この記事を読んでわかること

  • 借金を返すための借金は、返済額が雪だるま式に膨らんでしまうからNG
  • 返済に苦しくなったら弁護士や司法書士といった専門家に相談しよう
  • スムーズな返済に必要なのは「収支・借金の把握」と「返済計画」

「返済のためのお金がない……。」
「借金して返済に充てるしかない……。」

返済に苦しむ中で、つい借金を返すための借金をしたくなる人もいらっしゃるでしょう。しかし本当に借金を返すための借金をしてもよいのでしょうか?

この記事では、借金を返すための借金がNGである理由について、わかりやすく解説します。

借金を返すための借金は絶対NG

結論、借金を返すための借金はしてはいけません。借金を返すための借金はリスクが大きく、金融庁も注意喚起を行っています。

借金を返すための借金は、多重債務状態に陥る第一歩。そのまま借金を繰り返せば、返済金額が雪だるま式に増えやすいというリスクがあります。

返済期限が迫っている借金を返すため、つい新たにお金を借りたくなる人も多いでしょう。しかしそれは問題の先送りに過ぎません。より深刻な状況に陥ってしまう可能性が高いです。

借金を返すための借金をする危険性

借金を返すために借金をするという行為は、なぜ危険なのでしょうか?その理由は、借金の返済額がどんどん膨らんでしまうからです。

たとえば、10万円の借金を返すために、新たにお金を借りるとします。しかしその場合、実際に借りるべき金額は10万円ではありません。

借金の返済には元本だけでなく「利息」の支払いも必要です。つまり利息分も加えた金額を借りる必要があるため、元の借金よりも多い金額を借りなければなりません。

元の借金よりも多い金額の借入をすれば、その分利息もさらに増えることになります。このように、雪だるま式に返済額が大きくなっていくのです。

さらに複数の借金を抱えることで家計管理が難しくなり、返済の延滞リスクも高くなるでしょう。借入先が増えれば、ほかの金融機関からの借入もできなくなります。

上記のように多くのリスクがあるため、借金を返すための借金は避けるべきです。

借金が返せないときはどうする?

借金が返せないときは、可能な限り早く債権者や専門家(弁護士や司法書士)に相談しましょう。債権者に相談すれば、返済期間の延長や利息の減免など、状況に応じて対応してもらえる可能性があります。

また、弁護士や司法書士に相談すれば、借金の状況に応じて専門的なアドバイスを受けられます。活用できる公的制度を紹介してもらったり、一緒に返済計画を見直したりしてもらえるでしょう。もし債務整理が必要な場合は、どの債務整理をするべきか相談することも可能です。

一人で抱え込みすぎないのが大切です。借金の返済に苦しくなったら、外部の人に相談してみましょう。

借金をうまく返していくためにまずはじめにやること

借金をうまく返していくためにまずやるべきことは、主に2つあります。

  • 現時点での借入状況を把握すること
  • 返済計画を立てること

つまり、借金や自身の状況を可視化し、自分でコントロールできる状態にするのが大切です。それぞれの内容について、詳しく解説していきます。

現時点での借入状況を把握する

まずは、現時点での借入状況をきちんと整理しましょう。具体的には、借金の借入先や借入金額、金利、返済期限を正確に把握する必要があります。

なぜ借入状況を把握することが重要なのでしょうか?それは現状を把握できていないと、返済が滞ったり、逆に無理な返済計画を立てて生活費が圧迫されたりする可能性があるからです。

自分の借金の状況を把握すれば、適切な返済計画を立てられるため、無理なく返済を進められます。具体的な手順は以下のとおりです。

1.借入状況を可視化する ノートやエクセルなどを使い、借入先ごとに借入額や金利、返済期限を一覧でまとめる
2.信用情報機関に開示請求をする 忘れている借入があるか心配な場合は、信用情報機関に開示請求する
3.優先順位を明確にする 返済期限が近いものと、金利が高いものを優先的に返済する

多少面倒に感じてしまうかもしれませんが、借入先や借金に関する情報をいつでも確認できるようにまとめておきましょう。

返済計画を立てる

借入状況を把握したら、次に返済計画を立てましょう。返済計画とは、借金を無理なく効率的に返済するための具体的なプランのことです。

返済計画を立てれば、いつまでにどれだけの金額を返済すればいいのかが明確になります。計画的に返済を進めやすくなるため、返済の遅延を防げるでしょう。

また完済までの進行度が見えるため、返済のモチベーションも維持しやすくなります。完済まであとどれくらいかがわかりやすくなるため「頑張るぞ!」という気持ちになれそうですね。

