運転資金の融資を受けたい事業主必見!調達方法から資金目安まで網羅
武藤 英次

この記事の執筆者

ファイナンシャルプランナー

武藤 英次さん

「運転資金を借りたいけど、どのくらいの金額が適切なのかわからない」
「創業資金を調達するには、どこに申込したら良いか教えて欲しい」

安定した事業経営のために、必要十分な運転資金は欠かすことができません。

特に創業期において、運転資金の確保は事業の命運を握っていると言えるでしょう。

自己資金から運転資金を確保できるのが理想かもしれませんが、実際には難しいことが多いものです。

そこで、この記事では以下のような事柄について解説します。

  • 運転資金とはそもそもどのような資金なのか
  • 運転資金にはどのような種類があるのか
  • 運転資金を調達できる金融機関と特徴
  • 運転資金の審査をスムーズに通過するためのコツ

これらのことを理解することで運転資金を正確に把握できるようになり、適切な方法で金融機関から運転資金を調達できるようになります。

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運転資金はどんな資金か

運転資金を電車にたとえるFPと見つめる中高年消費者

「運転資金」とは、事業を経営するにあたって必要な資金のことを指します。

経営のうえで資金は「血液」のようなもので、不足してしまえばたちまち事業の命を落としてしまいかねません。

基本的に支払うべきお金を支払えなくなったら、倒産というわけです。

このような結末を迎えることなく、安定した経営をするために必要なお金が「運転資金」と呼ばれます。

企業の命運を握る「運転資金」を理解する上で、重要な知識をわかりやすく解説していきます。

儲かっているはずなのに運転資金がない?「黒字倒産」とは

「利益を出して黒字決算なら、大体の金額を把握しているどんぶり勘定で大丈夫」など、軽く考えてしまう経営者も多いのですが、実はそう単純なものではありません。

実際に全倒産企業の半数近くは黒字倒産というデータも出ています。

2018年倒産企業の財務データ分析

※株式会社東京商工リサーチ「2018年倒産企業の財務データ分析」調査より

黒字なのに倒産してしまうというのは何とも不思議な感覚ですが、仕組みがわかってしまえば非常に簡単です。

最もシンプルに黒字倒産を説明するならば次の通りとなります。

黒字倒産

売掛金の決済(現金の入金)が数カ月後のため、その間に経費の支払いが重なって資金ショートとなり、帳簿上の利益が上がっていても倒産となってしまう

黒字倒産にはさまざまなパターンが存在しますが、基本的には「利益と資金繰りのタイムラグ」が原因と考えて間違いありません。

しっかりと資金繰り計算をしておけば、このような事態は未然に防げるものですが、大量の業務に忙殺されていると意外と黒字倒産のワナに陥ってしまうことがあるのです。

なお、2019年6月19日の日本経済新聞によると、2017年の国税庁調査で赤字企業が国内企業全体の6割ほどを占めると発表されています。

つまり、「赤字決算」だからといって、すぐに倒産するわけではありません。

日頃から十分な資金を備えておいたり(ダム経営)、金融機関から融資を受けたり(資金調達)するなどしておけば、万が一の赤字決算でも十分な運転資金を手当できるのです。

運転資金と設備資金の違い

運転資金と設備資金の違い

金融機関から資金調達する際には「運転資金」と「設備資金」の大きく2つに分けられます。

「設備資金」とはその名の通り、機械設備や社屋などの土地建物のように長期的に事業経営に資する設備購入資金のことを指します。

「決算書の貸借対照表に資産として記載されるものを購入する資金」と考えればわかりやすいかもしれません。

そのうえで運転資金は設備資金以外のものと捉えておけばOKです。

それほど難しく考える必要はありませんが、金融機関で実際に資金調達する際には2つの資金は性質がかなり異なるので注意が必要です。

「運転資金」と「設備資金」の違いについて一覧表にまとめたので、簡単にチェックしておきましょう。

運転資金 設備資金
