FXと株と仮想通貨、副業で始めるならどれがおすすめ?
角田 和将

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認定テクニカルアナリスト

角田 和将さん

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副業に対する関心は景気のサイクルに応じて高まる傾向にあります。

ここ最近でいうと、特にネットでできる副業では、たとえば転売ビジネス系やアフィリエイトなどがよく挙げられます。

その他に投資もよく挙がるのですが、副業(年間20万円までの収益を狙うもの)として考えるならば、投資は向いているものと私は考えています。

投資は不確定要素が多く、収益が安定しない傾向にあります。

たとえるならば、補助金や災害保険の一切ない農業のようなものなのです。

投資一本で生活していく「専業」になることは極めてリスキーですが、本業で一定レベルの実生活が保証されている環境で取り組める「副業」であれば、日常生活に影響を及ぼさずに取り組めるので、投資は「副業」として考えるほうが向いているのです。

しかし投資といっても株やFX、仮想通貨など、対象はさまざまです。

どの投資対象が副業に向いているのかについては後述していきますが、どの投資対象にしても、いきなり実資金で取引すると損失ばかりを抱えてしまう可能性が極めて高いです。

たとえるならば、自動車免許を持っていない人が公道を走ろうとするのと同じ状態になってしまうのです。

投資の勉強は副業だけに限らず、たとえばiDeCoなどの資産運用を考える場面でも活かせるなど、応用の幅が広い知識となります。

最終的に副業として投資をやらない選択肢を取ったとしても、その勉強が無駄になることはありませんので、まずは投資の勉強から取り組んでいきましょう。

FXは練習に適しているがハイレベルな投資

では、どうやって投資の勉強をすればいいか?

結論からいうと、FX・株・仮想通貨の中から副業として考えるならば、投資の勉強は「FX」から入るのがベストです。

FXがベストと考える理由を挙げると、まず練習面で考えたとき、FXは24時間(平日)取引が可能であるため、練習できるタイミングが多くあります。

株の場合は基本的に9~15時の間しか市場が開いていないため、副業で考える人にとっては多くの場合、場中の動きを見て練習することが難しくなります。

FXの場合、特に取引が活発になる時間帯が夕方(16~17時)以降となるので、本業を終えて帰宅した後の時間帯のほうが相場の動きを見る練習には適しているのです。

仮想通貨の場合、土日も含めて24時間365日取引可能にはなるのですが、逆に休むタイミングがまったく取れなくなってしまうデメリットがあります。

投資に限りませんが、勉強の過程においては多かれ少なかれ、成長に対する停滞期が必ず訪れます。

「なぜかうまくいかない…」という焦りや、罪悪感のようなものを感じていると、自分では休んでいるつもりでも、まったく休みになっていない状態になるのです。

しっかりと充電できるタイミングがないと、精神的にも不安定な状態になり、投資の勉強を始める前よりもむしろ悪い状態になりかねません。

このような精神的リフレッシュの意味での休みも必要ですが、他にも「休むも相場」という投資格言の意味での休息も必要と考えられます。

特に初心者ほど、「これは買いだ!」と思うと、買うことを肯定する情報しか目に入らなくなってしまう偏りが発生しやすくなります。

このような偏った見方にならないよう、ときどき相場から一歩引いた目線で見ることができるよう、相場から離れる必要があるのです。

価格が上下していない(損益額が増えたり減ったりしない)休場中の相場を見ると、相場が動いているときに比べると客観的な目線に切り替えやすくなります。

FXの場合は、土日の相場が動いていないときに、強制的に相場から離れる環境がつくれるため、仮想通貨よりも練習の場として適しているのです。

もう一つFXが練習に適している理由として、取引した結果がスピーディーに大きな損益額として現れる点が挙げられます。

たとえば株(現物)の場合、買ってから損益額が膨らむまでに、数日~数週間単位の時間がかかります。

しかしFXの場合、相場の動きによっては数分~数時間で損益額が大きくなります。

つまり自分がやった売買が良い取引だったのか、悪い取引だったのかが、短時間で結果として目にすることができるのです。

ただ見方を変えれば、FXはハイレベルな投資とも言えます。

一時的な損益に一喜一憂しやすくなり、本業に悪影響を及ぼす可能性が高いからです。

そのため、練習環境としては「FX」がベストだとしていますが、副業観点で実際の資金を使って取引するときは、「FX」よりも「株」から入ることをおすすめします(詳細は「FXよりも株に投資するのがおすすめな理由」にて後述します)。

投資の勉強のためには「分析」が必要

ではFXを使って、どのように投資の勉強を進めていけばいいのでしょうか?

一般的に投資の勉強というと大きく「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2つに分けて考えられます。

これらのうち、「テクニカル分析」を優先して勉強を進めることを私はおすすめしています。

ここでテクニカル分析について触れるのは、投資の勉強方法の基礎となるためです。詳しくは後述します。

ファンダメンタルズ分析とは?

