
「住宅ローン審査に落ちてしまった・・・。どうすればよいか!」
昨今、テレワークで家庭内にいる時間も増え、家族でじっくりと話し合いの時間を持てることや、現在の住宅ローンの低金利水準の間に、人生にとって大きな買い物である住宅購入や、住宅ローンの借り換えを検討されるご家庭も増えているようです。
しかし、せっかく住宅ローン審査をしてみたものの、審査に落ちてしまった場合、そのあと一体どうすればよいか、対応方法は難しく感じると思います。
審査を巻き返して住宅ローンを通すためにはどのような手段が考えられるのか、審査を通すことができた事例でご紹介していきます。
もちろん、住宅ローン審査に落ちる前に、しっかり対策してから住宅ローン審査に進み、最初から審査に落ちないようにすることが一番良い方法になりますので、ぜひチェックしてみてください。
住宅ローンの審査に落ちた理由として重要な7つのポイント
住宅ローン審査の重要なポイントは7つです。
- 年齢的なもの
- 健康状態
- 勤務年数
- 返済負担率
- その他の債務
- 延滞
- 担保としての物件の価値
それぞれ順番に見ていきましょう。
1. 年齢的なもの
住宅ローンは35年を最長とし、支払いが終わる年齢が80歳前後までとしているものが一般的です。
もしその期間で支払いが難しいようであれば、親子ローンなどを利用して、支払い期間を延ばすような方法を検討していきます。
2. 健康状態
住宅ローンは、借り入れた方に万一のことがあった際に、金融機関は団体信用生命保険の保険金で返済額をカバーするのが一般的になっています。
そのため、団体信用生命保険に加入できる健康状態であることが大切になります。
もし健康状態が悪い場合は、ワイド団信という緩和型の団信を用意している金融機関もあります。
ワイド団信の場合は、通常より高くなる団信保険料を住宅ローン金利で賄うため、少し金利は高めになりますが、住宅ローンを借り入れできる可能性が高くなります。
もしそれでも団信に入れないようであれば、団信加入が必須ではないフラット35で、団信なしでの住宅ローン借り入れを検討することはできます。
ただし、万一の際の住宅ローンの残債をどのようにカバーするのか、別途検討する必要がでてくるでしょう。
なお、フラット35の団信も内容が充実していますので、金利を安くするための理由などで安易に団信を除くことはしないほうがよいでしょう。
3. 勤務年数
勤務年数は各金融機関で異なっていますので、検討段階で確認してみるとよいでしょう。
一般的には1年以上勤務していると借り入れ対象になる金融機関が多いですが、数カ月で対象にしている金融機関もあります。
もし転職したばかりであれば、勤務年数が貸し出し条件に合う金融機関を選んだ方がよいでしょう。
また、金融機関は勤め先に何年勤務しているかも見ますが、同じ勤め先で住宅ローンを最後まで支払っていけることを前提に貸し出しをしますので、勤務先についても審査されます。
4. 返済負担率
返済負担率とは、ご自身が負担するローンの金額が、年収の何パーセントをしめるかということで、審査のうえでも重要なポイントになります。
返済負担率は金融機関によって基準が異なりますが、一般的な例でご紹介しますと、年収400万円以上であればローンの負担割合が年収の35%以下、年収400万円以下であれば30%以下となっています。
ローン年間返済額/所得=返済負担率
この場合に審査の基準に用いるローンは、これから組む予定の住宅ローンだけではありません。
たとえばカードローンや自動車のローン、携帯電話の分割ローン、学費を借り入れていた場合その分割ローンなども計算に入ってきますので注意が必要です。
また総額に対しての審査ではなく、各ローンを年間いくら返済しているかの合算になりますので、思ったよりも返済負担率を圧迫する場合があります。
その場合、手持ち資金があるのであれば、一部のローンは完済して、返済負担率を下げるなどの手法を検討する必要がある場合もあります。
審査を受ける前に、ご自身で計算してみるとよいでしょう。
5. その他の債務
その他の債務は、返済負担率の部分でもあげましたが、すでに組んでいるさまざまなローンや、クリジットカードでのリボ払いの残債や、支払いのことを指します。
6. 延滞
延滞は、たとえ一日でも遅延しますと、遅延歴が信用情報に残る場合があります。
一般的には遅延履歴がついていますと、2年間は履歴が消えず、審査に重大な影響を及ぼす場合がありますので、慎重に支払いを行っていくことが重要です。
こういったものがもし返済遅延などしていた場合、審査にひびくことがあります。
ですので、住宅ローンを組むことを意識しているのであれば、気を付けて日頃から着実に支払いを行っていくことが大切です。
7. 担保としての物件の価値
住宅ローンを借り入れる場合、借り入れる対象の物件の価値も、審査に影響してきます。
万一債務者がローンを支払えない場合、金融機関は債務者から物件を引き取り、売却して負債額を穴埋めします。
そうなると、物件の価値に見合った住宅ローンの貸し出し額になります。
そのため、たとえば安価で購入できると思って住宅ローンを組もうとした中古物件など、審査にかけてみたら物件価値が低く、住宅ローンの借り入れができなかったというようなことが起こります。
以上のような、さまざまな思わぬ理由で住宅ローンの審査に落ちてしまうことがあります。
それでは、審査に落ちてしまったケースを例にして、審査に出すための改善策をいくつか考えてみましょう。