返済計画を立てる際は、以下の手順を参考にしましょう。

1.収支を把握し、返済に回せる金額を計算する 毎月の収入と支出を把握し、そこから借金返済に何円充てられるのかを計算
2.どの金融機関に対しどんなペースで返済するか決める 前章で紹介したように「返済期限が迫っている」「金利が高い」借入先へ優先的に返済するよう計画を立てる

返済計画を立てる際は、生活費を圧迫しすぎない範囲で、無理のない返済額を設定するのが重要です。

また、返済期限が迫っている金融機関はもちろん、金利が高い金融機関を優先的に選ぶのがおすすめです。金利が高いところから返済すれば、返済総額を抑えられます。

借金の返済シミュレーション

では借金が何円になった場合、返済が苦しくなってしまうのでしょうか。「気づいたら返済しきれない借金を抱えていた」という事態に陥る前に、自分で気づいて借入をストップできるのが理想ですよね。

ここからは借金の金額ごとに、返済にどれだけ時間がかかるのか、手取り額や返済額別にシミュレーションしてみましょう。

計算内容をわかりやすくするため、金利はすべて15%とします。また無理なく返済できる金額の目安として、毎月の返済額は手取り額の20%として計算しています。

借金50万円の場合

月収(手取り) 毎月の返済額 返済期間
15万円 3万円 19か月
20万円 4万円 14か月
25万円 5万円 11か月
30万円 6万円 9か月
40万円 8万円 7か月
50万円 10万円 6か月

「50万円の借金ならすぐに返せる」と考える人もいるかもしれません。しかし手取りが25万円未満の場合、返済に1年~1年半もかかってしまいます。

特に手取りが少ない中で返済に回すお金を用意するとなると、自由に使えるお金が一気に減ってしまいます。生活にも大きな影響が出る可能性が高いでしょう。

借金100万円の場合

月収(手取り) 毎月の返済額 返済期間
15万円 3万円 44か月
20万円 4万円 31か月
25万円 5万円 24か月
30万円 6万円 19か月
40万円 8万円 14か月
50万円 10万円 11か月

手取り15万円(月収19万円程度)の人にとっては、100万円の借金返済は苦しいでしょう。約4年も返済にかかるため、負担が大きいですね。

また手取りが40万円、つまり年収が約600万円の人でも、返済には1年以上かかってしまいます。マイホームや車を購入したいと考えている場合、別のローンの返済も必要になるでしょう。経済的な負担は決して小さくありません。

借金200万円の場合

月収(手取り) 毎月の返済額 返済期間
15万円 3万円 145か月
20万円 4万円 79か月
25万円 5万円 56か月
30万円 6万円 44か月
40万円 8万円 31か月
50万円 10万円 24か月

手取り15万円の人が200万円の借金をした場合、10年以上返済しなければなりません。また手取り20万円の人は6年半、手取り25万円の人でも4年8か月かかってしまいます。

借金の返済期間が5年を越えると、返済金額は借りたお金の1.5倍程度まで膨れ上がります。そのため毎月の手取りが25万円よりも低い人は、返済は困難だと判断できるでしょう。

つまり年収が約375万円よりも小さい人は、200万円の借金返済は非常に難しいと言えます。

借金300万円の場合

月収(手取り) 毎月の返済額 返済期間
15万円 3万円 -
20万円 4万円 224か月
25万円 5万円 112か月
30万円 6万円 79か月
40万円 8万円 51か月
50万円 10万円 38か月

借金300万円ともなると、手取り30万円、つまり年収450万円程度の人でも、返済は非常に苦しいでしょう。返済には6年7か月かかるため、返済期間は長く、また金額も非常に大きくなってしまいます。

手取り50万円(年収約750万円)の人でも、返済まで3年以上かかります。3年間ずっと借金のことを考えながら生活するのも、非常につらいですよね。

借金を早く返すためのコツ

借金返済からは、なるべく早く開放されたいですよね。ズルズルと返済期間が続いてしまうのは、経済的にも精神的にも負担が大きくなってしまいます。

ここからは、なるべく早く完済するための方法についてご紹介します。

  • 毎月の返済額を増やす
  • 借入先が複数ある場合、金利の高いほうを優先して返済する
  • 新たな借入をしない
  • カードローンの借り換えをする
  • おまとめローンを活用し借金を一本化する

