「借金をしてまで続けるその習慣、本当にやめられますか?」
カードローンは、急な出費や生活費を補う心強い手段ですが、一方で使い方を誤れば大きな負担を抱えることになります。今回紹介するのは、ギャンブルに依存し、複数の消費者金融から合計92万円を借りた男性のリアルな体験談です。増え続ける借金に追い詰められた彼が、どのように返済に向き合い、人生を立て直したのか、その一部始終をご覧ください。
松橋 祥平さん(仮名・38歳・男性)
青森県黒石市に暮らす38歳の会社員。当時は未婚で、一人暮らしをしていました。
年収は約240万円で、生活費に余裕がない中、ギャンブルにのめり込んでしまいます。軽い気持ちで始めたカードローンが、いつしか習慣化し、借金が膨らむ日々に。どのようにして借金返済に向き合い、人生を立て直したかを語ります。
※この記事は、ナビナビキャッシング編集部が実施したインタビューを基に作成しています。
パチンコがきっかけで消費者金融カードローンを利用
大学の在学中に就職活動が上手くいかず、地元に帰ったもののちょうどいい仕事がなかったため、とりあえず人手不足と評判の老人ホームで介護職として働いていました。
毎月の給料は手取りで10万ちょっとでしたが、実家暮らしだったこともあり食費として毎月3万円を支払うだけなので、それほど不都合はありませんでした。
しかし、地元にいた友達はみんな県外で就職していて、元々友人を作るのが苦手なたちなので新たに友達を探すということもできず、もちろん彼女もいないので休日は暇を持て余していました。あまり趣味などもなく、田舎なのでそれほど遊び歩くところもありません。
お酒もそれほど好きではないので仕事が終わって飲みに行くということもなく、仕事は身体的にも精神的にもきつかったので、ストレスばかりが溜まっていきました。
パチンコとの出会い
そんな中で出会ったのが、パチンコです。大学時代には友人がやっていたのを見たことはありますが、自分でやったことはありません。
しかし、暇だったのと仕事でストレスがたまっていたこともあって、ついつい店内に足を向けてしまいました。
にぎやかな店内に圧倒されてしまいましたが、昔見たパチンコよりも楽しそうなものがあり、その中でも好きだったアニメをモチーフにしたパチンコ台を見つけたので、それを選んで遊び始めました。
初めてのパチンコは、2時間で5千円ほどプラスになって終了しました。
今考えると大した額ではないのですが、当時の自分からしたらあっという間にこれだけ稼げたのだから、もっと時間を増やせばそれだけ増えていくだろうと思えたのです。時給2千円の仕事を見つけた気分でした。
そこからはパチンコにどっぷりとハマり、介護の夜勤明けにはパチンコ屋に寄り、出勤が遅い日には朝からパチンコ屋に行ってそこから仕事に行く、という生活をしていました。
時々、パチンコが終わらなくて職場に嘘をついて連絡し、遅刻してしまうような状態だったので、ダメ人間といわれても仕方がなかったです。
休日なら朝からゆっくり打てると楽しみにするようになり、それまでなんとなく仕事をしていたのがやりたいことができたため、生活に張り合いが出たような気分になりました。
貯めていた貯金にも手をつけ始めてしまった
当然、パチンコは勝ってばかりではなく、負ける時もあります。当時の安月給では、少し負けが続くとすぐにお金が底をついてしまいます。
最初は、手持ちのお金が無くなったらその時点でやめていたのですが、それが続いていると徐々に取り戻さなければという気持ちが芽生えてきて、これまで貯めていた貯金も使い始めました。
最初のうちはまだ、負けが続いていても一気に20万円くらい勝てる時もあって、それほど負けている気分ではありませんでした。
しかし、実際に全体の収支としては負けていたため、少しずつ負ける額も増えていき、とうとうそれまであった貯金も食いつぶしてしまいました。
本来ならその時点で手痛い授業料だったと思ってパチンコをやめてしまえばいいのですが、当時の自分はなぜか、取り戻せるという謎の思い込みを持っていたので、どうしてもやめる気になれなかったのです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
ギャンブルには不思議なもので「ビキナーズラック」というものが、確かに存在するようです。
筆者も大学生時代に初めての競馬で賭けた千円が、数万円に化けた経験があります。
もちろんそのような幸運が連続するわけもなく、損が上回ってくるとギャンブル熱も冷めてくるのが普通なのでしょう。
しかしギャンブルの恐ろしいところは、思わぬ大きな「勝ち」を手にしたときに「脳内麻薬」が分泌されてしまうことにあります。
脳内麻薬は体内から分泌され違法なものではありませんが、一度強い脳内麻薬の快感を体験すると、財布の中身が尽きるまでギャンブルを止められなくなってしまう人が多くなります。
ギャンブルをしてみようと思っている人やギャンブルをしている人が気をつけるべきポイント
◆法令で定められた年齢に達していない人がギャンブルをすることは認められていません。
◆仕事がうまくいかないストレス、ビギナーズラックなど、誰にでもあるようなちょっとしたきっかけで、ギャンブル等依存症になってしまう可能性があります。
◆ギャンブル等依存症になってしまうと、借金をするのは問題だと分かっていてもやめられなくなってしまいます。
