【借入体験談】地下アイドル応援で借金地獄に陥った男性の告白
武藤 英次

この記事の監修者

ファイナンシャルプランナー

武藤 英次さん

「借金をしてまで趣味に没頭するのはおかしいのか?」

趣味は人生に潤いを与えますが、その熱意が金銭的な負担を伴うとき、気づけば後戻りできない状況に陥ることもあります。この記事では、地下アイドルへの熱烈な応援が高じて、消費者金融のカードローンに依存する生活に追い込まれた男性の実体験を紹介します。趣味とお金のバランスを失った日々の葛藤と、そこから抜け出すまでの過程を語っていただきました。

この体験談を教えてくれた人

小野 悠一さん(仮名・43歳・男性)

山梨県上野原市に暮らす43歳の会社員。独身で一人暮らしをしていました。

当時の年収は300万円。地下アイドルに熱中してCDやグッズの購入、ライブイベントへの参加費用にお金をつぎ込むあまり、消費者金融3社から借入する状況に。そして、返済が追いつかなくなるまでエスカレートしていきます。このころの生活は、趣味への熱中と返済への苦悩が入り混じったものでした。

  • 職業:会社員
  • 居住地:山梨県上野原市
  • 家族構成:独身
  • 年収:300万円(当時)
  • 借金合計額:110万円
  • 借入先の会社名:アコム、アットローン、キャネット
  • 借入件数:消費者金融3件
  • 利用時期:2005年10月~2010年3月

※この記事は、ナビナビキャッシング編集部が実施したインタビューを基に作成しています。

地下アイドルの成長を見守るのが使命と思っていた

アイドルというと、テレビで見たりコンサートを大々的に開いていたりするグループを思い浮かべると思います。

私がお応援していたのはそういうメジャーなアイドルではなく、これから成長していくであろうマイナーなアイドル、いわゆる地下アイドルです。

昔は、地下アイドルといえば趣味的な活動としてアイドルをやっているような人も多かったんですが、最近ではメジャーなアイドルになるための下積み期間のように考えられていることも多く、ファンが一定の人数になったらメジャーデビューするケースも増えています。