資金使途 ・経常資金、つなぎ資金、決算資金、納税資金等々、比較的幅広い資金ニーズに対応可能 ・機械設備や土地建物等、具体的に設備を購入する資金に限られる(資金使途確認はマスト)
借入期間 最長で5年~7年程度まで 最長で10年~15年程度まで
借入金額 事業規模に応じて必要とみなされる金額に限られる 比較的高額な融資にも対応可能
※運転資金とは別枠として捉えることが可能
金利 企業格付により大きな幅がある(年1.0%~18.0%程度) 高金利設定となることは比較的少ない
審査スピード 比較的短期間で審査可能な事が多い 半月~1カ月以上と、審査に時間がかかる傾向にある
審査の厳しさ 短期資金は特に柔軟な審査傾向 運転資金よりも細かくチェックされる傾向
必要書類 比較的提出書類は少なめ 購入設備の見積書や設備導入効果試算表など、提出書類が多くなる傾向

なお本来は設備資金で借りるべき案件で運転資金を流用してしまうのはおすすめできません。

また、運転資金は設備資金よりも比較的手軽に融資を受けられますが、運転資金の枠は経営規模に応じた有限の枠と考えねばなりません。

仮に運転資金で借りたお金を設備投資にまわしてしまった場合、後で本当に運転資金が借りたいときに借りられなくなるという事態を引き起こしかねないのです。

「最初から面倒がらずに設備資金で借りておけば、運転資金は別枠として審査してもらえたはずなのに」などと後悔しないように、資金使途はきっちり守りましょう。

運転資金の種類

運転資金の種類を項目別に紹介するFPと確認する中高年消費者

同じ運転資金と言っても、融資の性質的には大分異なることがあります。

運転資金の種類や用語に明確な定義はありませんが、ある程度は分類しておくと理解しやすくなるでしょう。

こちらでは代表的な運転資金のカテゴリーについて、わかりやすく解説します。

最もスタンダードな「経常運転資金」

運転資金のなかでも、最も一般的に利用されるのが「経常運転資金」です。

とくに何の指定もなく「運転資金」というときは、通常はこの「経常運転資金」を指しています。

「経常」というのは「常に一定の状態」や「平常」といった意味なので、経常運転資金は常時利用する運転資金といった意味でとらえてください。

なお事業拡大などにより売上が増加した場合には「増加運転資金(事業拡大資金)」が、不調で売上が減少した場合には「減少運転資金(赤字補てん資金)」が必要になる場合があります。

いずれも経常運転資金と特に分けて考える必要はありませんが、融資の受けやすさでは明らかな違いがあります。

当然ながらポジティブな「増加運転資金(事業拡大資金)」のほうが借りやすく、ネガティブな「減少運転資金(赤字補てん資金)」の借入は難しくなります。

入金までの短期間お金が足りないときは「つなぎ資金」

広義では経常運転資金に含まれますが、特に単発利用のイメージなのが「つなぎ資金(つなぎ融資)」です。

売掛金回収までの期間の数カ月以内の短期融資で、比較的審査は通りやすい特徴があります。

銀行では主に「手形貸付」ないし「手貸(てがし)」と呼ばれる、期日一括返済の貸付スタイルが用いられます。

期日返済が難しい時には、銀行は手形を書き換えて期日延長に応じやすいという面もあり、銀行融資の中では最も手軽な融資スタイルと言えるでしょう。

なお手形貸付の場合は原則として利息は先払いとなり、手形の額面から利息が差引かれた金額が口座へ入金されます。

ボーナス(賞与)支給や年末資金は「季節資金」

ボーナス支給や年末の決裁資金など季節的な運転資金を「季節資金」として借入可能です。

たとえばボーナスなら夏と冬の2期支給が基本ですから、6カ月での返済が原則となります。

通常の運転資金からボーナス資金等を調達してもよいのですが、季節資金はある程度別枠扱いとも言えるので必要に応じて利用しても良いかもしれません。

金融機関内では「季節資金の目標」があることも多く、季節資金を借りると担当者に恩を売れる面もあるのでお付き合いしても良いでしょう。

運転資金の調達方法

運転資金の調達先の特徴を確認する女性行員

金融機関からの運転資金の調達方法は主に以下の3つ

  • 政府関係金融機関
  • 銀行(信用金庫等含む)
  • 貸金業者(ノンバンク系)