ファンダメンタルズ分析とは、簡単に言えば経済ニュースや指標などから景気の流れを探りながら売買基準を判断することです。

しかし投資の世界は前提として、機関投資家やヘッジファンドのようなプロ中のプロが参加している世界です。

そして彼らは莫大な資金を持ち、最新の情報も持っています。

たとえば一般に出回る経済ニュースを日々チェックしたところで、そんな情報は彼らからすればすでに化石のような情報で、一般の投資家は常に遅れてスタートとなってしまいます。

テクニカル分析とは?

対してテクニカル分析は値動きをグラフィカルに表現したチャートを基に売買基準を判断します。

経済指標や政府要人の発言など、相場に影響を与える数多くの情報が世の中には存在しますが、「結果としてどうなるのか」は、すべて価格に織り込まれて表れます。

「景気が良くなる」と報道されていても価格が下がる場合もあれば、「景気が悪くなる」と報道されているのに価格が上がる場合もありますが、結局ニュースの内容がどうあれ、損益に関わるのはチャートに表れている価格だけです。

チャート上に乗る情報だけは相場に参加するすべての人が平等に見ることができるものなので、唯一プロの投資家と同じ条件で分析ができる領域となるのです。

テクニカル分析習得の3ステップ

それではFXの相場で、実際にテクニカル分析を学んでいきましょう。学ぶ流れを大まかに示すと、以下となります。

  1. デモ口座を複数開設して、たくさん損をする
  2. 本を読む
  3. 資金が2倍になるデモ口座を3つ作る

それぞれ具体的に説明していきます。

ステップ1:デモ口座を複数開設して、たくさん損をする

まずはデモ口座を複数作成します。

デモ口座とは証券会社が自社ツールの使い勝手などを試せるよう、実際のお金を入れず仮想的に取引できる口座です。

もちろんツールの使いやすさを試す目的もあるのですが、基本的には実際取引するときと同じ環境なので、デモ口座を使って投資の練習をする目的でもよく使われているのです。

デモ口座のつくり方については、各証券会社のホームページに載っている最新の情報に従うのがベストなので、各自でお調べください。

デモ口座を開設したら、とにかく損を出しましょう!

デモなのであなたの資金が減ることはありません。どんどんマイナスの取引履歴をつくっていきましょう。

一般的にはトレードの練習というと「勝つ方法」を考えながらやるものだと考えがちですが、投資に限らず、学びは「失敗体験」のあるほうが深まります。

次のステップで本を読みながら勉強していくのですが、失敗した経験がない状態で読むよりも、多くの失敗経験がある状態で読むほうが深い理解を得ることができます。

そのため最初のステップでは「失敗経験をたくさん積むこと」が必要となるのです。

損をたくさん出し、デモ口座の資金が尽きたら、別の証券会社でデモ口座を開設しましょう。

より多くのデモ口座の資金をゼロにするほど、今後のあなたの知識を深めるエネルギーが多く蓄積されるのです。

なおデモ口座で取引する際に見る通貨ペアは「米ドル/円」または「英ポンド/円」のどちらか一つに絞り込んでください。

日々のニュースなど、日常生活で比較的目にする馴染みがあるのは米ドル/円ということで米ドル/円一本に絞るのもいいですし、もし早く損失を出したいのであれば、日々の値動きが大きくなりやすい英ポンド/円に絞るといいでしょう。

