「法人だけど資金繰りが上手くいかない…」と、お悩みの方もなかにはいらっしゃるでしょう。

法人経営者が、融資を急いでいない状態で大きな資金を借りたいのであれば、公的融資や銀行での融資がベストです。

しかし、運転資金を至急用意しなければならなかったり、当月中の支払いに資金を充てたりするような場合は、公的融資や銀行融資では間に合いません。

このように、一時的な資金を至急用意する場合に便利なのが、ビジネスローンです。

ここでは、実際の事例をもとに、FPがビジネスローンの活用方法を解説します。

相談主Aさんの相談内容と状況

法人が資金を用意する方法として、公的融資や銀行からの融資がよく利用されています。

これらの融資方法は金利が低く、大きな金額を借入することができます。

しかし、そのデメリットとして、融資までの時間が遅いという点があるのです。

これらの融資の目安時間としては、おおよそ1カ月程度となっています。

したがって、当月末に支払いがあるような場合や、至急運転資金を用意しなければならないような場合には、ビジネスローンが適しているといえます。

ここでは、実際の活用事例をもとに解説していきましょう。

相談主Aさんのプロフィール

  • 法人
  • 年商2,000万円
  • 法人4期目
  • 給与支払分として220万円の資金を12日後に用意する必要がある
  • 事業は順調

相談主Aさんの相談内容

Aさんは、法人4期目の経営者として、事業を行っていました。

事業そのものは順調で、前期の年商は2,000万円前後となっています。

事業が順調だったので、事業拡大のため新たに10人の社員を雇用し、毎月の給与支払費が320万円に膨らみました。

「今のままなら大丈夫だろう」と判断したAさんの予想に反し、取引先企業から自社への支払いが1カ月遅延する事態に陥ります。

支払いが遅延した金額は1,000万円です。

少し無理をして社員を雇用してしまったため、取引先企業の支払いよりも先に、給与分の320万円を用意しなければならなくなりました。

取り急ぎキャッシュで100万円を用意したのはいいものの、残りの220万円を何らかの手段で用意する必要があります。

給与の支払い日まで12日間しかなく、焦ったAさんはアドバイスを求めFPに相談したのでした。

相談主Aさんの状況まとめ

  • 支払日まで残り12日間
  • 給与支払い分として、220万円の資金が足りない
  • 次月には1,000万円の資金を回収できる予定

上記の状況から、FPのアドバイスを含めて考え方のポイントを解説します。

FPのアドバイス!考え方のポイントとは

FPのアドバイスは下記のような内容です。

FPのアドバイス

  • 給与の支払いを待ってもらえないか、従業員と交渉する
  • 売却可能な資産があれば、それらを売却し支払いに充てる
  • 取引先と債務確認書を取り交わしたうえで、ビジネスローンを利用し支払日までの資金を確保する

上記アドバイスのポイントは、

  • 従業員と交渉するのは信用低下リスクがあるため、経営者の判断による
  • リスクの低い解決策を優先的に検討すること
  • ビジネスローンを利用としたとしても、1カ月未満の短期融資となる可能性が高い
  • 取引先企業との間で「債務確認書」を取り交わし、支払いがさらに遅延しないよう対策する

という考えのもと、アドバイスされたポイントです。

相談主Aさんからは、「従業員への支払い日交渉は避けたい」との意見があり、売却可能な資産も無かったことから、ビジネスローンの利用を決定しました。

FPがおすすめしたビジネスローンと申込方法

相談主Aさんはビジネスローン経験者ではなく、「どの商品を利用すればいいのかわからない」という状態でした。

したがって、Aさんの条件に合ったビジネスローンを2つに絞り、その中から選択する形で利用する商品を決定しました。

検討したビジネスローンは、下記の2つです。

上記のうち、今後の資金繰りに活用する可能性を含めAさんが選択したのは、AGビジネスサポートです。

AGビジネスサポートの商品詳細は下記のとおりです。

金利 【限度額100万円未満】
年13.0%~18.0%
【限度額100万円以上】
年3.10%~15.0%
融資限度額 1,000万円
対象 ・年齢20歳以上69歳以下まで
・法人または個人事業主の方
融資までの時間 最短3日程度
必要な書類 【法人】
・代表者本人を確認できる書類
運転免許証、パスポートなど
・事業内容に関する書類
登記事項証明書(商業登記簿謄本)、決算書原則2期分など【個人事業主】
・本人を確認できる書類
運転免許証、パスポートなど
・収入証明書類
確定申告書原則2年分など
申込方法 1.インターネット
2.電話
3.FAX
4.郵送
商品の特徴 限度額が大きく、多用途に活用しやすい。
即日融資は不可。

AさんがAGビジネスサポートを選択した理由は、

  • 限度額が大きく、今回の事例以外でも活用しやすい
  • 支払い日まで12日間となっており、即日融資を希望していなかった

という2つがあります。

AGビジネスサポートは、融資限度額が1,000万円 と大きく、法人でも利用可能なビジネスローンです。

比較対象となった「オリックスVIPローンカード BUSINESS」は審査スピードが早く、利便性の高い商品ではあるものの、限度額が500万円と小さめです。

Aさんは、今回の事例だけでなく、「ビジネスローンを今後も活用したい」と希望していたため、AGビジネスサポートのほうが適しているという検討結果になりました。

ビジネスローン申込時に困ったこと・トラブル

AGビジネスサポートの申込時に困ったことは、

  • 申込日が土曜日だったため、審査申込完了に時間がかかった
  • 申込書類の「登録事項証明書」の用意に時間を要した

という2つです。

AGビジネスサポートは、インターネットからいつでも申込可能なビジネスローンですが、土日は営業時間外となり、翌営業日の申込完了となります。

つまり、今回のケースは、目安とされている3日程度の審査日数では結果が出ず、融資までに5日間要してしまいました。

AGビジネスサポートを検討中の方は、土日を除く営業日数で融資までの時間を計算するようにしましょう。

また、法人がAGビジネスサポートを申込する場合、「登記事項証明書」を提出する必要があります。

登記事項証明書は法務局で即日発行できるものの、お近くに法務局がない場合は、オンラインで申請し書類を郵送してもらう必要があります。

つまり、書類を用意するのに、郵送含め3日程度必要となってしまうのです。

Aさんのケースでは融資までの日数に余裕があったため、大きな問題にはなりませんでしたが、融資をお急ぎの方であれば特に注意する必要があるでしょう。

ビジネスローンの審査結果

無事申込を完了したAさんの審査結果は、「金利12.0%、限度額400万円まで融資可能」となりました。

Aさんは早速220万円の資金をAGビジネスサポートで借入し、給与の支払いを無事完了することができました。

次月、取引先企業から1,000万円の資金を回収できたため、借入から22日後に完済しました。

かかった利息は、15,912円でした。

FPからひとこと

今回のケースでは、リスクの低い手段から検討し、結果としてビジネスローンを利用する形になりました。

しかし、もしAさんの状況が時間に余裕のある状態だったとすれば、公的融資もしくは銀行融資で資金調達したほうがいいでしょう。

ビジネスローンは便利な融資手段ですが、全体的に金利が高いため、長期間借入してしまうと膨らんだ利息が大きな負担となる場合があります。

また、今回のケースでは、登記事項証明書の用意に時間がかかってしまうトラブルがありました。

ビジネスローンを利用する際は、必要書類の詳細を事前に確認したうえで、早めに用意するようにしましょう。

まとめ

ビジネスローンは、活用方法次第で便利な資金調達手段となりますが、支払い利息は高めです。

事前に返済シミュレーションを行ったうえで、可能な限り短期間で完済するようにしましょう。