恋人同士の関係は親しいものの、財布は別が基本。
価値観が違えば些細なことでお金のトラブルが起こりがちです。恋人との未来を夢見ながらも、現実のお金の問題に直面した21歳の大学生、常盤陽奈さん(仮名)の体験談を通じて、恋愛におけるお金の向き合い方や、トラブルを乗り越えるヒントを探っていきます。同じような悩みを抱える方々が安心して一歩踏み出せる内容です。
常盤 陽奈さん(仮名・21歳・女性)
埼玉県さいたま市に暮らす21歳の大学生。独身で、アルバイト収入95万円を得ながら学業と生活費をやりくりする日々。
恋人とのお金の価値観の違いが原因で起きたトラブルを経験し、恋愛における金銭問題の難しさを痛感した体験談です。
- 職業:大学生
- 居住地:埼玉県さいたま市
- 家族構成:独身
- 年収:95万円
- 借金合計額:なし
- 借入先の会社名:なし
- 借入件数:なし
- 利用時期:なし
※この記事は、ナビナビキャッシング編集部が実施したインタビューを基に作成しています。
大学生になって憧れの同棲生活に
大学生になって地元を離れ、大学生になったことで一人暮らしを始めた私は、アルバイトをして暮らしていました。
そして、アルバイト先の先輩と出会って初めての恋人ができ、憧れだった同棲生活を始めたのです。
恋人ができて舞い上がっていた私は、卒業したら彼氏と結婚することを夢見ていました。
ただし、それまでは実家から家賃と生活費の一部を仕送りしてもらっていたのですが、彼氏と同棲していることが発覚し、それに反対されながらも同棲を続けたことで仕送りは止まり、学費以外の援助は受けられなくなっていました。
そのため、生活費としては私のアルバイト代8万円と、彼のアルバイト代の14万円の合計で、月22万円ほどで生活することになりました。
彼は高校を中退していて、定職に就くのは難しいうえにアルバイトも転々としていて、居酒屋を始め運送業や販売員、派遣などもしていました。
しかし欠勤も多く、すぐに辞める癖もついているため、数カ月もすれば仕事を変えていて1つの仕事を半年以上続けていることはありませんでした。
生活についても、節約という考え方がなく電気は付けたまま出かけたり、水を出したままにしたりすることが多く、パソコンも24時間ほとんどつけたままでした。
また、お金遣いも荒かったので、パソコンも「プログラマーを目指すんだ」といって購入した高スペックのもので、確か30万円以上していました。
その割に、プログラムの勉強をしている所を見た覚えはありません。
さらには、婚約指輪だといって私にも20万円くらいする指輪を買ってきたこともあったのです。
もちろんそんなお金が余っているわけもないので、それらはすべてカード払いで買ってきています。
毎月の収入から、家賃と光熱費で9万円くらいかかっていて、さらに彼の車のローンで毎月2万円を払い、携帯電話代も2人で2万円かかります。
カードの支払いもリボ払いなので、毎月3万円くらい支払うことになるため、生活費は多くても6万円、しかも彼の仕事がどうなるかによって収入は大きく変わるので、時には支払いが足りなくなる月もありました。
そこからさらにガソリン代なども支払わなくてはいけないので、食費はいつも最小限になってしまいます。
大盛りにした1つのお弁当を、2人で分け合って食べることも珍しくはありません。
それでも私は彼のことが好きだったので、彼と一緒であれば生活苦も気にならず毎日楽しく過ごしていました。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
好きな相手と過ごすことのできる「同棲」というのは、結婚とは違った魅惑があるものなのかもしれません。
しかし別々に住む恋人関係とは違い、相手の嫌な面も目の当たりにすることになります。
今回のケースにおける交際相手は、かなり仕事やお金の面でのだらしなさがあるようで、先行きに不安を感じざるを得ませんね。
【常盤陽奈さん(仮名)の家計簿】
■固定費:約16万円
(内訳)
・家賃・光熱費:約9万円
・車のローン:2万円
・携帯電話代:2万円
・カードの支払い:3万円
■変動費(食費・ガソリン代などの生活費):約6万円
22万円の月収があれば、つつましやかに暮せば何の問題もなさそうですが、電気代やカードのリボ払いなどが生活を圧迫してしまっているようです。
急な来客
こんな生活の中ですから、家を訪ねてくる人はめったにいません。
チャイムを鳴らすのはほとんどが勧誘の人なので、いっそチャイムなんていらないのではないかと思ったある日のことでした。
珍しくチャイムが鳴り、一応誰が来たのかを見てみるとそこには彼の友人が立っていたのです。
その友人とは、私も会ったことがあり、彼とその友人の彼女と4人で何度か遊んだこともあります。
しかし、その彼女が妊娠してからはすっかり疎遠となっていて、ほとんど会うことはありませんでした。
その人がいきなり訪ねてきたのですから、戸惑っていたのですが、どうやら彼と2人だけで話がしたいということでしたので、私は買い物に行くついでに席を外すことにしました。
その用件は?