ファンが少ない地下アイドルのファンとなった私は、その成長を見守るのが自分の使命のように感じていた部分もありました。

ライブがあるときは、たとえ観客が自分一人であっても精いっぱい応援して、その瞬間だけが楽しみという生活でした。

グッズ販売を購入することでアイドルの応援を

グッズ購入で地下アイドルの応援をしている男性

アイドルといえばつきものなのが、「グッズ販売」です。

地下アイドルなのでそれほど多くはないのですが、それでもCDは販売していますし、手軽に作れて劣化しにくいTシャツやリストバンドなどはよく販売されています。

このCDを買うというのも、単に聞きたいだけなら1枚あればいいのですが、それ以上に応援したいという気持ちを表すためにも、数十枚単位で購入するのが当たり前です。

Tシャツやリストバンドも、ライブのたびに同じものを何個も買っているので、色違いのTシャツが各種何枚もあり、合計で100枚近く持っているような状態でした。

当時働いていた会社では6年ほど経理として勤めており、毎月の給料は20万円ほどでした。

そこから家賃と生活費などを差し引いて、毎月5万円ほどが残ります。

さらに貯金もしていたので、貯金は150万円くらいあったのですが、このCDやTシャツを購入するためにお金を使ってしまい、どんどん残高が目減りしていきました。

しかし、使い道を考えていなかった貯金の有効活用ができたと考えていたのでそこに後悔はありません。

むしろお金の使い道を教えてくれた彼女たちに感謝すらしていました。

グッズ購入を控えると

そうやって応援を続けていたのですが、さすがに貯金も底をついてきたので、ライブでのグッズ購入を控えようと考え始めました。

その時にはファンも私だけではなく、毎回20人程度の集客が見込めるようになっていたので、無理をしてまで買う必要はないかなと思いました。

しかし、ライブが終わってグッズを購入するときに、これまで自分に向けられていた笑顔が見られず、ほかの客にその笑顔が向けられていました。

初めてグッズを買わなかったときにそのことがわかり、非常に悔しい思いをしました。

そこで思ったのが、将来的に人気が出てメジャーデビューすることになったとき、彼女たちは自分がこれまで応援してきたことを忘れるのではないか。

もしかしたらほかのファンのことを思い浮かべるのかもしれないということです。

全メンバーに名前や顔を覚えてもらっているか定かではありませんが、完全に存在を忘れられるというのは非常に悔しい思いがあります。

悔しい思いをするくらいなら、無理をしてでも最後まで応援したい、という気持ちになりました。

ファイナンシャルプランナーのアドバイス

武藤 英次
監修者:
武藤 英次

「好きな相手」や「好きなモノ」に対して、ついついお金を使ってしまいがちなのは、多くの方が思い当たるのではないでしょうか。

アイドルのファンなら1,000円のランチは高く感じても、2,000円のCDやグッズは安く感じてしまう……なんてこともあるかもしれません。

全回答者(1,000 名)に、生活費以外(趣味や遊びなど)に、ひと月あたり、いくらくらいお金を使っているか聞いたところ、「1 万円以下」(32.1%)に最も多くの回答が集まったほか、「1 万円超~2 万円以下」(14.7%)や「2 万円超~3万円以下」(12.5%)にも回答がみられ、平均は 19,027 円でした。また、「0 円」は 26.8%となりました。

男女別にみると、生活費以外に使っている金額の平均は、女性では20,744円と、男性(17,310円)と比べて3,434
円高くなりました。

※引用元:20代の金銭感覚についての意識調査 2024|SMBCコンシューマーファイナンス株式会社

武藤 英次
監修者:
武藤 英次

好きなことにお金を使うのは、人生の大きな楽しみの1つですから、必ずしも悪いことではありません。

しかし、自分の生活のバランスを崩してしまうような使い方では問題です。

今までに使ってきた金額をざっと計算してみるなど、「冷静になる瞬間」を持つことも大切になってきます。

初めてのカードローン利用

そんな中で、次のライブに向けて新しいグッズを制作しているというお知らせが届きました。

そこで大量に購入して、少しでも強く印象に残ってほしい、そう思って、初めてカードローンを利用することにしました。

その時に選んだのは、会社の人に見られないように会社とは違う路線の駅で降り、そこから離れた場所にあったカードローンの自動契約機です。

会社で経理を担当している場合、消費者金融などの利用があると横領などを疑われやすいので、とにかく申し込みの際には在籍確認の有無について確認しました。

在籍確認自体は行われるものの、会社名などは名乗らずに個人名でかけて、私が会社に在籍いるかどうかを確認するだけ、ということだったので問題はなさそうだと胸をなでおろしました。

そして、初めての利用ということで30万円の利用が可能となったのです。グレーゾーン金利廃止前だったため、当時の金利は、年利21.0%でした。

この時に借りたのは、20万円でした。

満額までは必要ないものの、もう少しでボーナスの支給日となるので、その時に全額返せばいいと思って少し余裕を持たせた金額でしたが、そもそも1回で終わると思ったのが間違いでした。

この先何度も借り入れを行い、そして長い間返済を続けることになるとは、この時点では思いもしなかったのです。

ファイナンシャルプランナーのアドバイス

武藤 英次
監修者:
武藤 英次

カードローンは多くの方が想像するよりも、簡単にお金を借りることができます。

申し込みをしたその日のうちに借入できる「即日融資」も可能なので、急なお金のピンチにも対処できるのが強みです。

ただしカードローンの金利は決して低いものではないことに気をつける必要があります。

返済計画をしっかりと立てて、可能な限り短期に返済しないと支払利息が大きくなってしまうのです。

▶︎まずは無料で返済シミュレーション

終わらない借り入れと、延々続く返済

ローンで借り入れたお金

ライブでは、新しいグッズを全種類いくつも買い、CDもあわせて15万円ほど購入しました。

これで少しでも、彼女たちのメジャーデビューが近づく手助けとなるのであれば、安いものでしょう。

そして、何よりも気に入っているメンバーに直接「いつもたくさん応援してくれてありがとう!」と笑顔で言われるのは、何物にも代えがたい喜びです。

その時の借り入れは、ボーナスが出た時点ですべて返済しました。

すると、その後カードローンの会社から電話が入り、限度額を50万円に変更しないかといわれたのです。

特に問題もなかったので、利用枠の増額はすぐに了承しました。

その後は、ライブがあるたびに5万円程度の借り入れが続きました。

給料が出たらなるべくすぐに返済するようにしていたのですが、だんだんとそれも追いつかなくなり、5万円借りて返済は3万円、また5万円借りて返済は2万円と積み重ねるうちに、借入残高が徐々に積みあがっていきました。