ステップ2:本を読む

デモ口座で自分の実資金を減らさず、失敗経験をある程度積むことができたら、次は本を読んで勉強していきましょう。

失敗経験と照らし合わせながら、
「なぜ失敗したのか?」、
「どうやったら失敗を回避できたのか?」
など、失敗原因と対策方法を探る目線で本を読み進めてください。

読む本は、「パンローリング」という出版社が出している本から選ぶといいでしょう。

パンローリングは投資分野では最も知名度の高い出版社で、多くの投資家やトレーダーが良書と挙げる本を数多く出版しています。

全般的に専門性の高い本が多いですが、読みやすくわかりやすい本もありますので、書店で立ち読みして、自分のレベルに合った本を選んでください。

ステップ3:資金が2倍になるデモ口座を3つ作る

そして失敗原因と対策方法を探ったら、再度デモ口座をつくり、今度は資金を増やしてください。目標は資金2倍です。

デモ口座作成時に初期資金が100万円に設定されていたら、200万円を目標にトレードしていきましょう。

資金を2倍にできたら、再度デモ口座をつくります。

これを3回繰り返してすべてのデモ口座で資金を2倍にできたらゴールです。

投資学習の基礎は出来上がったと考えていいと思います。

もちろん思考を重ねた対策方法が誤っている場合もありますので、前のステップでやった読書と資金を増やす練習は同時並行に進めることになります。

平日はデモ口座での練習、土日は読書と切り分けるのもいいでしょう。

ゴールを目指して、トライアンドエラーを繰り返していってください。

FXよりも株に投資するのがおすすめな理由

投資の勉強の基礎が仕上がったら、次は実資金を使って取引をしていきます。

練習はFXでやってきましたが、実資金で投資するのは株(現物)にしてください。

「FXで勉強してきたのだから、FXでトレードしないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

これまでなぜFXで練習を積み重ねてきたのか、
それは「投資の基礎的な考え方」を勉強するためです。

ではなぜ、実資金で投資するのはFXではなくて株(現物)でするのか。

ここからはFXと株の違いについて触れながら、副業として株の投資がおすすめな理由について解説していきます。

レバレッジの有無

FXと株の大きな違いの一つとして、レバレッジの有無があります。

レバレッジとは簡単に言うと、
「今あなたが持っているお金をいくらか預けてくれれば、それ以上の金額で資産運用させてあげますよ」
ということです。

特に「投資はしたいけれど、自己資金が少なくて…」という状況のときに、少額で大きな金額を動かせるのは魅力に思えるのですが、客観的に見れば少ない持ち金を担保金として預けて、大金を借金して動かしているのと同じです。

つまり少額の自己資金よりもマイナスとなってしまう場合があるのです。

ここまでの練習過程を経験した人ならば感覚的にわかるかもしれませんが、良くも悪くもFXは自己資金に対する損益額の増減スピードが速い投資になります。

デモ口座ではあまり日々の損益額の増減が気にならなかった人でも、実資金の口座で始めた途端、一気に日々の損益に一喜一憂してしまいやすくなるのです。

対して現物株はレバレッジがないので、自己資金を超えるマイナスを負うことはありません。

ざっくりとした言い方になりますが、日々の損益額もFXと比べればかなり緩やかに感じるので、日々の損益が気になって本業の仕事に手がつかない…となりにくいのです。

株にも信用取引という、レバレッジをかける取引方法はありますが、信用取引も先程の説明同様、自己資金に対して大幅な損失が発生する可能性があるので、特に副業として考えるのであれば、現物での取引としたほうがいいです。

もちろん投資スキルをさらに磨けば、資金効率の面で考えるとFXや信用取引を活用していくほうがいいレベルになることもありますが、まずは副業レベルの収益が確保できるレベルまで到達しましょう。

株のほうが選べる銘柄が豊富

FXと株の違い、2つ目は「銘柄選び」です。

FXは通貨と通貨の組み合わせで、かつ証券会社で取り扱っている通貨ペアから取引する銘柄を選択します。

全般的に株の銘柄数に比べると、FXのほうが選択肢は少なくなるので、株で取引する場合は銘柄選びの面でFXよりも苦労するかもしれません。

取引する株の銘柄を絞り込む際は、まず前提として「東証一部銘柄」から探してください。

株でテクニカル分析が効くのは東証一部銘柄だけと考えたほうがいいからです。

たとえば東証二部やマザーズなど、その他の市場に上場されている銘柄は、いわゆる機関投資家から見ると、資金力で相場自体を動かせてしまうほど小さい市場規模になります。

つまりテクニカル分析に従わない、不規則な相場の動きを作り出せてしまうリスクがあるのです。

あなたがここまでのステップで学んできたのはテクニカル分析であり、重要なことはテクニカル分析が活かせる相場で取引することです。

東証一部銘柄から絞り込むといっても、これらの銘柄数だけでも相当な数があるため、どの銘柄を選べばいいか、最初は悩むかもしれません。

しかし銘柄が多いということは、それだけチャンスの可能性もあると考えることができます。

ここはポジティブに考えましょう。

銘柄選びの基本は、ここまでの勉強過程で自分なりに構築してきたテクニカル分析から、
「これは自分の売買ルールに合ってそうだ」
と思える銘柄で取引していくことになるのですが、すべての銘柄のチャートを一つ一つ見るのは大変だと思います。

そんなときは、まずチャート分析する銘柄を「自分が使っている銀行と証券会社」から探してみるのも一つの手段です。

少なくともあなたは自分のお金を、破綻しそうな銀行や証券会社に預けようとは思いませんよね。

そうであれば、破綻しない銀行株と証券会社株を持っておけば、少なくとも買った株が紙切れになってしまうことはないと考えられるのです。

NISAの有無

FXと株の違い、最後の3つ目はNISAの有無です。

FXにNISAはありませんが(2019年12月時点)、株はNISAがあるのです。

NISAがあるのとないのとで、何が違うのかというと、利益に課せられる税金が、FX・株ともに20%ありますが、NISA口座がある株は非課税になるというメリットがあります。

取引金額の制限があるので大きく稼ぐことは難しいですが、もし副業で狙う目標利益が少額(年間で7万円以下)の場合は、NISA口座で取引したほうがいいでしょう。

まとめ

最後に、副業は本業がしっかりと成り立っている上にあるものです。

本業を疎かにしてまで取り組もうとすると、経験上本業も副業もどちらもうまくいかなくなります。

投資に限らず、副業は本業に影響を与えないようにすることを十分に意識しながら取り組むようにしましょう。