銀行融資に比べて審査基準も緩く、融資実行までの時間が短い「ビジネスローン」は、事業主にとってとても心強い味方と言えます。

しかし、使いやすいといっても誰でも簡単に借りられるわけではありません。

借入を行うには、審査にきちんと通過することが条件となります。

では、もし自身がいわゆる「ブラック」だった場合、ビジネスローンに申し込むことは可能なのでしょうか?

今回は「ビジネスローン」の申込条件や審査について解説します。

新井 智美

1級FP技能士・CFP

新井 智美

資格
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産運用)、CFP®、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
経歴
2006年11月卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。
活動情報

よく聞く「ブラック」とは何のこと?

ブラックリスト該当と認識している中高年消費者

ブラックリストに載っているとか、ブラックだから審査に通らないという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

この時の「ブラック」とは、信用情報に傷があるということを意味します。

具体的には、「金融機関との取引履歴に何らかの事故情報が載っている」ということです。

現在、日本では「JICC(日本信用情報機構)」と「CIC」が指定信用情報機関として登録されています。

さらに、この2つの機関と情報を共有しているのが「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」です。

ローンの審査においては、これらの信用情報機関に対し、過去にカード事故がないか、更には他の金融機関からお金を借りていないかなどを調査しています。

その際に下記の情報があれば、それは「事故情報」として扱われます。

  • 返済を延滞した。
  • 返済不能に陥り、債務整理や自己破産などの法的整理を行った。
  • 何らかの理由でカードローン業者やクレジットカード会社が強制解約手続きを行った。

冒頭でも言いましたが、「ブラックリストに載る」という言葉を聞くことがありますが、現実にはブラックリストというものは存在しません。

あくまでも、信用情報機関に事故情報が載っているかどうかが、ブラックであるかないかの違いということです。

ちなみに延滞とは「契約で決められた期日に返済が間に合わない」状態の事を指し、1度の延滞であっても事故情報として記録されます。

金額が少額であり、返済期日の数日後に返せるからといって、軽い気持ちで延滞してしまうと、後々後悔することになりかねません。

もし今、ご自身が何らかのローンを借入れしており、返済中であるならば、返済期日は必ず守るようにしましょう。

自分がブラックかそうじゃないかの確認方法(開示請求手続き)

信用情報機関に登録されている情報は、「開示請求」を行うことが可能です。

有料ではありますが、心配であればきちんと確認しておきましょう。確認手順としては以下の流れになります。

  1. 自分が借り入れを行っているローンの契約内容を確認し、どの信用情報機関と提携しているのかを把握する。
  2. 該当する信用情報機関の公式サイトにて、希望する開示情報を選択する。
  3. それぞれの手続き方法に従って開示請求手続きを行う。

ちなみにJICC(日本信用情報機構)の公式サイトでは、以下のような画面遷移となっています。

JICC画面遷移

※画像引用:JICC公式サイトより

仮に、ここで「スマートフォンによる手続き」を選んだ場合、以下のような画面に移行します。

スマートフォンによる手続き

※画像引用:JICC公式サイトより

かなり丁寧に、信用情報を確認する流れを紹介しているので、初めてでも安心して信用情報を取り寄せることができます。

手数料については、いずれの信用情報機関でも1,000円程度に設定されています。

ビジネスローンでのブラックとは

赤字決算や税金滞納で青ざめる中高年消費者

ビジネスローンでもブラックとは、個人の信用情報に傷があることに加え、経営状況についても問題があることを意味します。

例えば、「会社の経営状態に問題がある」などです。

  • 決算書に問題がある。
  • 税金未納の状態がある。

経常利益+減価償却費がマイナスになっていたり、税金が払えないほどの経営状態になっていたりするのであれば、かなり資金繰りが苦しい状態であると判断されます。

それ以外にビジネスローンでブラックと判断されるものとして、次のようなものが挙げられます。

代位弁済

借入れを行っていたが返済できなくなってしまい、保証会社(例えば信用保証協会)が代わって銀行に対して返済を行ったということです。

保証履行

上で説明した「代位弁済」と同じ意味で使われています。

信用情報機関に登録する際、金融機関が登録するときは「代位弁済」、保証会社が登録するときは「保証履行」という言葉で登録されます。

強制回収手続

借入れを行ったものの返済ができず、その結果金融機関が強制的に回収する手続きを取ったということです。

保証債務未履行

連帯保証人に登録されており、保証人になった会社や個人が返済できなくなったため、保証人として支払う義務が発生したにもかかわらず、その支払いを行っていないことです。

移管

銀行が、貸し倒れの可能性が高くなった債権を他の金融機関や債権回収会社に譲渡することです。

譲渡された際、それは「移管」情報として信用情報機関に登録されることになります。

このような情報が信用情報機関に登録されると、かなりの確率でブラックと判断され、ビジネスローンの審査には通らない可能性が高いと言えます。

ブラックと勘違いしている場合も

逆に言えば、上述したケースに当てはまらない場合は、ブラックではないということになります。

「赤字決算だからビジネスローンに申し込めない」と考えがちですが、赤字決算はブラックではありません。

赤字であっても、経常利益に減価償却費を加えた額がプラスになっていれば問題なく、ビジネスローンに申し込むことができます。

また、税金が未納であっても、ビジネスローンの申し込みまでに納税していれば大丈夫ですし、申込みまでの納税が難しいのであれば、「いつまでに納税する」という見通しがきちんと示せれば問題ありません。