そして数カ月もすると、借入残高をすべて使い切るという事態に陥りました。このままではアイドルの応援ができなくなる…!

そう思った私が選んだのは、2社目の利用でした。

2社目の申込みもスムーズに終わり、新たに30万円の借入枠を得ることができました。

しかし、それではまだ不安があった私はさらにもう一社に申し込み、そちらでも30万円利用できるようにしておいたのです。

この2社については、もう一社の返済のために借りることもあれば、ライブでのグッズ購入資金を借りることもありました。

また、2社のどちらかではなく、両方から平均して借りることにしていました。

これは、一社から借りてまた限度額になってしまうことをなるべく遅らせたいという気持ちと、一社から20万円借りるよりも2社から10万円ずつ借りている方が罪悪感は薄れるから、という気持ちがあったからです。

結局総額は変わらないんですけどね。

グループ解散とまさかの会社倒産

マイクだけ残った解散したグループのライブ会場

そうして応援を続けていたのですが、とうとうそのアイドルグループは解散することになりました。

メンバーの今後については幸せであれという気持ちでしかなかったものの、そこでふと我に返った私に残されたのは、大量にあって置き場所に困るグッズの山と、100万円ほどの借金だけでした。

さすがにこれはまずいと思い、とりあえず借金を返済することを考えます。

しかし、そこに追い打ちをかけるように、不幸が訪れました。会社が倒産したのです。

ファイナンシャルプランナーのアドバイス

武藤 英次
監修者:
武藤 英次

最初は誰しも「借金」に抵抗を感じるものですが、一度借金を経験してしまうと慣れてしまうのも想像以上に速いものです。

特にカードローンは、最短即日融資で簡単にお金を借りることができてしまいます。

ATMからいつでも現金を引き出せる手軽さもあり、いつしかカードローンの借入枠を「自分の財布」のように感じてしまう恐ろしさがあるのです。

カードローンの枠は「必要最小限」に抑えておく必要があります。

転職も難しい

経理をやっていたので、元々資金繰りが厳しいことはわかっていたのですが、それでももう少しは大丈夫かと思っていたところで、社長が体調を崩してしまったのです。

誰かが後を継ごうにも、社長には子どもがおらず、役員もみな高齢で事業を承継しようという人はいませんでした。

そもそも、会社の資金繰りも怪しい中で事業承継をしても、ただわずかに延命するだけとなる可能性は高いでしょう。

そんな状態ですから退職金ももらうことができず、借金を抱えたまま転職先を探すこととなったのです。

借金のことを考えて、転職先には高給を望みたかったのですが、もちろんそんなところが簡単に見つかるわけもなく、特別なスキルも持ち合わせていない私の転職活動は難航しました。

それでも借金を返さないわけにはいかないので、とりあえずコンビニのアルバイトを見つけました。

夜勤を中心に毎月10万円ほどの収入にしかならず、生活するのが精いっぱい。この時は、3社に対して毎月合計で4万円近く返済する必要があったので、それだけでは到底足りません。