※引用元:依存症対策|法務省
パチンコ屋のイベントで勝負するためにカードローンを利用
そこで見つけたのが、カードローンの金利キャンペーンです。最初の一カ月は金利が無料という内容で、その間なら借りた分を返すだけというものでした。
しかし、自分の安月給では貸してもらえないだろうと一度はあきらめたのですが、給料日前にパチンコ屋からイベントのお知らせが届いたことで、その時は勝負するタイミングだと思ってしまい、とりあえず借りられるか試してみようと思ったのです。
カードローンの申し込みは、無人契約機で行いました。モニター越しに話す形式なのであまり抵抗はなく、言われた通りに身分証明書を提出し、必要事項を記入し、職場の在籍確認なども行われました。
意外にもすんなりと手続きは進み、審査の結果とりあえず20万円のキャッシング枠ができました。
すんなりと利用できるようになり安心しましたが、それでも最初は怖かったので、3万円だけ借り入れて意気揚々とパチンコ屋に行き、その時は見事に勝利して翌日には無事返済できました。
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気がついたら借金を繰り返す生活に
無事返済できたことで、妙な自信がついたのでしょう。たとえ借りても、すぐに返せるという気持ちで、借金をしてはパチンコ屋に行き、勝ったら返済するという生活になっていきました。
たとえ負けても、返済までの猶予は1カ月あり、それでも勝てなければ給料からとりあえず1万円ほど返済できればまた1カ月の猶予ができるため、それほど気にしていませんでした。
その時の気持ちとしては、借金をしているという気持ちではなく、貯金が20万円増えたように思っていたのでしょう。もちろん、年利18.0%の利息が付くことなんてまったく頭にありませんでした。
しかし、そんな状態は長く続くものではありません。何回か負けが続いてしまうと、20万円なんてあっという間になくなってしまいます。
結局1年も経たないうちに限度額がいっぱいになってしまいました。
そこで、万が一にも返済が滞らないように、まず給料から食費と小遣いを引いた5万円ほどを毎月返済し、返済したことで利用できるようになった借入枠を利用してまた借りるという、完全に借金を返すのではなく銀行口座扱いで利用していました。
このころは、もはや借金することに対する罪悪感なんてかけらも残っておらず、パチンコで大きく勝ったらまとめて返済できる、としか思っていませんでした。
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パチンコの打つ資金欲しさに2社目のキャッシングを
しかし、この利用方法では、負けたときにすぐパチンコを打つ資金がなくなります。そこで、さらに利用できる枠を増やそうと2社目の申し込みをしてしまいました。
2社目は最初のように緊張することもなく、無事に申し込みができ、再び20万円の借入枠で利用できるようになりました。そこからは、あっという間でした。
負けたら借りればいいので、負けることに恐怖心がなくなり、2社を利用できるので負けてお金が無くなったときには、返済が滞らないようにあっちで借りたのをこっちで返済し、またこっちで返済したのをあっちに返済して、と繰り返し、気がついたらどちらもそれ以上借りられなくなっていたので3社目、4社目とさらに契約して、気がつけば返済に困る「多重債務者」となっていたのです。
それでもパチンコはやめられない
そこまでいく前にパチンコをやめて、返済することに集中すればいいのですが、その時点ではすでに、パチンコを続けて返済するしかないという考えに憑りつかれていました。
当時、パチンコで借金を返済するという話を本で読んでいたこともあって、自分もそうしようと思ってしまったのです。
もちろん、そんなにうまくいくわけがありません。これまでより慎重に打つようになったとはいえ、パチンコはそうそう勝てるものでもなく、勝ったとしても返済に回すという生活が続いていたため、半年ほどでどうにもならなくなりました。
そこで、とうとう返済が滞る日がやってきたのです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
パチンコにおぼれて、カードローンに手を出してしまう人は驚くほど多くいます。
冷静に考えれば、高金利の借金を元手のパチンコに勝ち目がほとんどないことはわかりそうなものですよね。
しかし、カードローンは簡単に借金できてしまうため、高金利でお金を借りている感覚が薄くなりがちです。
そのため、気がついた時には限界を超えて借金がふくらんでしまうパターンが後を絶ちません。
ギャンブルとカードローンは「最凶」の組み合わせであることを覚えておく必要があります。
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滞納から悪夢の始まり
1社の返済日に遅れたことで、仕事を辞めていることが確認されてしまいました。
その結果、現在借り入れていた4社ともに、それ以上の借り入れができなくなってしまったのです。
ほかのカードローンにも申込んでみましたが、結果は無残にも「ご融資はできません」という回答でした。