まずはそれぞれの金融機関の特徴を一覧表でさらっと確認しておきましょう。

業態 カテゴリー 主な融資対象 利用しやすさ 金利目安 最大融資額最長融資期間 ワンポイント解説
政府関係金融機関 日本政策金融公庫(JFC・日本公庫) ・中小企業
・零細企業
・個人事業主
☆☆☆☆
★★★
(創業支援に特に力を入れている)
年1.0~2.0%前後
(無担保)
・4,800万円~7億2,000万円
・7~8年(運転資金)
・創業・起業資金融資が充実
・保証協会の保証不要
日本政策投資銀行
(DBJ・政投銀)
・大企業
・中堅企業
☆☆☆☆
☆☆★
(気軽に申込みはできない)
- - ・エネルギー、インフラ、先端技術等への融資が中心
商工組合中央金庫
(商工中金)
・中小企業
・協同組合と構成員
★★☆☆
☆☆☆
(構成員のみ利用可能)
年2.0%弱
(非公表)
・2億5000万円(運転資金)
・10年以内
・構成員のみが利用可能
銀行 大手都市銀行 ・大企業
・中堅企業
★★☆☆
☆☆☆
(最近は少しハードルが低め)
年0.5%~18.0%程度 事業規模に応じた適正金額 ・最近は中小企業でも借りられるケースが多くなっている
・業績悪化にはシビア
地方銀行 ・中堅企業
・中小企業
★★★☆
☆☆☆
(銀行により差が大きい)
年1.0%~18.0%程度 事業規模に応じた適正金額 ・都市銀行よりは利用しやすいが、一部敷居が高い銀行も
第二地方銀行 ・中小企業
・零細企業
・個人事業主
★★★★
☆☆☆
(比較的借りやすい)
年1.3%~18.0%程度 事業規模に応じた適正金額 ・地域密着型なので事業規模が小さくても相談可能
信用金庫・信用組合 ・中小企業
・零細企業
・個人事業主
★★★★
★☆☆
(かなり相談しやすい)
年1.8%~18.0%程度 事業規模に応じた適正金額 ・最もリテールな分野を担う地域密着型金融機関
・規模が大きいとむしろ借りられないことも
ネット銀行 ・銀行により異なる ・銀行により異なる - - ・事業資金融資にはあまり力を入れてない銀行も多い
・銀行ごとの個性が強い
信託銀行 ・シンジケートローン
(巨大プロジェクト)
☆☆☆☆
☆☆☆
(ほぼ不可)
- - ・一般的な法人融資は行っていない
貸金業者(ノンバンク) 専業事業者金融 ・中小企業
・零細企業
・個人事業主
★★★★
★★★
(正規金融では最も借りやすい)
年3.0%~18.0% ・500万円~1,000万円
・5年前後
・赤字や税金未納でも融資検討できることもあるなど、最後のセーフティーネット的存在
・審査スピードは最速レベル
大手消費者金融系 ・零細企業
・個人事業主
★★★★
★★★
(カードローンの感覚に近い)
年3.0%~18.0% ・300万円~500万円
・5年~10年
・ごく少額の融資にも対応できるなどお手軽
信販系 ・中小零細企業
・法人経営者
・個人事業主
★★★★
★★☆
(クレジットカードキャッシングの感覚に近い)
年6.0%~18.0% ・300万円~1,000万円
・3年~5年
・法人代表者や個人事業主など経営者むけカードローンがメイン

※「利用のしやすさ」は、「申込しやすさ」「審査の難易度」「必要書類の多さ」等を勘案し、なるカド編集部にて総合的に判定したものです(★7つが最高)
※金利などの条件はあくまでも目安であり、審査等により異なる場合があります

政府関係金融機関なら日本政策金融公庫がメイン

政府関係金融機関のなかでも、最も身近な存在なのが「日本政策金融公庫(日本公庫)」です。

2008年10月に「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」が統合されたのですが、そちらの名前のほうがピンとくる人もまだ多いかもしれません。