そこで、コンビニの他にも日中に週3回、経理のアルバイトをすることにしました。

こちらは月に6万円ほどもらえたので、余裕はないけれど借金の返済は何とかできる状態でした。

バイトの掛け持ちで返済もやっと

2つのアルバイトをしているものの、ずっとそのままというわけにはいかず、そこで、転職先も探していたのですが、なかなか見つけることができませんでした。

この時は生活に手いっぱいで、アイドルのことを考える暇もありません。

もしもあの時会社が倒産しなければ、ほかのアイドルの応援を始めて借金がさらに増えていた可能性もあると考えると、ちょうどいい転機だったのかもしれません。

そうして2年近くが経過して、借入残高が20万円ほど減ったころに、元の会社の上司から連絡がありました。

上司が転職した会社で現在即戦力となる経理事務を募集しているので、そこで働かないかという連絡でした。

手取りは毎月13万円ですが、正社員になれば17万円ほどにはなる予定だそうです。

元上司からの連絡で転職することに

その頃は、アルバイトを掛け持ちしていることで体力的な限界を感じていたこともあり、一時的に収入は減るものの正社員になればどうにかできる給与になりそうだということ。

何より年齢的にも30代に突入し、そろそろ転職先を探すのが厳しくなっていたこともあって、その話をありがたく受けることにしました。

面接も無事に合格し、無事に就職することができました。

ただし、最初のうちは給料が低いので、生活費を切り詰めつつもせっかく返済した分をまた借り入れることになりました。

それでも最小限の生活費に抑えていたので、正社員となった5カ月後までに増えたのは10万円ほどで済みました。

それからはまじめに働きながら借金を返済し、ボーナスもあって3年目にはとうとう一社は完済でき、残りの二社の合計残高も30万円を切ることができました。

来年には返済しきることができるところまできました。それなりに苦労はしましたが、彼女たちを応援したことに悔いはありません。

ただ、再び応援したいアイドルを見つけてしまうと、また同じことを繰り返すのではないかという不安があるので、地下アイドルを見ないように心がけています。

今後、アイドルの応援はテレビだけにしようと思っています。

ファイナンシャルプランナーのアドバイス

武藤 英次
監修者:
武藤 英次

友達や親類からの借金であれば、会社の倒産などの事情を説明すれば、当面返済を待ってもらうことも難しくはないでしょう。

場合によっては「今回は返済しなくても良い」と温情を期待できることすら、あるかもしれません。

しかしカードローンの借金では、そのような甘い話はありません。

ある程度、返済日を遅らせるなどの相談はできますが、基本的には借金をチャラにしてもらうことなどはできません。(自己破産などの法的債務整理は除きます)

自分の返済能力ギリギリで借りてしまうと、万が一の際には苦労をするリスクが高いことを覚えておくようにして下さい。

▶︎まずは無料で返済シミュレーション

これからカードローンの利用を考えている人に

カードローンの利用は、その目的が人によって異なります。

しかし、どんな目的で借りるにしても、まずは返済計画を考えてからにするべきだと思います。

借りるのは一瞬ですが、返済は長期的に続きます。

苦しい思いをすることも少なくないので、刹那的に借りるのではなく、いくら借りて毎月どのくらい返済すればいいのか。

どのくらいの期間で返済が終わるのかを先に考えてから借り入れるべきです。

カードローンのほとんどは、ホームページで返済シミュレーションができるようになっています。

そこで希望額と、毎月返済できる金額を入力すれば、どのくらいの返済で利息はどれくらい取られるのかがわかります。

先にシミュレーションしておくことで、借りないという選択ができる人もいるかもしれません。

カードローン自体は、便利なものです。

しかし、使い方を間違えると利用者が長期的に苦しむことになります。

そうならないように、必要以上の借り入れは避けるように心がけましょう。

ファイナンシャルプランナーのアドバイス

武藤 英次
監修者:
武藤 英次

好きなものにお金を使うのは、あなたの人生を豊かなものにしてくれるため、必ずしも悪いことではありません。

しかし「お布施」などと言って、散財を正当化していると、近い将来にあなたの生活が破綻してしまうことでしょう。

グッズの購入は手元のお金に余裕があるときに限るなど、一定の歯止めを掛ける必要があります。

借入をしてまでグッズ購入などに走るのは、完全に冷静さを失っていると言わざるを得ません。

著者情報

ナビナビキャッシング編集部
日々の生活のなかで生まれる「まよい」に対して、ひとりひとりが良い選択をするために、キャッシングやカードローン、消費者金融など、お金を借りることに関する様々な情報を提供します。数あるサービスの中から、あなたに合った大手銀行や消費者金融のカードローンを選ぶお手伝いをします。

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