住宅ローンの審査に落ちた体験談-返済負担率がオーバー
35才で年収600万円、4000万円の家の購入を希望していましたが、金融機関に審査に出したところ、住宅ローン審査に落ちてしまいました。
Aさんの年収と購入予定物件の予算から考えれば、返済負担率は問題ないはず。
ですが、審査に落ちてしまいました。審査に落ちてしまった原因は、住宅ローン以外の既存の借入でした。
Aさんが住宅ローンの審査に出す段階でもっていた借入は、
- 車のローン月3万
- カードローン3社(それぞれ月2万)
つまり合計月9万円の返済でした。
住宅ローンを借りる場合、まず返済負担率が見られます。
返済負担率というのは、Aさんの年間のローンの返済額を年収で割って求めるものです。
現在Aさんの各社からの借入れは、月9万円×12カ月=年間108万円 になります。
もし月12万円の返済をする住宅ローンを組む予定であれば、
12円×12カ月=年間144万円
つまり、2つを合計すると、年間返済額は252万円ということになります。
Aさんの年収が600万円なので、
年間返済額252万円÷年収600万円×100=42.0(%)
つまり、返済負担率が42.0%となります。
返済負担率を抑える
一般的に金融機関は30~40%の返済負担率までを上限としていますので、住宅ローン審査に落ちた原因は、返済負担率がオーバーしているということが原因と考えられます。
それではどうやって解決すればよいでしょうか。
解決策としては、一番良いのは既存借入を全額返済してしまうことですが、実際はまとめて返済することができないためにローンを組んでいるケースが多いと思われます。
そのため、全額返済が難しい場合には、貯蓄型の生命保険を持っていれば、契約者貸付を利用してローンを完済することなども手段として考えられます。
そのほかの方法として、自動車ローンと2つのカードローンを合わせて、一つのおまとめローンにする方法もあります。
たとえば年間の返済額を月5万円にすることができれば、返済負担率は34.0%になり、借入できる可能性がでてくるでしょう。
住宅ローンの審査に落ちた体験談-スキルアップの転職が仇に
2カ月前に、自身のスキルアップのために転職しましたが、住宅ローンの審査に通りませんでした。年収は前職と同等なのですが・・。
ご自身の将来のために転職されたBさんでしたが、転職は住宅ローンの審査にとっては厳しい条件になる場合があります。
審査は金融機関ごとに基準が異なり、1~3年以上の勤務期間が必要という金融機関もあります。
また、同業種への転職であれば、1年を待たずとも状況次第で貸出をしてくれる金融機関もあり、対応はさまざまです。
転職後は金融機関選びが重要
転職後1カ月でも、1カ月分の給与明細から年収を割り戻し。
そこから見込み年収として審査対象にしてくれる金融機関もありますので、転職後の住宅購入は特に金融機関選びが重要になります。
住宅ローンの審査に落ちた体験談-病気のため保険に加入できず
住宅ローンを検討していましたが、6カ月前に病気をしてしまい、団体信用生命保険に加入できないため、住宅ローンの審査が通りませんでした。
病気により、団体信用生命保険に加入できなかったケースです。
一般的な金融機関では、住宅ローンを借りるためには、団体信用生命保険に加入することを必須の条件としています。
団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りた債務者にもし万一のことがあった場合、金融機関が保険金で住宅ローンの残債を回収するためにかける保険です。
いわば金融機関のために掛ける保険ともいえますが、これをかけておくことによって、Cさんに万一のことがあった場合でも、家族に家を残してあげることができます。
そのため、金融機関も保険をかけることを条件にしているのです。
加入できる金融機関にいくつか申込む
団体信用生命保険は保険会社が数社あり、各社で審査内容が異なっています。
そのため、一度審査に落ちてしまったとしても、別の保険会社が扱っている団体信用生命保険を使っている金融機関に審査を出してみるのも一つの方法です。
また、病気があっても住宅ローンが組めるよう、健康状態の条件を緩くした団体信用生命保険を用意している金融機関もあります。
そういった保険を一般的にワイド団信といいます。
ワイド団信は、加入する際の健康条件を緩和しているのですが、その分保険料が少し高くなり、金利を+0.3%程度上乗せしている金融機関が一般的です。
保険加入せずに借り入れできる住宅ローン申込む
さらに、団体信用生命保険に加入せずに借り入れられる住宅ローンがあります。
こちらは便利ではありますが、万一の場合に保険金で住宅ローンを完済できるわけではありません。
そのため、家を家族に残すためには、家族が多額の負債を支払っていくことになる可能性があります。
もし団体信用生命保険に加入しないで住宅ローンを組む場合は、万一の場合にどのように返済するか、家計やライフプランをしっかり確認しながら対策を考えておくことが大切です。
まとめ
住宅ローン審査に落ちてしまったケースをいくつかあげてきましたが、しっかりと事前に対策を考えておくことで、審査に通る可能性は高くなります。
ただ、借り入れができれば良いという考え方は非常に危険です。
ご自身でしっかりと返済できる範囲の金額で、より条件の良い金融機関選びができるように取り組みましょう。