4時間ほど時間をつぶして帰ってみると、もう友人との話は終わったようで彼だけが家に残っていました。
その彼はどこか気まずそうな表情をして、私の方を伺っています。
こんな彼を見るのは初めてだったのですが、やがて意を決したように私の方を向き、こう言いまいました。
「どうにかして、10万円都合付けることはできないかな?」
それを聞いたときは、正直何を言っているのだろうかと思いました。
2人で生活してるのですから、生活に余裕がないことは彼も重々承知の上です。
ですから、私はもちろんそんな余裕があるわけない、と答えました。
すると彼は、先ほど訪ねてきた友人の事情について話し始めました。
どうやら彼は、子どもが生まれたものの足を怪我してしまったために、仕事ができない状態となっているようです。
日雇いで土木作業員として働いているものの、国民保険料を滞納しているために病院に行くと治療費も全額自己負担となってしまうせいで、病院に行くこともできないのだそうです。
そして、その治療費として10万円くらい必要だ、ということでした。
彼は友人の境遇を慮ってか、若干涙目になっていましたが、私としても自分たちの生活に関わることなので引き下がるわけにはいかず、それはまず役所とかに相談してみるべきことであって、私たちがどうにかするべきことではないと彼に説明しました。
しかし、彼にとってそれは薄情な言葉に聞こえたようで、納得してくれません。
お互いの主張を繰り返すばかりで、やがて口論となってしまいます。
そしてその話は平行線となったまま、その日は遅くなったために話は終わりとなりました。
その後、この話をすることはありませんでした。
私は、一晩考えて冷静になってくれたのかな?と思い、わざわざ自分から蒸し返すことはしませんでした。
しかし、実際にはこれで終わりとはなっていなかったのです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
疎遠になっていた友人の来訪は本来ならうれしいはずですが、実際には借金の申し入れだったということも想像以上に多いようです。
しかし今回のように国民健康保険を滞納しているからと言って、治療が受けられないなどというのは無いはずです。
医師には「応召義務」が課せられており、原則としてお金が支払われないことを理由に、直ちに診療を拒むことはできないのです。
◯ 医師法第19条に、いわゆる医師の応召義務(※)が規定されており、診療に従事する医師は、正当な事由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならない
とされている。
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<参考>医師法(昭和23年法律第201号)(抄)
第19条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
(文言上の解釈)
・「診療に従事する医師」とは、自宅開業の医師、病院勤務の医師等公衆又は特定多数人に対して診療に従事することを明示している医師をいう。
・「診察治療の求があった場合」とは、初診に限定されず、診察中・入院中等に診察治療の求めがあった場合をすべて含む。求める方法も
限定されず、医師にその意思が伝達されれば足りる。(注:初診のみで診療継続中の患者は対象に含まれないとの学説あり)
・「正当な事由」については、以下の行政解釈が示されている。
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※ 医師法第19条第1項の医師の義務の名称・呼称については様々議論があるため、今後本研究において検討予定。
(引用元:医師の応召義務について|厚生労働省(PDF))
しかし、今回のように国民健康保険を滞納し、また10万円もの支払いが生じる場合には、分割払いや支払い期日の延期を相談することも可能でしょう。
聞く耳をもたない交際相手にも問題はありそうですが、こうした事実は知っておくと後々役立つこともあるかもしれません。
勝手に使われたお金
それからしばらくして、家に一本の電話がかかってきました。
それはアパートの管理をしている不動産会社からの電話で、「先月分の家賃が引落できませんでした」という内容でした。
家賃や光熱費については、2人で共用の通帳を作ってそこから引き落とされるようにしていて、先日の給料日には確かに10万円ほど入金していたはずです。
慌ててその通帳を確認してみると、先日の口論の後でそこから10万円が引き出されていました。
すぐさま彼に電話をして、家賃が引き落とされなかったことと、10万円が引き出されていることを確認してみたところ、やはりその10万円を引き出したのは彼であり、そのお金は先日の友人に貸したということでした。
私はそれを聞いて、彼を責めました。
「家賃はどうするの?光熱費だってもうすぐ引落なんだよ?電気停まったらどうするの?」と言い募ると、彼は「俺が何とかするから、もう少しだけ待って」というばかりで、具体的にどうするのかということはまったく口にしませんでした。
それから2日後、彼は10万円を持って帰ってきて、これで支払うようにと私に渡してきました。
「このお金はどうしたの?返してもらってきたの?それとも誰かに借りたの?」