借金をより早く返せるだけでなく、返済額そのものを減らせるかもしれません。それぞれのほう法について、詳しくご紹介します。

毎月の返済額を増やす

シンプルなことですが、毎月の返済額を増やせば、その分返済もスピーディーに進められます。毎月の返済額を増やすためには、支出を減らすか、収入を増やす必要があります。

スマホを格安プランに変更したり、外食の回数を減らしたりすれば、支出を抑えることが可能です。ただし、削りすぎてしまうと生活の質が低下し、かえってストレスが大きくなってしまう可能性が高いです。無理しすぎない範囲で支出を見直してみましょう。

収入を増やすためには、副業やダブルワークがおすすめです。翻訳、Webデザイン、プログラミングなど、自宅でもできる副業は数多く存在します。ハードルが高いと感じる人は、Uber配達員のように特別なスキルを必要としない仕事を探してみるのもよいでしょう。

ただし、無理をしすぎてしまうと本業に支障が出てしまいます。自分の体力や時間と相談しながら無理のない範囲で行うことが大切です。

支出を減らす、収入を増やす、どちらか一ほうだけでなく両ほうをバランス良く行うのが大切。無理のない範囲で返済額が増やせないか、できることを模索してみましょう。

借入先が複数ある場合、金利の高いほうを優先して返済する

借入先が複数ある場合、金利の高い借入から優先的に返済することで、返済総額を減らせます。

たとえば、A社からの借入金利が15%、B社からの借入金利が5%の場合、A社の借入を優先的に返済するのがおすすめです。返済期間が長いほど利息は大きくなるため、金利が高い金融機関はなるべく早く返済を済ませておきましょう。

ただし、返済が滞りなく行われていることが前提です。返済期限が迫っているものや、すでに延滞しているものがあれば、そちらを最優先してください。

新たな借入をしない

当たり前に聞こえるかもしれませんが、新たな借入をしないことも大切。新たな借入をしてしまうと、返済額が増え、返済期間がさらに長くなってしまいます。借金を早く返すためには、新たな借入は避け、今ある借金の返済に集中するのが重要です。

借金に充てるお金がないからといって追加で借金をするのはNGです。また返済のストレスから散在してしまいたくなるかもしれませんが、そのようなときこそ勝負どころ。新たな借入をしてしまえば、かえって自分の首を締めることになります。

新たに借入をしたくなったら、返済計画表を見直すのがおすすめです。完済までの道のりを再確認し「このまま頑張ればいつか開放される」というモチベーションを維持しましょう。

カードローンの借り換えをする

カードローンの借り換えも、借金を早く返すための有効な手段のひとつです。カードローンの借り換えとは、現在利用しているカードローンから、別のカードローンに変更すること。具体的な仕組みのようになっています。

  • 変更先の金融機関が、もともと利用していた金融機関に残高をいったん全額返済する
  • その後は変更後の新たな金融機関に対し、残りの返済を行っていく

借り換えのメリットは「金利を下げられる」「返済期間や返済ほう法を見直せる」の2点です。

もともと利用していた金融機関よりも低金利な金融機関に借り換えできれば、返済総額を減らせます。金融機関によっては、初回利用時に金利が小さくなるキャンペーンが行われています。返済金額をより大きく減らせるため、そのようなキャンペーンはしっかり活用したいですね。

また現在の返済計画が厳しいと感じている場合は、借り換えを機に返済期間や返済ほう法を見直せるケースもあります。より無理のない返済計画が立てられるため、毎月の支払いが苦しい人にとっては特に大きなメリットでしょう。

ただし、借り換えには審査が必要です。誰でも利用できるわけではありません。

ではどのようなカードローンに借り換えをすべきなのでしょうか?おすすめしたい2つのカードローンについてご紹介していきます。

「アイフル」

アイフルは、審査が最短18分で完了するため、スピーディーに借り換えができる金融機関です。

アイフルの「かりかえMAX」なら、年3.0%~17.5%の金利で借り換えが可能。すでに利用している金融機関の金利によっては、借り換えすることで利息の支払いを減らせるでしょう。

またチャット機能を使えば、オペレーターとメール感覚でやりとりできます。対面でのやり取りを避けたい人や、場所を選ばずお金を借りたい人にとってはうれしいメリットですね。

さらにスマホアプリを使用すれば、カードレスでの返済も可能です。そのためわざわざATMまで行く必要もありません。

アイフルがおすすめな人の特徴
  • 借り換えをスピーディーに進めたい人
  • 場所や時間を問わず返済したい人
  • 対面や電話でのやり取りを避けたい人

「プロミス」

プロミスなら、審査にかかる時間は最短3分と業界最速レベル。「一刻も早く借り換えをして返済を楽にしたい」と考えている人に強くおすすめしたい消費者金融です。

また女性専用窓口である「レディースキャッシング」も利用できます。女性オペレーターが対応してくれるため、男性に使途や事情を説明するのが不安な女性でも手続きしやすいですね。