中小企業金融公庫が担っていた「中小企業の資金調達支援」と「信用保険制度」を、日本政策金融公庫がそのまま引き継いでいます。

名前が仰々しいので敷居が高く感じるかもしれませんが、全国に152店舗あり、銀行の支店のような雰囲気なので入りにくいということもありません。

また来店する前にフリーダイヤルから無料相談(事前相談)できるので、ぜひ活用してください。

日本政策金融公庫 
事業資金相談ダイヤル: 0120-154-505(行こうよ!公庫)
受付時間:平日9時~17時

※創業前、創業期、個人企業・小規模企業の方は平日9時~19時まで対応

日本政策金融公庫は資金ラインナップが豊富

創業期の資金調達に圧倒的な強みを持つ日本政策金融公庫ですが、それ以外にも多様な融資制度ラインナップを取り揃えています。

その中で運転資金に活用できる融資制度のうち、活用しやすいものをピックアップして紹介します。

融資制度 利用対象 融資限度額 融資期間(うち据置期間)
小規模企業向け 一般貸付 事業を営む方(ほとんどの業種が適応) 4,800万円 運転資金は7年以内(1年以内)
経営環境変化対応資金 売上が減少するなど業況が悪化している方 4,800万円 運転資金は8年以内(3年以内)
取引企業倒産対応資金 取引企業などの倒産により経営に困難を来している方 別枠3,000万円 運転資金は8年以内(3年以内)
企業活力強化資金 卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業または一定の要件を満たす不動産賃貸業を営む方で、店舗の新築・増改築や機械設備の導入を行う方など 4,800万円 運転資金は7年以内(2年以内)
中小企業向け 新事業育成資金 新規性、成長性のある事業を始めておおむね5年以内の方など 6億円 運転資金は7年以内(2年以内)
企業活力強化資金 卸売業、小売業、飲食サービス業またはサービス業を営む方で、店舗の新築・増改築や機械設備の導入を行う方など 運転資金は2億5,000万円 運転資金は7年以内(2年以内)
経営環境変化対応資金 売上が減少するなど業況が悪化している方 7億2,000万円 運転資金は8年以内(3年以内)
取引企業倒産対応資金 取引企業などの倒産により経営に困難を来している方 別枠 1億5,000万円 運転資金は8年以内(3年以内)

日本政策金融公庫公式サイトより抜粋&一部編集
※融資限度額と融資期間は運転資金について記載、設備資金は別途規定あり

上記の中でも一般貸付は多様な業種に広く対応しているので、小規模事業者の方には頼りになることでしょう。

また「セーフティーネット貸付」に該当する「経営環境変化対応資金」や「取引企業倒産対応資金」は業況が悪化している苦しいときに力を発揮してくれるありがたい制度です。

セーフティーネット貸付は、その名の通り安全装置としての役割を担っています。

そのため民間では融資できないような状況であっても、要件に該当することで貸付を受けられる可能性があるのです。

売上が減少した時や、取引先の倒産で未回収が発生したようなピンチには、セーフティーネット制度が使えないか、必ずチェックするようにしましょう。

たとえ現在は該当しない方でも、覚えておいて損はありません。

政府関係金融機関(日本政策金融公庫)で運転資金を借りるメリット&デメリット

メリット
  • 民間では対応できないような創業期の支援制度が充実している
  • 経験豊富なスタッフによる事前の無料相談が利用可能
  • セーフティーネット貸付制度により、ピンチの際にも頼りになる
デメリット
  • 民間ではないので、思いの外シビアな指摘を受けることもある
  • 面談や来社が重視されるので、苦手なタイプだと厳しく感じることも
  • 申込から融資実行までおおむね1カ月程度かかる

都市銀行は以前よりも借りやすいが注意が必要

以前の大手都市銀行は、中小企業が融資をお願いしても「けんもほろろに」断られてしまう傾向にありました。

しかし近年では、大企業が市場からの直接金融にシフトしてしまい、貸出先が無くて困った都市銀行は、徐々に中堅~中小企業への融資に力を入れ始めています。
※直接金融とは、自らが所有する資金を、受ける側へ直接的に供給(出資、融資など)する仕組みのこと

