「借金は悪いことだ」と思い込んでいませんか?
しかし、人生には予想外の出費や困難がつきものです。独立して会社を立ち上げ、夢に向かって努力していた一人の男性も、生活費や養育費の負担から資金繰りに行き詰まり、複数のカードローンを利用する道を選びました。その選択が彼にどのような影響を与え、どのように返済と向き合っているのか。借入と返済のリアルな体験談をお届けします。
長瀬 恭紘さん(仮名・45歳・男性)
埼玉県戸田市に住む45歳の男性。自営業で、子ども1人は元妻が引き取っており、現独身生活を送っています。
独立して会社を立ち上げたのは夢を叶えるためでしたが、年収は380万円。養育費や事業の付き合いによる出費がかさみ、生活費の工面が難しい状況に追い込まれ、カードローンを利用し、返済を続けています。「独立したら自由な生活が待っている」と期待していたものの、資金繰りに苦しむ日々を語ります。
※この記事は、ナビナビキャッシング編集部が実施したインタビューを基に作成しています。
- 多重債務のきっかけは「独立して会社を立ち上げたこと」
- 養育費の支払いは何としても滞らせたくない
- 週に数回、深夜に工場で働くことに
- 仕事の付き合いでカードローンの利用を決意
- その後もたびたび借入が必要なタイミングが
- 引っ越しを余儀なくされ、さらにお金が必要に
- 手持ちから出せず、今までとは別の中堅消費者金融に申し込むことに
- 3社目の借入で、借金額は合計100万円に!
- 久しぶりに会った同期に「おまとめローン」を勧められる
- おまとめローンはネット申込ができない!電話で申し込むことに
- おまとめローンは返済のみ!借入は一切できない
- おまとめローンで返済額が減り心に余裕ができた
- 会社を畳み、同期の会社に転職
- カードローンを考えている人へのアドバイス
- 著者情報
- その他の体験談
多重債務のきっかけは「独立して会社を立ち上げたこと」
大学卒業後、10年以上務めた広告代理店を辞め、自分で会社を立ち上げました。これまでの経験と人脈を活かそうと、小さな広告代理店を設立したのです。
会社設立のために貯めたお金を資本金や会社の運転資金に充て、さらには政策金融公庫などからも借入してスタートしたのですが、経営はかなり大変でした。
会社員時代に築いた人脈で仕事を取ってきても、下請けのさらに下請けになってしまい、思うように利益が出ません。
仕事はあっても利益が薄く、数をこなすしかなかったのです。
仕事を取ってきては、知り合いのライターやデザイナーなどに仕事を流す日々。
利益自体は出るのですが、経理のパートさんへの支払いや、家賃などの経費、政策金融公庫への返済などで消えてしまい、僕の手元に残るお金は広告代理店時代の半分弱。
養育費の支払いは何としても滞らせたくない
僕自身の生活をするだけであれば何とかなる金額でしたが、実は養育費の支払いがあったのです。
独立の2年前に離婚していたため、娘の養育費を毎月支払う必要がありました。その額は毎月12万円。
娘が成人するまでの約束であったこともそうですが、親の都合で離婚してしまい、不憫な思いをさせてしまっていることから、何としてでも養育費だけは滞らせたくないと思っていたのです。
週に数回、深夜に工場で働くことに
1年半くらいはそれまでの貯金で何とかやりくりできていました。
しかし、仕事を取ってこようとすると、仕事はもちろん、プライベートでの付き合いの回数も増え、そのためにお金がなくなることもしばしば。
どんどん減っていく預金残高を見て「これではまずい」と思った僕は、週何回か工場の深夜勤に入り他からの収入も得るようになったのです。
このようにして必死に働いても、出ていくお金は容赦なく増えていきます。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
経営者が深夜のアルバイトをしなければ回らない状況というのは、すでにレッドカード寸前です。
そのような「その日暮らし」の資金繰り状態で、高金利のカードローンに手を出すのは、まさに自殺行為といえるでしょう。
経営者であるなら、数%の収益に四苦八苦しているのに、年率二割近い金利がどれだけ厳しいものかを理解しておく必要があったはずです。