ただし、このような状態であれば、経営状態はあまりよくないという判断をせざるを得ません。

申し込むのであれば、出来るだけ審査基準の緩いと言われる中小企業の、ノンバンクのビジネスローンがおすすめです。

ブラックでもビジネスローンを借りるためには

ブラックでも借りられる可能性を紹介するFPと知りたい中高年消費者

上記で、ブラックの人はビジネスローンの審査に通らない可能性が高いと言いましたが、結論からいうと、ブラックでも借りることが出来るビジネスローンは存在します。

もちろん、信用情報の観点から審査基準の高い銀行系のビジネスローンなどを利用することは出来ません。

ただし、「有担保ローン」そして「ファクタリング」については、ブラックであってもビジネスローンを利用することは可能です。

なぜなら、「有担保」のビジネスローンは、『担保がある』ということで、申し込む側の信用力はそれほど重要視されません。

また、「ファクタリング」についても同様に、取引先の信用力が高ければ、自身がブラックであっても審査に通ることは可能です。

有担保のビジネスローンには、以下のものが挙げられます。

・不動産担保ローン
・売掛債権担保ローン
・動産担保ローン(ABL保証)

「不動産担保ローン」とは

土地、建物、工場、オフィスビル、駐車場などを担保にするローンの事です。

「売掛債権担保ローン」とは

売掛債権を担保にするローンです。

「動産担保ローン(ABL保証)」とは

在庫や車両の他、設備などの動産を担保にするローンを言います。

いずれのローンも、担保の価値が融資額よりも大きければ、金融機関としても問題なく貸付けを行うことが出来るわけです。

有担保のビジネスローン以外では「売掛債権譲渡」を利用する方法もあります。

ファクタリングと言われるもので、売掛債権を他の会社に売却することで資金調達を可能にする方法です。

では、このファクタリングについてもう少し詳しく説明します。

ファクタリングとは

ファクタリングとは

「売掛債権を売掛金の入金前に譲渡して、資金化する資金調達方法のこと」を言います。

売掛債権とは、商品やサービスなどを提供した場合に、その売却代金や利用料金を請求できる権利のことです。

最近では、基本的に商品やサービスを提供した際の先方からの入金スケジュールが「末締めの翌月末払い、末締めの翌々月末払い」とされていることが多くなっています。

そうなると、先に仕入れなどの支払いがあるにもかかわらず、入金は早くても翌月末となってしまい、その間、資金力のない中小企業や個人事業主は、資金繰りに苦しむことになります。

もちろん、「下請代金支払遅延等防止法」に基づき、請求書の発行から入金までは60日を超えないことと規定されています。

しかし、最大60日間のブランクは、資金繰りが難しい事業主にとって頭の痛い問題です。

できれば一日でも早く支払ってほしいのが本音でしょう。

日本の商慣習では、ビジネスにおいては「信用取引」となっており、

  1. 契約
  2. 商品の納品(サービスや役務の提供)
  3. 請求書の発行
  4. 入金

という流れになります。

この請求書の発行のタイミングで、売掛債権が発生することになるわけです。

ファクタリングの流れ

では、ファクタリングとは実際にどのように行われるのでしょうか。その仕組みについて解説していきます。

  1. 事業者がお客様へ商品の納品・サービスの提供を行う。
  2. お客様が事業主に対して請求書を発行する。(この時点で売掛債権発生となる。)
  3. 事業者が上記2で発生した売掛債権をファクタリング会社に譲渡(売却)する。
  4. ファクタリング会社は事業者へ手数料を除いた売掛債権の金額を支払う。
  5. お客様は事業者ではなくファクタリング会社へ支払いを行う。

これがファクタリングの流れです。

事業者にとっては、ファクタリングを利用することで、本来であれば1カ月~2カ月先にならないと入金されないお金が、早ければ即日に入金されることになります。

ファクタリング会社に多少手数料を払ってでも、資金繰りが非常に楽になるというメリットがあります。

したがって、資金繰りに苦しむ中小企業や個人事業主とって、この「ファクタリング」という仕組みは非常にありがたい資金調達方法といえます。

ファクタリングのメリット・デメリット

ファクタリングについては、上述の「売掛金が入金されるまでの時間の短縮化」以外にも、「他の資金調達方法よりも審査が通りやすい」というメリットがあります。

審査の基準は「売掛金がきちんと入金されるか」というお客様側の企業信用度となるため、お客様が大手企業や中堅企業であれば審査に通りやすくなります。

したがって、ファクタリングを利用する事業者側の信用が多少低くても問題なく利用することができることが、ファクタリングを利用する第2のメリットということが出来るでしょう。

しかし、もちろんデメリットも存在します。

それは、「ファクタリングを利用する際の手数料が高い」ことや、「あまりファクタリングについて世間に知られていない」ことです。

ファクタリングを利用する際は、上述のメリットとデメリットをきちんと確認し、その取引においてメリットがあるかどうか検討してから利用するようにしましょう。

ブラックOKのビジネスローン(ファクタリング)は3社!