と聞いてみましたが、彼の答えははぐらかすばかりで詳しいことは教えてくれません。
それでも家賃や光熱費を支払わないわけにはいかないので、取り急ぎ入金してきました。
無計画な借入れ
私も、彼が家賃などの支払いに困るようなことはさすがにしないだろうと思っていたので、それから強く問いただすのをやめたのですが、数日後に彼がいきなり言い出したのです。
「実はあのお金、消費者金融で借りてきたんだ。返済は少しずつでも大丈夫だし、貸した10万円が返ってきたらまとめて返済すればいいだけだから、少しくらい金利を払うことになっても大丈夫だよね。」
と気軽に言っていたのですが、私は彼が勝手に友人へとお金を貸したこと、その穴埋めに相談もしないで消費者金融からお金を借りたことが腹立たしく、彼を激しく攻め立てて大喧嘩となりました。
そして、友人からいつお金を返してもらえるのか、それを確認して欲しいということを伝え、それすらもできないならもう別れると告げました。
彼もそれにはさすがに焦りを見せ、友人へと電話してくれました。
しかし、友人にそのことを問い詰めても、また怪我の具合について聞いてみてもはっきりとした答えを返さず、挙句には子供の世話があって忙しいからといって電話を切ってしまいました。
それから、彼は何度かその友人に電話をして返済についての話をしたのですが、結局一度も返済してもらうことができないままでした。
そして、消費者金融の返済について調べてみると、彼が言っていた少額の返済の場合は基本的に金利を支払うもので、元本はほとんど返済されないことがわかりました。
10万円を返済するのに、4,000円を36回支払うような返済方法であり、合計で14万4,000円と1.5倍近く支払わなくてはいけないような方法だったのです。
そんな生活が3年も続くのかと思うと、これまでのことも含めてさすがに将来が不安になってしまいました。
彼も、友人に借金を催促するというのが精神的に疲れてしまうようで、督促の電話をかけるのがとても辛そうでした。
それに、友人に騙されたと思える状況に彼もショックを受けたようで、精神的な余裕がなくなっていくのがわかりました。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
友情を優先したいという交際相手の気持ちは、理解できないこともありません。
本当は心の優しさを持った男性と見ることもできるのでしょう。
しかし消費者金融で勝手に借金してまで友人を助けようというのは、度を過ぎた行いです。
自分の実力の範囲内で援助を申し出るのは良いのですが、高金利の借金をしてまで助けようとするのは明らかに行き過ぎでしょう。
お金を借りた後の金利についてもっと詳しく
彼との別れ
こんなことがあってからも半年ほどは付き合っていたのですが、彼の勝手な行動に対しての不信感と今後の不安を私が抱いていることと、彼の精神的な余裕がなくなったことでケンカすることも増え、結局別れることになりました。
その後、彼が友人からお金を返してもらえたのかどうかはわかりません。
また、消費者金融から借りたお金を返すことができたかどうかわかりません。
彼が考えていた通りに返済しても3年以上は返済にかかり、もしかしたらもっと少ない金額でさらに長期にわたって返済しているのかもしれません。
彼は、友人に10万円を貸したことでその友人との関係も断ち切られ、さらには私とも別れることになり、最後に彼へと遺されたのは借金だけでした。
彼は安易にお金を貸したことで、何もかも失うことになったのです。
たとえ友人に対しても、お金の貸し借りは慎重に行わなくてはいけません。
ただお金を貸すだけでも、そこに人間関係や信頼なども関わってくると、人生を狂わせる結果となることもあります。
また、信頼していた人に裏切られた場合、その精神的なショックも大きいでしょう。
周りの人間も、お互いの信頼関係を崩されることは非常に悲しいものです。
私も、彼が友人にお金を貸してその友人が彼を裏切らなければ、まだ彼のことを信頼していたのだと思います。
ちなみに、私も彼と別れてから実家に連絡をしてそのことを知らせましたが、実家とは疎遠になったままです。
もしかしたらこのまま、卒業してからも絶縁状態となるのかもしれません。
これも、私が自分の両親からの信頼を裏切った結果といえるのでしょう。
後悔先に立たずとは言いますが、本当にわからないものです。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
お金の問題というのは、男女間に限らず、ありとあらゆる場面でトラブルの引き金となってしまいやすいものです。
「お金の切れ目は縁の切れ目」とは昔からよく言われる言葉ですが、今回のケースでもズバリ当てはまっていると言えるでしょう。
またお金のことが絡むと、ウソのように性格が豹変してしまう人も意外と多いものです。
たとえ親友や肉親であっても、お金がきっかけで関係が破綻してしまうことがあるのは、悲しいことですが現実でもあります。
しかし過去のお金の問題による悩みは、前向きに生きることで案外と簡単に霧散してしまうものです。
今回のようなケースでは、本人次第でいくらでも新しい幸せをつかまえることができるのではないでしょうか。
著者情報
ナビナビキャッシング編集部
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