お金を借りた後の金利についてもっと詳しく
仕事の付き合いでカードローンの利用を決意
工場でのアルバイトのシフトを増やすなどして何とかやりくりしていましたが、ある時、どうしても取りたい仕事が出てきました。
その相手との付き合いでゴルフに行くことになったのですが、その時の僕に、そんな余裕はありません。
どうしようか悩んだ挙句、カードローンを利用することに決めたのです。
この時僕が利用したのはネットバンクのカードローンでした。
実はここのカードローンは、会社員時代に元妻にばれないよう何度か利用したことがあったのです。
もちろん、会社員時代の借入はすでに返済済みでしたし、これまできちんと返していたことから、限度額も上がっていました。
さすがに一回で限度額いっぱいを借りるのはまずいと思い、この時は5万円だけ借りました。
会社員時代とは違って収入に余裕はなくなっていましたが、月々の返済額が数千円に抑えられるから大丈夫だろうと思っていたのです。しかし、それは甘い考えでした。
その後もたびたび借入が必要なタイミングが
その後もたびたび借入をしなければならないタイミングが訪れたのです。
仕事の付き合い、出張、前払い費用…さまざまな理由で借入を重ねた結果、あっという間にカードローンの限度額を使い切ってしまいました。
それでも容赦なくお金は出ていきます。
困った僕は、大手消費者金融でのカードローンに申し込みました。自営業なのでどうだろうかと心配していたのですが、限度額20万円で審査に通り、何とかまたお金を借りることができたのです。
この時の借入総額は90万円。月々の返済額は2社合計で35,000円程でした。1万円以内の支払いであればそれほど苦にならないのですが、それを超えてくると、さすがに結構負担に感じるようになっていましたね。
また、相変わらず予期せぬ出費が多く、途中まで返済しては、また借入れる…という悪循環に陥っていたことも問題でした。
大手消費者金融からお金を借りる方法
引っ越しを余儀なくされ、さらにお金が必要に
それでもどうにかやりくりできていたのですが、再び借入可能額を超える出費が必要になってしまいました。
当時住んでいたマンションが老朽化で取り壊しになることが決まり、引っ越ししないといけなくなったのです。
すぐに引っ越せるだけのお金はなく、お金を貯めるにしても返済が負担になり、毎月貯金に回せるお金はせいぜい1、2万がいいところ。
すぐの引っ越しができないことが分かった僕は、とりあえず荷物を置くためのトランクルームを自宅近くに借りた上で、会社に寝泊まりすることに決めました。
そこで問題になったのが、トランクルームの初期費用。
荷物が多かったこともあって、断捨離しても結構なスペースが必要になり、レンタル費用は月3万円ほどになります。
それに契約手数料や鍵交換費用、最初に払う使用料や管理料などが加算されるため、合計8万円ほど必要になったのです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
マンションの取り壊しが、そこまで急に決まることは、普通はありえないでしょう。
住民に退去猶予期間等の通知があるはずで、今回はそのような通知を見逃していたのでしょうか。
いずれにしても、数万円の引越し費用すらままならない状況で、さらにキャッシングに頼るというのはありえない選択と言わざるを得ません。
借入に頼るばかりではなく、ほかの手段を一生懸命に考える必要があったのではないでしょうか。
手持ちから出せず、今までとは別の中堅消費者金融に申し込むことに
8万円を手持ちのお金から出すことができない僕は、別の消費者金融にカードローンの申し込みをしました。
実は、すでに借りていた大手消費者金融とは別の大手消費者金融に申し込みをしたのですが、断られてしまったのです。
そこで、中堅の消費者金融に申し込むことにしました。
すでに2社で借入していたので「もしかしたら審査に通らないかもしれない」と思いましたが、何とか審査に通り、10万円借りることができました。
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3社目の借入で、借金額は合計100万円に!