そのため、銀行から「融資を検討させていただけませんか」などお誘いをうける中小企業の方も意外と多いようです。

しかし大手銀行はその判断基準が厳しく、経営が苦しい企業からの撤退も早いので気を付けましょう。

大手都市銀行の「ネームバリュー」や、銀行ならではの「低金利」は魅力ですが、都市銀行だけに頼るのはおすすめできません。

大手都市銀行で運転資金を借りるメリット&デメリット

メリット
  • 大手都市銀行から融資を受けているというだけで他社から信頼されやすくなる
  • 年1.0%にも満たない超低金利で借りられることが多い
デメリット
  • 中小零細企業は実質お断りの場合も多い
    ※銀行側から勧誘されることはある
  • 業況が悪化すると掌返し(融資引き上げ)される心配がある

地方銀行・信用金庫は中小零細企業のメインの資金調達先

大手都市銀行の攻勢で少し元気のない地方銀行ですが、中小零細企業の資金調達先としては現在でも主役級であるのは間違いありません。

地方銀行は地元の企業に優しい一面も持っています。中小企業は信頼できるメインバンクを、地域型の金融機関から見つけるのがベターでしょう。

また地方銀行や信用金庫などから融資を受けることで地元のナマの情報が入りやすくなるなど、金利以上のメリットがあります。

金利は都市銀行よりも少しばかり高めですが、この超低金利時代にさほどの差はないと言って良いでしょう。

また都道府県や市区町村の有利な制度融資にも精通しているので、まずはこれらの地域金融機関の活用を検討するのがおすすめです。

地方銀行や信用金庫などで運転資金を借りるメリット&デメリット

メリット
  • 地元を大切にする傾向なので、比較的安心して取引できる
  • 都道府県や市区町村の有利な制度融資が利用しやすい
  • 地域の有益な情報を入れてもらいやすく、金利以上に有益なことも多い
デメリット
  • 都市銀行よりも若干金利が高めの設定
  • 悪い噂はすぐに銀行の耳に入るので、ごまかしが利かない面も

緊急時に対応できるのは貸金業者(ノンバンク系)のビジネスローン

運転資金は資金繰り計算である程度ゆとりを持って調達するのが理想ですが、時には突発的な回収遅延や取引先の倒産等によって緊急で資金が必要となる場合もあります。

支払期限まで数日といった状況では、政府関係金融機関や銀行などに融資を依頼しても間に合わないことが大半でしょう。

そんなときに頼りになるのがスピード審査に定評のある貸金業者のビジネスローンです。

融資上限額は500万円~1,000万円と少額で、上限金利は年18.0%と高めですが、数日以内に融資を受ける手段としてかなり有効であり、ここまでスピーディに融資が受けられるビジネスローンは他にありません。

ただし高金利傾向のため長期的に借りてしまうと収益を圧迫しかねないので、極力短期の借入にすることが大切です。

ビジネスローンで一時的にしのいでおき、より低金利な融資を同時並行的に申込しておくなどの工夫が有効かもしれません。

また可能な限り決算書に記載されないタイミングで完済するのが理想です。

貸金業者からの借入が決算書に記載されている状況は、銀行などの金融機関では強いマイナス印象を持たれてしまいます。

貸金業者(ノンバンク系)から運転資金を借りるメリット&デメリット

メリット
  • 最短即日~数日で融資を受けられる圧倒的審査スピード
  • 多少の赤字や税金未納でも融資検討できる柔軟な審査姿勢
  • ごく小口資金でも検討できるので、無駄なく資金調達可能
デメリット
  • 銀行よりも高めの金利設定
  • 1,000万円を越えるような大口資金対応が難しい(無担保無保証の場合)
  • 貸金業者からの借入は銀行などの金融機関から敬遠されがち

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  • 法人・個人事業主 専用
  • まとまった資金繰りの際に!
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運転資金をスムーズに借りるには

運転資金をスムーズに借りるための必要書類を知らせるFPと悩みこむ中高年消費者

いざ運転資金を借りたいと思っても、何の準備もなしにふらっと金融機関を訪れても良い結果は望めません。

こちらでは運転資金を申込する前に準備するべきことについて解説します。

借入理由は資金繰り表などを用い理路整然と説明を!