ファクタリング会社3社を紹介するFPと女性行員

現在、ブラックでも借りることが出来るビジネスローンは以下の3社です。

  1. 日本中小企業金融サポート機構
  2. 事業資金エージェント
  3. 株式会社ビートレーディング

それぞれについて説明します。

日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構

※参照:日本中小企業金融サポート機構公式サイト

日本中小企業金融サポート機構は、ファクタリング以外にも助成金や補助金などのサポートを行っています。

郵送でのファクタリングであれば、30分程度で申し込み手続きが終わってしまう手軽さも魅力の一つです。

公式サイト上ではファクタリング利用の手数料がいくらになるのか、10秒で診断できるようになっています。

事業資金エージェント

事業資金エージェント

※参照:事業資金エージェント公式サイト

「契約が全てオンラインでできること」や「入金までの時間が最短3時間」であることが特徴です。

とにかく入金までの時間を短縮したいという人にとってはありがたいサービスといえます。

株式会社ビートレーディング

株式会社ビートレーディング

※参照:株式会社ビートレーディング公式サイト

ノンバンク系ファクタリング利用でよくつかわれているのが、このビートレーディングです。

申し込みから入金までが12時間という短時間、そして売掛債権の最大買取率が98%であることも、かなりの魅力といえるのではないでしょうか。

月間契約数も2020年実績で約400件と高い実績を誇っています。

ビジネスローンの審査に通過するために

審査通過のレクチャーをする女性行員と決算書など書類の準備をする中高年消費者

ビジネスローンが銀行融資などに比べていくら審査基準が低く、利用しやすいとはいえ、事前準備や対策は必要です。

事業計画書や決算書については、最新のものを提出できるように準備しておくようにしましょう。

その他、どのようなことに気を付けるとよいかについて、以下にまとめてみました。

ビジネスローンの審査に出来るだけ通過しやすくするためには

  • 中小企業のノンバンクのビジネスローンを選ぶ
  • あまり知られていない会社のビジネスローンを選ぶ
  • 同時に複数社に申し込まない

ビジネスローンは銀行もしくは消費者金融や信販会社などのノンバンクが取り扱っています。

ノンバンク系ビジネスローンの多くで、その審査で使用されるのは「スコアリング」です。

大手の会社であればあるほど、審査に使われるスコアリングシステムの内容も情報量が多く、その分審査基準も厳しくなる傾向があります。

逆に中小のノンバンクでは、スコアリングシステム自体の情報量が少なく、最新のものでないこともあり得ます。

そういった会社であれば、審査にも通りやすくなる可能性は十分に考えられます。

そして一番重要なことですが、同時に複数のビジネスローンに申し込むことは絶対に避けるようにしましょう。

審査落ちとなってしまった場合、その「同時に複数社に申し込んで審査に落ちた」という情報が、信用情報機関に記録されることになります。

そのようなリスクは絶対に犯さないことが賢明です。

まとめ

ビジネスローンには銀行が取り扱っているものもあれば、ノンバンクといわれる消費者金融が扱っているものもあります。

銀行が取り扱うビジネスローンは、一般的に審査が厳しく、経営状態が悪ければ利用できないことが多い反面、審査に通れば最大融資額も大きく、それなりの金額を借り入れることが可能です。

経営状態に少しでも不安があるのであれば、銀行以外のいわゆるノンバンクのビジネスローンに申し込むようにしましょう。

ビジネスローンの審査においては銀行融資と異なり、スコアリングが重要視されますので、「同規模の企業の情報、過去に融資をした企業の経営指数、過去に融資をした企業の業種」と比べて遜色なければ、審査に通過することは可能でしょう。

また、ビジネスローンは原則「無担保・無保証人」であることが特徴です。

その分、審査スピードも速く、融資までの時間を短縮することが出来るわけです。

ただ、問題はブラックの状態でも借りることが出来るのか?ということです。

ブラックの状態であっても、本文で述べたように全く借りることが出来ないわけではありません。

ファクタリングや有担保ローンをうまく利用することで、借り入れを行うことができます。

重要なのは、ご自身の信用情報そしてご自身の会社の経営状況をきちんと把握することです。

そして、経営状況が悪化した際の資金繰りはかなり深刻な問題ではあるものの、決して可能性がないわけではないことを理解してください。

そのような状況でも通常のビジネスローンで借入れる方がいいのか、もしくは「有担保ローン」や「ファクタリング」を検討する方がいいのか。

その時の状況や今後の事業計画を考慮し、最善の方法を選ぶようにしてください。

低金利なカードローンついて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。