このようにして、僕は合計3社から計100万円の借入をすることになってしまいました。
3社合計で毎月の支払いは4万円。かなりの負担でしたが、どうにか返済するしかありません。
幸か不幸か、それまでかかっていた自宅の家賃よりもトランクルームの家賃の方が5万円ほど安く、浮いた金額は一部返済に回すことができます。
いつまでも会社に寝泊まりするわけにいかず、風呂代やコインランドリー代がかかりますが、背に腹は代えられません。
僕はしばらくの間会社に寝泊まりし、引っ越し代を貯めることにしたのでした。
久しぶりに会った同期に「おまとめローン」を勧められる
相変わらず突発的な出費は多く、返済しては再び借りる生活が続きました。
そんなある日、大手広告代理店時代の同期が会社を訪ねてきました。
僕の窮状を誰かに聞いたようで、心配になって顔を見に来たのだと言います。
久しぶりに会った同期に近況を話すうちに、同期から、「良かったら、うちの会社に来ないか?」と言われました。
同期も同じように広告代理店を立ち上げ、すでに軌道に乗っているものの、若手中心のために経験のある人間が欲しいのだと言います。
大手広告代理店時代ほどの給料をすぐには出すことはできないが、間違いなく、現状よりはずっと良い金額を出せるからと言われました。
かなり良い話ですが、即答はできません。この時、政策金融公庫への返済は終わっていましたが、会社を畳むにしてもすぐにできるわけではなく、色々と手続きに費用がかかりますし、パートさんにも事情を説明しなければなりません。
また、養育費の支払い、借金の返済もあることを考えると、すぐにはなかなか難しいと思ったのです。
その辺の事情を同期に話すと、「会社を畳むのに必要な費用はいったんこちらで持つ。
その代わり、個人的にしている借金については、これ以上雪だるま式に増やすわけにいかないから、一本化して欲しい。これが条件だ」と言われました。
そう言われて、ハッとしました。返済の一本化のことはもちろん知っていたのですが、日々の忙しさに振り回されて、完全に忘れていたのです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
まさに神の手ともいうべき、奇跡的な展開ですね。
持つべきものは友といいますが、なかなか借金地獄の友人に手を差し伸べてくれる聖人君子はいないものです。
日頃の人間関係に救われた面が大きいですが、このような展開は実際には中々あるものではありませんね。
おまとめローンはネット申込ができない!電話で申し込むことに
僕は一旦返事を保留し、まずは借金の一本化を進めることにしました。
最初は銀行のおまとめローンに申し込んだのですが、すでに3社から借り入れていることが良くなかったのか、審査に落ちてしまいました。
そこで、次に大手消費者金融のおまとめローンに申し込んでみることにしました。
ネットから申し込もうとしたところ、電話または自動契約機、店頭などでの申込でないとダメ、とのことでしたので、電話をしてみることに。
まだ返済中のところだったので、もしかしたらダメかもしれないと思ったのですが、意外にも好意的な回答が貰え、そのまま審査を進めることになったのです。
審査に必要になったのは、個人情報や本人確認書類、他社借入額の申告です。
キャッシングを利用した時にも個人情報や本人確認書類を提出していましたが、おまとめローンを申し込む時に本人確認書類と収入証明が再び必要になりました。
おまとめローンは返済のみ!借入は一切できない
おまとめローンが通常のキャッシングと違ったのは、返済が口座振替のみということです。
これまではカードを使って銀行やコンビニのATMなどから返済していたのですが、おまとめローンに関しては、口座振替のみとのことでした。
そのため、引落先の銀行口座の情報や銀行への届出印も必要になりました。
そして、何よりも大きく違ったのは、返済のみで、借入は一切できないということです。
これまで借り入れた先への立替払いを消費者金融が行ってくれることになるため、追加の借入はどこからもできないのです。
またお金が必要になったら厳しいかも…と思ったものの、月々の返済額を抑えることができることを考えれば、これまでのような追加の借入の必要はなくなるかもしれません。
僕はおまとめローンの申込を進め、あとは審査結果待ちとなりました。
おまとめローンはこれまでよりも借入金額が大きくなるため、審査結果が出るのに結構時間がかかったと思います。待ったのは6時間ほどでしょうか。
申し込んだ消費者金融から連絡があり、審査に通ったことが伝えられました。
今後、追加の借り入れができなくなるものの、僕はほっとしました。
また、月々の返済額も1万円以上抑えることができました。