運転資金に限りませんが、金融機関から融資を受けるにあたって「お金を借りる根拠」というのは想像以上に重要です。

「運転資金」は対象が幅広いこともあり「なんとなくお金が足りなくなったから」という軽い気持ちで融資を申込してしまいがちです。

しかし「なんとなくお金が足りない」という曖昧な言葉は、金融機関の担当者にかなりマイナス評価を受けることになりかねません。

「なんとなく」というのは、経営者が資金繰りをろくに把握できていないことを告白しているようなものなのです。

それでも優良な取引先と認められていれば審査担当者が資金繰りを推定するなどして上手に審査を通してくれることもあります。

しかし審査通過のボーダーライン近辺の場合、いい加減な資金管理は致命傷となりかねません。

売上の増減や未回収金の状況などをしっかりと把握し、なぜ運転資金を申込むに至ったのかは最低限説明できるように準備しましょう。

また「いつまでに」「いくらを」調達したいのかは、資金繰りを把握していれば自ずと答えが出るはずです。

担当者に希望日と希望融資額をはっきりと伝えるようにして下さい。

適正な金額で申し込みをする

運転資金は過大にならないように適正な金額で申込することが大切です。

「多めに申し込んでおいて減額されてもいいや」といったいい加減な決め方は良くありません。

最初から適正な金額で申込むことで「この経営者はきちんと現状を把握している」とプラスの印象を与えます。

しかし過大な金額を申込してしまうと「本当に運転資金を把握しているのだろうか」といった余計な疑念が生じかねません。

後ほど適正な運転資金の金額目安について解説します。早く運転資金の金額目安に関して知りたいという人は、こちらをチェックしてください。

必要書類をしっかりと準備する

融資を受けるには、当然ながら審査を通過する必要があります。

融資担当者は、借入申込を受けたら稟議書を作成し「係長」「支店長代理(課長)」「支店長」と順番に決裁をもらわねばなりません。

スムーズに稟議書が決済されるには、稟議書自体も大切ですが、稟議書に添付される必要資料がかなり重要となります。

たとえば売掛先との取引を証明するような資料があれば、稟議書に説得力が増し、審査通過の可能性がアップするのです。

また正確な資金繰り表などを提出すれば、しっかりとした経営者という心象を与えることができますし、担当者もチェックだけで済みます。(足りない資料は担当者が推定しながら作成することもあります)