つまり、現在手元にある5万円で、4社に毎月それぞれ1万円ずつ、計4万円を返済していかなくてはいけない、ということです。
この生活は奇跡的に2カ月続いたものの、3カ月目で破綻しました。
とうとう2度目の滞納をして、実家へと連絡されてしまったのです。
なぜ、借金をしているのか、仕事はどうしたのかと両親に問い詰められ、困り果てていた私は両親にすべて話しました。
その話を聞いた父は激怒して、母は情けないと泣いていました。
そして、借金は建て替えてやるけれど、ギャンブルは今後絶対禁止、そして仕事を早々に見つけること、と厳命されたのです。
また、その借金には毎月の食費の3万円も加算しておくので、仕事が決まったら返すという条件も加えられました。
自分の借金額が意外に多いことを実感
借金の返済額は、利息も含めて4社の合計で92万円でした。
食費は先月分から支払っていなかったので、現在のところは95万円ですが、毎月3万円ずつ増えていきます。
金額がまとめられたことで、自分の借金が意外と多いことを初めて実感しました。
そして、そこからはハローワークに通い、どんな仕事でもいいからと探した結果、見つかったのが小さな会社の配送担当です。
顧客に商品を届けるという仕事で、給料は安いものの介護の仕事よりはまし、という程度でした。
毎月の手取りは13万円ほどで、そこから食費と借金の返済で月8万円を実家に支払って、残りのうち3万円は貯金しておく、という生活を送り、2年ほど働いた時点で親への借金は返済することができました。
もちろん、その間パチンコはやっていませんし、新たな借金を作ったりもしていません。
それからもその仕事を続けて、配送係から現在は顧客に対応する営業職になり、給料も増えて無事生活できるようになっています。
そして、パチンコですが完全にやめるのではなく、低額でできるパチンコで勝った時も換金せず、長く遊べるようなスタイルで完全に趣味として楽しんでいます。
以前のように夜勤などもないので、仕事帰りや休日に少しだけ遊ぶようにしていて、もちろん借金してまで打とうという気持ちはなくなりました。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
カードローンは最初の借入は、驚くほど簡単に審査に通過してしまうことが多いものです。
2社目くらいまではあっさり借入できることが多いので、借金を軽く考えてしまう方が多くなりがちと言えます。
しかし3~4社目ともなると、急に審査通過が厳しくなってくるのです。
審査NGとなってはじめて、借金の現実に引き戻される方が多くいます。
そうなる前に、借金&パチンコの連鎖を止めるようにしたいものですね。
ちなみに「ギャンブルで借金問題を解決」するのは、俗にいう「無理ゲー」なのは間違いありません。
そのような発想に至る時点で、すでに「ギャンブル依存症」であることが濃厚でしょう。
「ギャンブル依存症」「借金問題」の両面から、信頼できる機関に相談することが大切です。
カードローンの利用を考えている人へのアドバイス
カードローンは、提携コンビニATMから借りられるという手軽さもあって、ついつい利用してしまいがちです。
銀行から引き出すのと特に違いがないので、あまり抵抗もないと思います。しかし、それはあくまで借りているお金であって、自分のものではない、ということを忘れてはいけません。
「ご利用は計画的に」という言葉通り、返済が確実にできるよう計画的に利用するのであれば問題はないでしょう。
しかし、パチンコのために借りてパチンコで勝ったら返す、というのは計画的とは言わず、単なる行き当たりばったりです。
パチンコをやるにしても、きちんと生活費などとは分けて、毎月の上限額を決めてそれ以上は使わない、という意思を持ってやらなくてはいけません。借りたお金でパチンコをやるのは、最終的に苦しみが待っています。
利用前に一度、返済シミュレーターなどで利用した場合の返済について、確認してから申し込んだ方がいいでしょう。
そして、利用する場合には一度借りたら返済が終わるまでは追加で借り入れることがないように心がけてください。一度借りて、それを返す前にまた借りるということを繰り返していくと、借金することの罪悪感が薄くなり、総額でいくら借りているかということが把握できなくなります。
足りなくなったら借りるのではなく、いくら必要でいつまでに返済できるかをきちんと考えて、必要な金額だけをきちんと借りるようにして利用しましょう。
今回は両親に助けてもらい、返済が比較的簡単に済みましたが、もしかしたらまた借りることがあるかもしれません。その時には、今度こそきちんと計画的に利用したいと思います。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
カードローンは「お金の使いみちが原則自由」というのが魅力でもあり、怖いところでもあります。
借りたお金を何に使うのかは、あなた自身で責任をもって決める必要があるのです。
ギャンブルに借金をつぎ込むのは規約違反ではありませんが、最悪の選択肢の1つであることは間違いありません。
あなたの人生を守るためにも、借金とギャンブルという負のループにはまらないように「自己防衛」する必要があります。
著者情報
ナビナビキャッシング編集部
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