返済日も「5日・15日・25日・末日」の4つから選択できます。収入が振り込まれるタイミングやご自身の都合に合わせて選べるのは便利ですね。返済ほう法も幅広く用意されているため、利用者の状況に合わせて自由に利用できます。

プロミスがおすすめな人の特徴
  • とにかく早く借り換えをしたい人
  • 女性オペレーターに対応してもらいたい人
  • 返済日を自分で選びたい人

おまとめローンを活用し借金を一本化する

おまとめローンを活用し、借金を一本化するのもおすすめです。おまとめローンとは、複数の借入先からの借り入れを1社にまとめられるローンのことです。

おまとめローンを利用すれば、金利が低くなる可能性があります。借金をまとめれば1箇所で借りる返済総額が高くなるため、金利が下がるという仕組みです。また、もともと金利が高めな金融機関で借金していた人も、金利が低くなる可能性が高いです。

加えて返済の管理がしやすくなるのも、おまとめローンによるメリットのひとつ。複数の借入先があると、それぞれの返済日や返済額を管理するのが大変ですよね。おまとめローンを利用すれば、返済先が1つに絞られるため、管理が楽になります。

ただしおまとめローンを組んだ場合、追加で借入ができなくなるというデメリットもあります。もしものときのために、並行して貯金もできれば理想的ですね。

借金を早く返したくても絶対にやってはいけないこと

繰り返しになりますが、借金を返済するための借金は絶対にNGです。それとあわせて、闇バイトなどでお金を稼ぐ行為も絶対にやってはいけません。

闇バイトとは、違法行為や危険な仕事を含むアルバイトです。高額報酬に期待できますが、犯罪に加担する可能性や、心身に危害が及ぶ可能性があるため、絶対にやってはいけません。一度闇バイトの世界に足を踏み入れて、それがバレてしまえば、社会的にも生きづらくなるため「借金がきつい」どころの話ではなくなります。

違法行為に手を染めるくらいなら、後述する債務整理を検討したほうが絶対に良いです。闇バイトなどの違法行為が頭にちらついた場合は絶対に債務整理を検討してください。

借金で首が回らなくなった場合は債務整理も一つの手段

借金で首が回らなくなった場合は債務整理を推奨します。債務整理とは、法律に基づいた手続きによって、借金の減額や返済方法の見直しを行い、経済的な再建を目指すことです。法律に基づいて実行するため、闇バイトと違って安全な借金返済方法です。

債務整理には、主に以下の4つの種類があります。

種類 内容 適している人
任意整理 債権者と直接交渉し、将来の利息をカットしたり、返済方法を見直したりする手続き。裁判所を介さずに行われる。 毎月の返済額を抑えたり、返済期間を伸ばしたりしたい人
個人再生 裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額してもらう手続き。借金の80%~90%を減額できるケースが多い。 家を手放さずに借金を減額したい人
自己破産 裁判所を通じて、すべての借金の支払い義務を免除してもらう手続き。財産は原則として処分されますが、生活に必要な最低限の財産は保護されることがある。 どうしても返済できないときの最終手段
特定調停 簡易裁判所を通じて債権者と話し合い、返済計画を立て直す手続き。弁護士ではなく裁判所を通じて行われる。 弁護士や司法書士といった専門家に支払うお金がない人

債務整理を行うと、信用情報機関に情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに載った状態」となるため、次のような影響が発生します。

  • 新たな借入ができなくなる
  • クレジットカードが作れなくなる(もともと使っているカードも更新時に利用できなくなる可能性が高い)
  • 住宅ローンなどのローンが組めなくなる

債務整理によって借入ができなくなる、財産を差し押さえられるなどの制限や措置を受けます。とはいえ、返済負担は軽減するため、借金に振り回されてしまっている人にとっては許容すべき制限や措置といえるでしょう。

信用情報は5~7年でリセットされます。リセットされれば新たに借入ができる可能性も出てくるため、将来を見据えて債務整理が最適といえるなら、前向きに検討してみることを推奨します。

まとめ

借金を返すための借金はNGです。返済額がどんどん大きくなってしまい、かえって自分を苦しめてしまいます。とはいえ、返済が苦しくなってしまったらつい借金を重ねたくなるもの。そこはぐっとこらえて、専門家に相談したり、返済計画を見直したりしましょう。

また借り換えやおまとめローンによって、返済の負担を大きく軽減できるかもしれません。借金ばかりに頼らず、ほかの手段を検討するのが大切です。