手元に資料があるのであれば、できる限り言われる前に提示したほうがベターです。

制度融資や保証付融資を利用する

銀行が信用で行う融資のことを「プロパー融資」と言いますが、多くの中小零細企業が最初からプロパー融資を受けられるのは稀です。

都道府県や市区町村の保証付の制度融資から利用するのが王道と言えます。

また制度融資は固定の低金利なうえ、利子補給や保証料の助成が受けられることもあるなどメリットが多いのです。

保証協会の保証がつくことで銀行は長期のまとまった資金を安心して融資することができます。

なお多くの銀行では保証付融資の目標を抱えているので、むしろ保証付制度融資の利用は歓迎されることが多いでしょう。

とくに信用金庫などの地域密着型金融機関では、役所での申請手続きや保証協会への申請の大部分を手伝ってくれることが多いものです。

ただし金融機関によっては、融資目標を達成するために不要な金額まで逆提案してくるようなケースも見受けられます。

無理のない範囲でお付き合いするのは良いかもしれませんが、あまり過大な借入にならないような自制も必要です。

運転資金の計算方法

運転資金の計算方法

運転資金は図の計算式で簡単に求められます。

上記の計算で求められた金額が「適正な運転資金」ということになりますが、すぐに申込するのは早計です。

計算式を知った上で、いったん自社の財務状況を細かく確認しておかねばなりません。

経営者の方はどうしても「フリーの運転資金は多めに確保しておいたほうが安心」という心理が働きがちです。

しかし融資による運転資金の調達は「有利子負債」を増やすことになるので、できる限り少なくする必要があります。

売掛債権と棚卸資産を減らせたなら、調達するべき運転資金を削減可能です。

売上債権を減らすには回収をシビアに見直して、回収タイミングを可能な限り早めることが有効となります。

また棚卸資産は「過剰在庫」を訂正に処分することで削減できると同時に、フリーのキャッシュを生み出せます。

安易に運転資金調達に頼るのではなく、見直せるポイントが無いかをしっかり確認しておきましょう。

運転資金の返済について

運転資金の返済についての注意点として提示する女性行員とFP

運転資金の返済は、基本的に売上が返済原資となります。

そのため毎月どのくらいの金額なら売上から無理なく返済できるのかによって、適正な借入期間が自ずと決まるわけです。

基本的に短期借入であるほど毎月の負担が増え、長期借入になるほど毎月の負担は少なくなります。

ただし最長の返済期間を取れば毎月の負担は軽減されますが、なかなか返済が進まずに融資枠が空きません。

反対に短期の返済期間だと返済は進みやすいですが、業況が悪化したときに返済が窮地に陥るリスクが高まります。

結局のところ適正な返済期間というのはケースバイケースなので、無理なく返済できる金額をイメージしつつ金融機関の担当者に相談しながら決めるのがベターでしょう。

また日本政策金融公庫の「事業資金要返済シミュレーション」を利用して返済プランをイメージしてみるのもおすすめです。

創業期の運転資金は日本政策金融公庫の「新規開業資金(新企業育成貸付)」がおすすめ

日本政策金融公庫の新規開業資金をお奨めするFP

創業期に無担保無保証で融資を受けるなら、日本政策金融公庫一択と言って間違いありません。

民間では対応できないようなリスクある創業資金でも、政策的に支援する目的で融資を受けることができます。

参考までに「新規開業資金」の概要をまとめましたので、チェックしてみて下さい。

日本政策金融公庫の新規開業資金の概要
利用できる方 雇用の創出を伴う事業を始める方など一定の要件に該当する方
※事業開始後おおむね7年以内
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
資金使途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金
返済期間 運転資金:7年以内(うち据置期間2年)
保証人・担保 応相談(無担保無保証でも借入可能)

※使いみち、返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用

都道府県や市区町村の制度融資は保証がマスト

各地方自治体において、保証付の創業支援制度融資を利用できる場合があります。

こうした制度融資では利子補給制度や保証料の半額助成といった支援が受けられることも多く魅力的です。

上限金額は比較的少額のため大口融資は利用できませんが、零細企業や個人事業主は利用しやすい制度と言えるでしょう。

制度融資についてのポイントを簡単にまとめると以下のとおりです。

  • 各都道府県、市区町村ごとに独自の融資斡旋制度が設けられている
  • 利子の一部や保証料を各地方自治体が助成してくれることも多い
  • 「金融機関」「信用保証協会」「担当自治体」の3つの審査を通さなければならないので融資実行まで時間がかかる(1カ月~)

日本政策金融公庫と比較すると多少不利な点もありますが、懇意にしている金融機関があるなら比較的相談しやすいので検討の価値はあります。

まとめ

こちらでは運転資金の融資について解説しました。

最後にもう一度、重要なポイントを振り返ります。

  • 「運転資金」とは、事業を経営するにあたって必要な資金のこと
  • 運転資金には「経常運転資金」「つなぎ資金」「季節資金」などがある
  • 運転資金の借入先には「政府関係金融機関」「銀行」「貸金業者」がある
  • 運転資金をスムーズに借りるには「借入理由」「適正金額」「必要書類」などの要素が大切

これらのことを理解していただいたことで、運転資金融資に関する疑問が解消できたことでしょう。

こちらを参照しつつ、最適な形で運転資金を調達するようにして下さい。