返済期間は長くなりますが、とにかく無理なく返せるようにしたかったため、毎月の返済額を少しでも抑えたかったのです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
おまとめローンは「多重債務者への救済ローン」の性質を持つ金融商品です。
複数社の借入を一つにまとめ、金利を下げたり月々の返済額が軽減されたりといった効果が期待できます。
そのため場合によっては、多重債務者の救世主的存在になる可能性はあるでしょう。
しかしながらおまとめしたからと言って、借金が減るわけではありません。
万能な商品ではありませんから、おまとめにあたっては、どのような効果が期待できるのか慎重に検討する必要があります。
おまとめローンで返済額が減り心に余裕ができた
おまとめローンが無事通ったことで、僕は毎月の出費を減らすことができました。
また、毎月の返済が一本化できたことで煩わしさが減ったのも良かったです。
わざわざコンビニや銀行で色々な会社に返済しなくても、勝手に引き落とされるわけですから。
こうして借金をある程度整理できた僕は、少し冷静になったのでしょう。
今後の会社のことについてもじっくり考えることができるようになりました。
今のままでは、いつか経費倒れになるかもしれません。
経理のパートさんには本当に申し訳ないものの、会社を畳んで出直した方が良いと考えたのです。
こうして僕は会社を閉め、広告代理店時代の同期の会社に転職することを決めたのでした。
会社を畳み、同期の会社に転職
会社を畳むと決めてから半年後、僕は無事、同期の会社に転職しました。
パートさんには会社を畳むことを謝ったのですが、むしろ賛成されましたね。
「だって、自転車操業だったじゃないですか!他でも仕事をしているので、私は別に大丈夫ですよ」と言われ、申し訳ない気持ちの一方、もっと早く決めても良かったんじゃないかと思いました。
ちなみに、引っ越しの方も無事にできました。
以前住んでいたところよりも家賃の安いマンションに「とりあえず」という感じで引っ越したのですが、今でもそこに住んでいます。
それなりの広さのところに引っ越したので、荷物をマンションに移動させ、トランクルームは解約しました。
おまとめローンの返済はまだ続いていますが、来年の春には完済します。
あの時は必死だったので、どうして審査に通ったのかとか、そういうことは全然考えませんでしたね。
今の仕事に転職してから心の余裕もでき、ふと自分が審査に通った理由をあれこれ調べたり考えたりしてみたのですが、どうやら支払い遅れがほとんどなかったことが良かったようです。
借金の返済はもちろん、携帯電話の料金の支払い遅れもこれまでなかったので、それが良かったのかなと自分なりに分析しています。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
今回のケースでは、おまとめローンの活用と周囲の理解と援助により、無事借金問題をクリアすることができました。
友人の助け舟も奇跡なら、おまとめローンの審査通過も奇跡と言えそうです。
本人の人柄の良さと、遅延ない真面目な返済実績が、最後に神がかり的な救いをもたらしたと言えるかもしれません。
カードローンを考えている人へのアドバイス
僕のように色々な会社から借りている人は、一度おまとめローンを検討してみると良いんじゃないでしょうか。
毎月の返済額が少なくなるのはもちろんですが、一本化することで返済時の煩わしさも減ります。
それと、追加の借入ができなくなるのも地味に良いと思います。
下手に借入枠があると、つい借りようとしてしまうものなんですよね。
僕が多重債務者になってしまったのは、借入に対する心理的なハードルが低かったせいもあると思います。
おまとめローンは審査が厳しいので、通るかどうかは分かりませんが、これまで支払い遅れがまったくない、あるいはほとんどない、という人は、考えてみると良いと思います。
毎月の返済額が少なくなるのはもちろんですが、一本化することで返済時の煩わしさも減ります。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
おまとめローンは救済商品ではありますが、すべてのケースで利用できるわけではありません。
おまとめローンにとらわれずに、他の手段もできる限り検討するようにしましょう
大切なのは、借金問題をひとりで抱え込まずに、信頼できる人や公的機関などに相談することです。
思いもよらぬ解決方法が見つかる可能性があります。
著者情報
ナビナビキャッシング編集部
日々の生活のなかで生まれる「まよい」に対して、ひとりひとりが良い選択をするために、キャッシングやカードローン、消費者金融など、お金を借りることに関する様々な情報を提供します。数あるサービスの中から、あなたに合った大手銀行や消費者金融のカードローンを選ぶお手伝いをします。