の対象 すでに発生した売掛債権でも保証可能
対象に
なる
売掛金
保険会社が認める取引先の契約後に発生する売掛金 ファクタリング会社が認める取引先の売掛金
向いて
いる
企業
将来的なリスクに広範囲に備えたい ピンポイントのリスクに対処したい

以上を踏まえて貴社にどちらが向いているのかを最後にズバリまとめて解説します。

将来的なリスクに広範囲に備えたい企業は「取引信用保険」

取引信用保険は「保険」と名がついているとおり、将来的なリスクに備えるのが主な目的になります。

すでに不安のある特定取引先のリスクに備える場合には、売掛保証のほうが最適です。

ピンポイントのリスクに対処したい企業は「売掛保証」

売掛保証では、ある程度のリスクを既に感じていたとしても審査を受けることは可能です。

取引急増の不安、新規や遠方の取引先で情報が不足している場合などに活用しやすい方法と言えます。

売掛保証についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

まとめ

こちらの記事では売掛金のリスクに備える有効な方法について解説しました。

取引信用保険と売掛保証はどちらも万が一に備える意味合いでは共通していますが、発生済みの売掛金への対応など大きく異なる点もあります。

ぜひこちらの記事を参考に、貴社に最適な方法を選択するようにしてください。